あらゆる分野でデジタル化が進んだ現在社会において、その根幹となるデータの安全性を担保するためには、暗号化技術が欠かせないものであることは言うまでもない。しかし一方で、暗号解読技術もまた、コンピューターの計算能力の向上とともに進歩を続けているのも事実だ。このため、広く用いられている公開鍵アルゴリズムの強度を保つためには、鍵サイズを定期的に増やす必要がある。
ここで注目すべきなのが、ついに実用化レベルになった量子コンピューターの存在だ。このまったく新しいアーキテクチャを持つコンピューターは、適切に利用されれば、従来のコンピューターでは困難であった問題を解決すると期待されている。だが同時に、その進化とともに“そう遠くない将来”、今日推奨されている鍵サイズを使用する公開鍵アルゴリズムの安全性を脅かす可能性があることを忘れてはならない。
それが“いつ”なのか──ほとんどの専門家は2020年代後半から2030年代初頭にかけてと見ている。つまり多くの専門家が、今日の標準的な公開鍵アルゴリズムを破ることができる量子コンピューターが、現在開発中のシステムにおいて計画された寿命内に利用可能になると予測しているのだ。そしてこのことは、かくなる事態に備えて、今すぐに準備を始める必要があることを意味しているのである。本資料では、量子コンピューターがもたらす公開鍵暗号システムへの影響について、NISTなどの動向を踏まえて詳細に解説している。そこからは、暗号化技術とセキュリティの未来と、今何をなすべきかが見えてくるはずだ。
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