今日のラジオ放送局では、臨時中継先からの伝送や、局間、送信所間の音声伝送は専用マイクロ回線 (電波) や地上回線を用いたものが主に用いられており、局あたり平均約 10 台のコーデックを用いた運用が行われている。従来のラジオ用音声コーデックは海外製品が主流で、ISDN 回線やデジタル専用線を使用したものがほとんどであり、一般的な音声伝送で普及の進んでいる IP を使用した製品は少なかった。また、装置内部のコアモジュールは専用チップを組み合わせて設計したものが主流で、拡張性に乏しく、信頼性、音質、製品価格ともに優れた IP 回線用の国産コーデックの開発が全国の FM 局から望まれていた。また、音質を重視する民放 FM 局ではコンポジット伝送方式が用いられているが、これに対応するコーデックが市場に無かったことなどの背景から、FPGA を使ったオーディオ IP コーデックの共同開発となった。
エアフォルクの代表取締役 丹下 昌彦氏は、「今日のネットワーク市場では常に新しいサービスが登場し、放送網も進歩が早くなっている中、専用チップ複数で構成するシステムではそのような変化にタイムリーに対応することが困難でした。ザイリンクスの FPGA を使用したフィールドでのアップデートが可能なコーデック製品を実現したことにより、ネットワークや接続機器の変更に伴いハードウェア自体の変更が不要となっただけでなく、高品質でコスト効果の高いサービスをリアルタイムで可能にする画期的なシステムが実現しました。今後も多様なネットワーク サービスに対応することが可能な製品拡張を予定しており、プロセッサ能力を緊密に統合した ARM コア内蔵のザイリンクス Zynq(TM)-7000 ソリューションの採用を是非検討したいと思います。本ソリューションを設計するにあたり、充分な技術サポートが必要で、販売代理店である東京エレクトロン デバ イス株式会社の協力は、今後より一層重要なものとなります」と述べている。
また、このコーデックを既に導入している TOKYO FM の編成制作局 技術部長 川島 修氏は、「このコーデックはまさに我々が待ち望んでいた製品でした。従来のコーデック 2 台分の機能が 1 台に凝縮されたことによって回線の 2 重化が図れ、スペースが有効活用できるようになっただけでなく、回路選択の幅が広がりました。一流ミュージシャンからも満足を得られる高品質な音質と、ファームウェアの更新のみで将来の機能強化が図れる本製品には大変満足しています」と述べている。
エアフォルク社が共同開発したオーディオ IP コーデックの主な特徴は以下の通りである。
- 放送網で使用可能な高品質音声の安定した伝送を IP ネットワーク上で実現
- 遅延時間が少なく、ネットワークのバックアップ (2 系統の IP 回線を使用し、無瞬断自動切り換え) に対応
- 高サンプリングレート (~192KHz) に対応
- 放送用コーデックとしては業界初の本体内操作設定マニュアルを内蔵 (ファームアップにより最新版にバージョンアップ) し、中継現場などでの利便性を向上
- エアフォルク製の HRTP (ハード RTP プロトコル伝送コア) 音声伝送や MCIIR フィルタ処理コア音声イコライザなどの IP コアを Viretx-5 FPGA に実装することで、立ち上がり時間を高速化し音声が途切れる時間も最小化
また、ザイリンクスの Viretx-5 FPGA が持つ優れた信号処理機能を活用したワンチップ化により、信頼性が向上し放送現場の厳しい条件に適合する製品を実現した。さらに、ザイリンクスの MicroBlaze(TM) プロセッサによる温度監視や電圧監視などのリモート監視機構によって、保守を容易にして可用性を向上した。
株式会社エアフォルクについて
株式会社エアフォルクは、2001 年 3 月に設立され、コンピュータ、ソフトウェアおよび周辺機器の開発、製造、販売など技術力を活かした受託開発を行うコンサルティング会社である。詳しい情報はウェブサイト (リンク ») で公開している。
TOKYO FM (株式会社エフエム東京) について
1970 年 4 月開局。民間放送業 (FM 放送) JFN 系列全国ネット キー局。詳しい情報はウェブサイト (リンク ») で公開している。
RF デザイン株式会社について
2007 年 3 月設立。総務省登録点検事業者 高周波関連機、放送業務用機器の設計・開発を行う製造メーカー。詳しい情報はウェブサイト (リンク ») で公開している。
ザイリンクスについて
ザイリンクス (NASDAQ:XLNX) は、プログラマブル プラットフォームのリーディング プロバイダーである。詳しい情報はウェブサイト (リンク ») で公開している。
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