上智大学
水銀イオン-DNAハイブリッド二重らせんの立体構造解析に成功
金属-DNAハイブリッド材料の開発や遺伝暗号拡張技術への応用に期待
~化学分野で世界最高峰の学術雑誌アンゲヴァンテ・ケミー国際版のVIP(Very Important Paper) に選定~
上智大学理工学部物質生命理工学科の近藤次郎助教は、神奈川大学工学部の小野晶教授、東北大学大学院薬学研究科の田中好幸准教授らと共同で、X線結晶解析法をつかって水銀イオン-DNAハイブリッド二重らせんの立体構造を世界で初めて明らかにしました。この成果は、化学分野において世界最高峰のドイツの学術雑誌Angewandte Chemie International Edition (アンゲヴァンテ・ケミー国際版) のVIP (Very Important Paper)に選ばれ、2014年1月29日付でオンライン版で先行公開されました。
水銀イオンがDNAに特異的に結合することは50年以上も前から知られており、この特性を活かしてさまざまな機能性DNA分子(水銀イオンセンサー、水銀イオン依存性DNA酵素など)が世界中で開発されてきました。しかし、水銀イオンが結合したDNAの立体構造はこれまで明らかになっていませんでした。
近藤助教らはX線結晶解析法をつかって、水銀イオンがDNA二重らせんに結合している様子を観察する事に世界で初めて成功しました。
本研究で得られた成果は、金属-DNAハイブリッド材料の開発や遺伝暗号拡張技術への応用の基盤となり、ナノテクノロジー、環境科学、生命科学など幅広い分野への波及効果が期待できます。
【本研究の要点】
・水銀イオン-DNAハイブリッド二重らせんの立体構造解析に成功
・DNAに見られる通常の塩基対(A-T、G-C)とは異なる、T-HgII-T金属仲介塩基対の構造を解明
・ナノテクノロジー分野では、導電性ナノワイヤーなどの金属-DNAハイブリッド材料の開発に応用可能
・環境科学分野では、公害の原因となる水銀イオンに対するセンサーや除去膜などの開発に応用可能
・生命科学分野では、遺伝暗号の拡張技術に応用可能
【論文名および著者】
雑誌名 :Angewandte Chemie International Edition (アンゲヴァンテ・ケミー国際版)
論文タイトル :Crystal Structure of Metallo-DNA Duplex Containing Consecutive Watson-Crick-like T-HgII-T Base Pairs
オンライン版URL : (リンク »)
著者(共著) :Jiro Kondo*(近藤次郎・上智大)、Tom Yamada(山田豊夢・上智大)、Chika Hirose(広瀬千香・上智大)、Itaru Okamoto(岡本到・神奈川大)、Yoshiyuki Tanaka(田中好幸・東北大)、Akira Ono(小野晶・神奈川大)
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