一般社団法人 情報システム学会 社会への提言第9弾を発表

「我が国におけるプライバシーの保護と個人情報の活用再考」

情報システム学会

2014-04-01 12:30

人間中心の情報システムを志向し,ビジネス・研究領域の融合や情報システム人材の育成を目的とした一般社団法人 情報システム学会(会長:伊藤 重隆 〔みずほ情報総研〕)は、、このほど「我が国におけるプライバシーの保護と個人情報の活用再考」を発表しました。
2016年(平成28年)1月より「マイナンバー制度」がスタートするにあたり、新たにプライバシーの保護と個人情報の活用について、再度検討を行った提言が「我が国におけるプライバシーの保護と個人情報の活用再考」です。
詳細の内容は、 (リンク »)  にて。

■前回の提言での我々の主張【要約】
前回(2013年7月発表)では、個人を識別するための唯一のキーとしてマイナンバーを位置づけ。それを核にして政府が使用する情報システムのレベルを高め、このナンバーの使用を限定せず、民間を含めてさらに幅広く利用を促進して社会全体を効率化し、公平公正の一層の推進を図るべきという提言をおこなった。

■日本の個人情報保護の仕組み【要約】
個人データ保護を目的としたEU指令(「EUデータ保護指令」)の発効と、2003年からスタートすることになる住基ネットワークに合わせて、この年、2003年に日本において個人情報保護法が制定。2006年「個人情報保護のためのガイドライン」に改訂し、このガイドラインをよりEU指令に近いものに変更した。
プライバシーの保護と個人情報の活用で、日本はこの将来国際的なルールとなるだろうEU指令に基づいて対応することが求められる。政府はこのEU規則に対して適切に、早急に対応するべきである。

■政府等が保有する個人情報の有効な利用を【要約】
政府等は法律の定めにしたがって、半ば自動的に個人情報が集まってくる仕組みになっている。マイナンバー制度で利用される個人情報は、この政府等が収集する個人情報である。この適切な利用を通して、社会全体の効率向上と公正公平の一層の推進が求められている。

■プライバシーとは何か【要約】
個人情報とプライバシーは同じではない。プライバシーの方が広い概念で、個人情報はその一部に位置づけされるもの、つまりプライバシーを構成するものの一部がデータの形に変換されたものが個人情報である。
現代的プライバシー権のベースは、国民の基本的人権を定めた日本国憲法第13条にあるとされている。しかし今や日本では、凄まじいプライバシーの侵害が横行している。まず「プライバシー」という言葉を法律でしっかりと定義することが、日本では必須である。(具体的に監視カメラやNシステムによる情報の収集・蓄積、ライフログの収集・蓄積に言及)

■日本でもっとプライバシーについての議論を・・・【要約】
今の日本の個人情報保護法には、「機微情報」という言葉がない。すべての個人情報が平面的に、一律に扱われている。ここから、様々な誤解や思い違いが発生している。
どの情報をどのように使用して社会の効率化を実現し、一方でどのように取り扱って保護するかは、社会全体で議論して決めなければならない。
マイナンバー法施行と並行して、プライバシーに関わる権利の法制化を進めるべきである。

EU規則の実施とマイナンバー制度の導入を契機に、政府を含めて国民はもう一度根底から本気で、個人情報の活用による社会全体の効率化と、その実現のためにプライバシーと個人情報の保護について考える必要がある。

【情報システム学会(Information Systems Society of Japan)について】
設立は2005年。2010年7月1日より一般社団法人として活動を開始。
日本学術会議が認定した「協力学術研究団体」。
事務局所在地:〒102-0073 東京都千代田区九段北1-10-9 九段VIGAS  5階
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