マーサー 『2014年世界生計費調査‐都市ランキング』を発表

マーサー ジャパン株式会社

2014-07-10 18:00

・海外駐在員にとって最も物価が高い都市はルアンダ(アンゴラ)、最も低い都市はカラチ(パキスタン) ・対米ドル価値の変動に伴い多くの都市の順位が変動 ・アフリカ、ヨーロッパ、アジアの都市がランキング上位を占める ・アジアで最も物価が高い都市は3位の香港に4位のシンガポールが続く ・東京が昨年の3位から7位に、大阪が12位から23位にランクダウン
10-July-2014
グローバル,東京

世界最大級の組織・人事コンサルティング会社、マーサーは、「2014年世界生計費調査」の結果を発表した。
 調査の結果、アフリカの2都市が海外駐在員にとって最も物価が高い都市ランキングのトップとなった。概して他の都市と比べて豊かな都市とは言えない、アンゴラのルアンダが2年連続世界で最も物価が高い都市となり、その後にチャドのンジャメナが続くという結果となった。また、ヨーロッパとアジアの都市が引き続きランキング上位を占め、3位に香港、その後にシンガポールが続いている。チューリッヒは順位を3つ上げて5位、その後に6位のジュネーブが続く。東京は順位を4つ下げて7位となった。
 マーサーの世界生計費調査は、世界で最も包括的な生計費調査の一つであり、多国籍企業や政府機関が海外駐在員の報酬・手当を設定する際に利用されている。今回発表のランキングは、ニューヨークをベースとし、ニューヨークを100とした場合の、各都市の指数を比較している。基軸通貨は、米ドルとしている。
 この調査は、5大陸211都市において、住居費、交通費、食料、衣料、家庭用品、娯楽費用などを含む200品目以上の価格を調査し、それぞれを比較している。
 「経済的、政治的混乱などを含む世界情勢により生じた為替変動、物品やサービスの価格の変動、住居費の変動が、都市ランキングに影響しています。」とマーサーのパートナーで、モビリティプラクティスグローバルリーダーのエド・ハンニバル氏は述べている。「ルアンダとンジャメナは相対的に物価が低い都市ですが、輸入品が非常に高価なため、海外駐在員にとっては物価が高い都市となっています。また、海外駐在員の基準を満たす安全な住居を見つけることは、困難かつかなりの費用がかかります。これらが今回のランキングでアフリカの都市が上位となっている主な要因です。」
 海外駐在員にとって最も物価が高い都市トップ10に入ったその他の都市は、ベルン、モスクワ、上海である。ランキング211位のカラチが海外駐在員にとって最も物価が低い都市となり、最も物価が高いルアンダはカラチの3倍以上のコストがかかるとの調査結果が出ている。
 「多国籍企業は、グローバル人材の重要性を引き続き認識しており、海外派遣は一般的に行われていますが、企業は海外派遣プログラムの費用対効果を検証し管理できなければなりません。企業は、従業員を海外派遣する際には、為替変動、インフレ、政情不安の影響を見極めながら、優秀な人材の流出を抑えるためにも、競争力のある報酬パッケージを提供しなければなりません。」とハンニバル氏は述べている。
 為替変動と物価変動は、都市ランキングの順位は勿論のこと、海外派遣プログラムのコストにも影響を与えている。
 マーサーのプリンシパルでランキング・レポート責任者であるナタリー・コンスタンティン=メトラル氏は、次のように述べている。「興味深いことに、今年いくつかの都市は、住居費および住宅需要の大幅な上昇に現地通貨高が相まって、大きく順位を上げました。ダッカとナイロビ(共に117位)とドバイ(67位)は、それぞれ37、30、23と順位を大幅に上げました。」

【地域別分析】


南北アメリカ
 米国の都市は、他の地域の都市が大きく順位を下げたことに加え、米ドルがその他の主要通貨に対して相対的に安定したことにより順位を上げた。この地域で最も順位が高い都市であるニューヨークは、住宅賃料の上昇により順位を8つ上げて16位となった。ロサンゼルス(62位)は昨年から順位を10、サンフランシスコ(74位)は18上げている。その他の米国の主要都市では、ホノルル(97位)が20、マイアミ(98位)が16、ボストン(109位)が14とそれぞれ順位を上げている。クリーブランド(167位)とノースカロライナ州のウィンストンセーレム(182位)は昨年に引き続き、この地域で海外駐在員にとって最も物価が低い調査都市となった。 「今年、米国の都市は、米ドルの上昇により順位を上げているが、海外派遣のコストは、為替変動に伴って高くも低くもなることに注意しなければなりません。」とハンニバル氏はコメントする。
 南アメリカでは、サンパウロ(49位)が最も物価が高い都市となり、その後にリオデジャネイロ(65位)が続いている。ただし、どちらの都市も住宅賃料の上昇に関わらず、現地通貨ブラジルレアルの価値が米ドルに対して下落したことにより、それぞれ順位を30、36下げた。ブエノスアイレスも物価が大幅に上昇したにも関わらず、自国通貨の切り下げにより今年順位を大きく下げた。その他の南アメリカの都市で順位を下げた都市は、順位を25下げて88位となったチリのサンチアゴ、38下げて98位となったボゴタである。ニカラグアのマナグア(207位)は南アメリカで最も物価が低い都市となった。
 既述のとおり、為替レートは都市ランキングに大きな影響を与える。今年マーサーは、公定為替レートが複数存在する複雑な状況により、選択する為替レートによって順位が大きく変わるため、ベネズエラのカラカスをランキングから除外した。
 カナダの都市は今年順位を下げており、カナダで最も順位が高いバンクーバーは、順位を32下げ96位となった。トロント(101位)は33、モントリオール(123位)は順位を28下げている。「カナダドルが米ドルに対し大きく下落したことが、今年のランキングで順位を落とした要因です。」とハンニバル氏は解説する。


ヨーロッパ・中東・アフリカ
 
ヨーロッパの4都市が昨年に引き続き、最も物価が高い都市トップ10にランクインした。チューリッヒ(5位)がヨーロッパで最も物価が高い都市となり、その後にジュネーブ(6位)、ベルン(8位)が続いている。スイスは、現地通貨スイスフランの対米ドル価値のわずかな上昇により、引き続き海外駐在員にとって最も物価が高い場所の一つとなっている。モスクワ(9位)とサンクト・ペテルブルグ(35位)は、現地通貨ルーブルの対米ドル価値の急激な下落により、それぞれ順位を7と12下げた。

 西ヨーロッパの都市は全般的に、主に現地通貨の対米ドル価値の上昇により順位を上げている。特にイギリスとドイツの都市は、今年のランキングにおいて大きく順位を上げ、グラスゴー(108位)は昨年より順位を49上げ、アバディーン(94位)とバーミンガム(90位)もそれぞれ順位を34と45上げた。ミュンヘン(55位)が昨年より順位を26、フランクフルト(59位)は24上げた、そしてベルリン(68位)は順位を31と大きく上げた。また、デュッセルドルフとハンブルグも順位を大きく上げた。

 その他の順位を上げた都市は、昨年より10上げたパリ(27位)、11上げたミラノ(30位)、13上げたローマ(31位)、16上げたウィーン(32位)となっている。

 コンスタンティン=メトラル氏は、「多くのヨーロッパの都市では物価上昇が緩やかであるにも関わらず、現地通貨の対米ドル価値がわずかに上がったことにより、順位を上げました。さらに、賃貸住宅への需要増大による住居費の上昇が、いくつかのヨーロッパの都市、特にコペンハーゲン、アムステルダム、フランクフルトの順位を上げた要因になっています。」と解説した。

 一方で、大部分の東ヨーロッパや中央ヨーロッパの都市は、現地通貨の対米ドル価値の下落により順位を下げた。プラハ(92位)、アルマトイ(111位)、ミンスク(191位)は、住居費が安定しているにも関わらず、それぞれ順位を19、16、4下げた。

 テルアビブ(18位)は、引き続き中東で海外駐在員にとって最も物価が高い都市となり、その後にベイルート(63位)、ドバイ(67位)、アブダビ(68位)が続いている。サウジアラビアのジッダ(175位)は、引き続きこの地域で最も物価が低い都市となった。「中東のいくつかの都市、特にアブダビとドバイは、他の都市が順位を下げたことならびに海外駐在員向け住宅の賃料が大幅に上昇したことにより順位を上げました。」とコンスタンティン=メトラル氏は述べた。

 今年の調査結果においても、多くのアフリカの都市が海外駐在員の高い生計費を反映し、引き続きランキング上位に入っている。ルアンダ(1位)は引き続き、海外駐在員にとってアフリカ地域およびグローバルで最も物価が高い都市であり、その後に2位のンジャメナが続いている。その次に、セーシェルのビクトリア(13位)、ガボンのリーブルヴィル(19位)が続く。南アフリカではケープタウン(205位)が現地通貨アフリカ・ランドの対米ドル価値の下落により順位を8つ下げた。


アジア・太平洋
 
今年は、アジアの4都市がトップ10にランクインした。この地域で最も物価が高い都市である香港(3位)は、昨年より順位を3つ上げた。昨年から順位を1つ上げたシンガポール(4位)が地域で2番目に物価が高い都市となり、その後に昨年より順位を4つ下げた7位の東京が続く。次に昨年より順位を4つ上げた上海(10位)、その後に北京(11位)、ソウル(14位)、シンセン(17位)が続いている。

 「今年、日本の都市は、円の対米ドル価値下落により順位を下げました。」とコンスタンティン=メトラル氏は述べている。「一方、上海、北京、シンセンを含む中国の都市は、人民元の上昇によりランクを上げました。」

 オーストラリアの都市は、現地通貨の対米ドル価値の下落により今年のランキングにおいて大きく順位を下げた。オーストラリアで最も海外駐在員にとって物価が高い都市シドニー(26位)とメルボルン(33位)は共に順位を17下げ、パース(37位)は19下げた。

 ムンバイ(140位)はインドで最も物価が高い都市であり、その後にニューデリー(157位)とチェンナイ(185位)が続いている。バンガロール(196位)とコルカタは(205位)はインドで最も物価が低い都市となっている。その他のアジアの都市では、バンコク(88位)が昨年から順位を22下げた。マレーシアのクアラルンプールは115位、その後に昨年から順位を48下げた119位のジャカルタが続く。ハノイは順位を3つ上げ131位となった。パキスタンのカラチ(211位)は、引き続きアジアおよびグローバルで海外駐在員にとって最も物価が低い都市となった。
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 マーサーでは、調査対象となったそれぞれの都市について、個別の生計費および住居費のレポートを提供しています。都市ランキングの詳細や個別都市のレポートのご購入に関しては、マーサーのホームページ( (リンク ») )をご覧いただくか、インフォメーション・ソリューションズまでご連絡ください。(TEL:03-5354-1483、Email: mobility.japan@mercer.com)

・マーサー:世界生計費レポートについて
( (リンク ») )
・よくある質問集:世界生計費レポート
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・サービス概要:インフォメーション・ソリューションズ
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付記:2014年世界生計費調査について
 掲載されている生計費および住居費の数値は、すべて2014年3月にマーサーが実施した世界生計費調査に基づくものです。為替は2014年2月の平均レートを使用しており、品目はマーサーの国際人用バスケットをベースとしています。
 このデータは、政府機関や多国籍な企業が従業員を海外に派遣する際に、海外駐在員の購買力を補償するために利用されています。また、住居費に関するデータは、海外駐在員の現地における住居手当を決定する際に利用されています。調査対象都市は、企業や政府機関からの要望により選択されたものです。
 調査対象都市の個別レポートは、マーサーよりお求めいただけます。派遣元の都市および派遣先の都市を選択いただいた上で、派遣元の生計費を100とする現地生計費の指数をご提供いたします。通常駐在員の給与を算出する際には、「海外赴任することで発生するエキストラなコストは別途支給する」という考えから、住居費は別途手当で支給すべきと判断し、生計費の指数の算出対象品目の中には、住居費は含まれません。住居費は別途住居費の情報をご提供しております。ただし、今回発表のランキングは、外国人駐在員が一般的に利用する住宅の家賃を含めたランキングとなっていますので、ご注意ください。また、このデータはマーサーでは「国際人用」と呼び、国籍を問わない一般的な海外駐在員モデルの購買パターンを予想し、それに沿った生計費を調査した上で、指数を算出しているものです。このデータをベースに、日本人独特の品目(米、味噌、日本語の新聞など)を追加し、特に日本人用にカスタマイズした「日本人用」世界生計費レポートもございます。
 なお、都市ランキング上位10位下位10位の表の複製利用について許諾申請は不要ですが、出来るだけ事前に広報へのご連絡をお願いいたします。


全ランキングは下記フォームへの入力後閲覧可能です:
(リンク »)

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2014年 マーサー 世界生計費調査:都市ランキング 

上位10都市

1  ルアンダ(アンゴラ)

2  ンジャメナ(チャド)

3  香港(香港)

4  シンガポール(シンガポール)

5  チューリッヒ(スイス)

6  ジュネーブ(スイス)

7  東京(日本)

8  ベルン(スイス)

9  モスクワ(ロシア)

10  上海(中国)

下位10都市

201 ブランタイヤ(マラウイ)

202 チュニス(チュニジア)

203 ヨハネスブルグ(南アフリカ)

204 ラパス(ボリビア)

205 コルカタ(インド)

206 ケープタウン(南アフリカ)

207 マナグア(ニカラグア)

208 イスラマバード(パキスタン)

209 ビシュケク(キルギス)

210 ウィントフック(ナミビア)  

211 カラチ(パキスタン)

出典:マーサー

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マーサーについて
マーサーは組織・人事、福利厚生、年金、資産運用分野でサービスを提供するグローバル・コンサルティング・ファームです。全世界約20,000名のスタッフが40カ国以上約180都市の拠点をベースに、130カ国以上で、25,000超のクライアント企業のパートナーとして多様な課題に取り組み、最適なソリューションを総合的に提供しています。
日本においては、35年余の豊富な実績とグローバル・ネットワークを活かし、あらゆる業種の企業・公共団体に対するサービス提供を行っています。組織変革、人事制度構築、福利厚生・退職給付制度構築、M&Aアドバイザリー・サービス、グローバル人材マネジメント基盤構築、給与データサービス、年金数理、年金資産運用など、「人・組織」を基盤とした幅広いコンサルティング・サービスを提供しています。
マーサーは、ニューヨーク、シカゴ、ロンドン証券取引所に上場している、マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ(証券コード: MMC)グループの一員です。
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マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズはマーシュ(保険仲介とリスクマネジメント)、ガイカーペンター(再保険仲介・コンサルティング)、マーサー(組織・人事マネジメント・コンサルティング)、そしてオリバーワイマン(戦略コンサルティング)から構成されており、年間総収入120億米ドル超、全世界に55,000名の従業員を擁し、100ヶ国以上で顧客に分析、アドバイスを行い、各種取引を支援しています。
当グループは責任ある企業市民として事業展開しているコミュニティに貢献しています。詳しい企業情報については (リンク ») 、今日企業が直面する課題に取り組む当グループの国際的な実務能力とソリューションについては (リンク ») をご覧ください。

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本件に関するお問い合わせ
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広報
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Tel: 03-5354-1674 pr.japan@mercer.com

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