DNDiと製薬企業4社が「創薬ブースター」の試みについて発表

特定非営利活動法人 DNDi Japan

From: Digital PR Platform

2015-05-29 18:32


プレスリリース
2015年5月29日

DNDi
エーザイ株式会社
塩野義製薬株式会社
武田薬品工業株式会社
公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金
AstraZeneca plc


DNDiと製薬企業4社が、とりわけ顧みられることのない
2つの病気-リーシュマニア症およびシャーガス病-に対する
新薬の発見を加速・拡大するための「創薬ブースター」の試みについて発表

公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)による支援の下
顧みられない熱帯病に立ち向かう複数の企業とDNDiによる初の取り組み

[ジュネーブ、スイス/大阪・東京/ロンドン、英国-2015年5月28日]
Drugs for Neglected Diseases initiative(DNDi )とエーザイ株式会社、塩野義製薬株式会社、武田薬品工業株式会社、及びAstraZeneca plcの4社の製薬企業が、世界で最も顧みられない2つの病気であるリーシュマニア症とシャーガス病の早期における創薬を加速し且つコストを削減する、画期的な試みに取り組むことを発表しました。「顧みられない熱帯病に対する創薬ブースター」のコンソーシアムは、慎重を極めた工学的手法により、参加製薬企業4社間の早期創薬における商業的障壁を取り除き、DNDiにとって初めてリーシュマニア症とシャーガス病の新たな治療の「リード化合物」を特定するための何百万という化合物を同時に探索することが可能となりました。

DNDiの最高責任者であるベル ナー ル・ペクール(Bernard Pecoul)医師は、「顧みられない病気の創薬を根本的に変えるこの実験的な試みは、十年以上にわたり製薬各社と発展させてきたパートナーシップの賜物といえます。この試みは、新しく有望な治療の誘導体化合物を特定する時間とコストを大幅に削減し、革新的な研究開発の提携に繋がる大きな可能性を秘めています。」

新たな治療を見出すための早期創薬は、従来から高価で時間の掛かるプロセスでした。顧みられない病気に対する有望な新規化合物を特定するために、DNDiは多くの製薬企業とパートナーを組み、化合物ライブラリーの膨大なデータの探索や感染細胞に対する試験を行って来ました。「創薬ブースター」は、参加企業間における多角的な同時探索プロセスを用いた新たなアプローチによるもので、これによりDNDiは何十年にもわたる研究から得られた化合物にアクセスすることが可能となります。また最先端の技術を駆使することにより、さらなる試験に進むことのできる有望な特徴を持った化合物を特定することができます。

「創薬ブースター」の革新的な要素は多角的なアプローチのみならず、探索の双方向的な性質という特徴にもあります。すなわち、探索が進むにつれ、企業はより適した化合物を特定するためにライブラリーを継続して調べます。この「創薬ブースター」を行うことで、通常であればおよそ5年かそれ以上を要する早期の創薬プロセスを最高で2年短縮できる可能性があり、研究活動全般で費用対効果も向上させることができます。

この新たなプロセスは、この「創薬ブースター」を進めるにあたり、DNDiが参加製薬企業4社に最初に共通の「シード化合物」の化学構造を開示するところから始まります。この化合物はリーシュマニア症およびシャーガス病を引き起こす原因となる寄生虫のリーシュマニアおよびクルーズトリパノソーマに対して有望な活性を示しますが、将来の治療においては、まだ最適な化合物とは言えないかもしれません。製薬企業4社は、それぞれ独自の特長があり、高品質な化合物が揃っているそれぞれの化合物ライブラリー全体を探索し、有効性が同等又はそれ以上と考えられる最も有望な化合物を選びDNDiに送ります。DNDiはリーシュマニア症及びシャーガス病の死に至る可能性もある寄生虫性疾患に対する有効性を調べるためにその化合物のスクリーニングを行います。このプロセスの目的は化合物の有効性を継続して改良することです。

DNDiはその後、さらなる研究開発に最適とみなされる「ヒット化合物」を選択します。この選択プロセスは、4社のコレクションのいずれかから選定され、有効性の向上が認められたこの「ヒット化合物」の化学構造情報は4社で共有され、これを次のシード化合物とすることにより、最高3回反復が繰り返され、次の研究開発に有望な「リード化合物」を創出します。初期のプロジェクトゴールは、各疾患に対して少なくとも4つの有望な「リード化合物」を見つけるために、コンソーシアムの全ての化合物ライブラリーを探索することです。このプロセスから得られた少なくとも2つの「新規化合物」が新薬開発に向けた次のステージに進むことになります。

「創薬ブースター」から得られるリーシュマニア症及びシャーガス病の治療の進歩や新たな薬剤開発の成功は、全ての参加パートナーの貢献によるもので、これらのパートナーは新薬開発が成功した場合に、新たな治療に対して知的財産の障壁を作らないことに同意しています。

2013年に発足した公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)はグローバルヘルスに関する研究開発(R&D)パートナーシップを奨励し支援しています。また、DNDiへの640,000ユーロ、すなわち7,950万円の助成金の提供を通じて、GHITは日本企業3社のプロジェクト参加を支援しています。なお、AstraZeneca plcのプロジェクトへの参加は、DNDi本体の資金によりまかなわれています。

「創薬ブースターは、世界でもっとも貧しい人々の健康と生活を脅かす病気との闘いのあり方を変える可能性を秘めた、画期的な取り組みになると思われます。とりわけ顧みられない病気に対して、患者の命を救う治療薬の開発を加速させるために、製薬業界は革新的なリーダーシップを発揮することが不可欠です。その実現に必要な日本企業による貢献を、今回GHITが支援できることを誇りに思います。」とGHIT Fund CEOである BTスリングスビーは述べています。
以上
***

<参加各パートナーは次のように述べています>

エーザイ株式会社
DNDi Drug Discovery Booster コンソーシアムへの参画により、当社の顧みられない熱帯病への取り組みが一歩前進することとなります。ヒューマン・ヘルスケア企業のエーザイは、コンソーシアムに参画し、パートナー間でリソースと知識を集約するという新たな試みを通じ、世界で約1800万人が罹患し社会問題となっている「リーシュマニア病」および「シャーガス病」の治療薬開発に取り組んでまいります。エーザイ株式会社 代表執行役CEO 内藤 晴夫

塩野義製薬株式会社
塩野義製薬代表取締役社長の手代木功は、「DNDiとの強力なパートナーシップのもと、当社グループの感染症領域における経験と強みを活かしながら、リーシュマニア症ならびにシャーガス病で苦しんでおられる患者さまのもとに一日も早く新薬をお届けするとともに、開発途上国をはじめとする世界中の人々の健康に貢献すべく医薬品企業としての使命を果たせるよう努力してまいります。」と述べています。

武田薬品工業株式会社
当社代表取締役 取締役会長 長谷川閑史は、「GHIT Fundを通じて本コンソーシアムに参加し、当社が蓄積してきた化合物ライブラリーを創薬研究開発に活用することにより、顧みられない熱帯病の治療薬の普及と克服に貢献できることを嬉しく思います」と述べています。

AstraZeneca plc
‘We are delighted to be working in partnership with DNDi, Eisai, Shionogi and Takeda Pharmaceuticals to advance the development of new medicines for the treatment of Chagas disease and leishmaniasis. AstraZeneca is committed to establishing open innovation partnerships with charity, academic and industry partners to push the boundaries of science to benefit patients worldwide.’ Dr Garry Pairaudeau, Head of External Sciences at AstraZeneca

<創薬ブースター コンソーシアム パートナーについて>

DNDi
Drugs for Neglected Diseases initiative(DNDi)は非営利研究開発組織で、特にリーシュマニア症、アフリカ睡眠病、シャーガス病、マラリア、特定のフィラリア感染症、および小児HIV等の顧みられない病気のための新しい治療薬・治療法の開発に取り組んでいます。2003年の設立以来、2種類の固定用量抗マラリア薬(ASAQ及びASMQ)、後期アフリカ睡眠病のためのニフルチモックスとエフロルニチンの併用療法(NECT)、アフリカにおける内臓リーシュマニア症 のためのスチボグルコン酸ナトリウムとパロモマイシン(SSG&PM)の併用療法、アジアにおける内臓リーシュマニア症のための一連の併用療法、 及びシャーガス病のためのベンズニダゾールの小児用製剤という6種類の新しい治療法を提供してきました。また当団体は、地域疾病に特化したプラットフォームを確立し、これにより疾病流行国に対して既存の臨床研究能力を強化し必要に応じて新たな能力を構築できるようパートナーと協力しています。当団体は2003年に、国境なき医師団/Medecins Sans Frontières(MSF)、ケニア中央医学研究所(KEMRI)、インド医学研究評議会(ICMR)、ブラジルのオズワルド・クルス財団(Farmanguinhos社)、マレーシア保健省、及びフランスのパスツール研究所によって設立され、世界保健機関(WHO) の熱帯病医学特別研究訓練プログラム(TDR) が常任オブザーバーを務めています。 (リンク »)

公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)
The Global Health Innovative Technology Fund (GHIT Fund), a public-private partnership between six Japanese pharmaceutical companies, the Japanese Government and the Bill & Melinda Gates Foundation, will support the three Japanese companies contributing to the Booster through a grant of €640,000 or 79.5 million Japanese Yen. The first of its kind in Japan, GHIT taps R&D to fight neglected diseases, mobilizing Japanese pharmaceutical companies and academic research organizations to engage in the effort to get new medicines and vaccines to people who need them most, with Japan quickly becoming a game-changer in global health. The booster complements GHIT’s ongoing investments into new tools to tackle Chagas disease and leishmaniasis, now totalling ¥1,131,760,559 ($1USD = ¥100).

エーザイ株式会社
エーザイ株式会社は、本社を日本に置く研究開発型グローバル製薬企業です。患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、世界で1万人を超える社員が「がん」「神経領域」を含むアンメットメディカルニーズの高い疾患領域において革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
 当社はグローバル製薬企業として世界の患者様へ貢献することを使命としており、開発途上国・新興国における医薬品アクセスの改善に向け主要なステークホルダーズとの連携を通じ積極的な活動を展開しています。
エーザイ株式会社の詳細情報は、 (リンク »)
をご覧ください。

塩野義製薬株式会社
塩野義製薬は、「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」という経営理念のもと、研究開発型の製薬企業として、患者さまに最もよい薬をグローバルに提供することに注力しています。感染症、疼痛・神経領域を研究開発の重点疾患領域とし、さらに、肥満・老年代謝性疾患や腫瘍・免疫疾患など、新たな疾患領域の研究開発にも取り組んでいます。塩野義製薬は、これらの疾患領域における革新的新薬の提供を通じて、世界中の皆さまの健康とQOLの改善に貢献してまいります。詳細はホームページでご覧ください。 (リンク »)

武田薬品工業株式会社
武田薬品は、研究開発型の世界的製薬企業を目指して、自社研究開発を強化するとともに、ライフサイクルマネジメントの推進、導入・アライアンスの積極展開を通じて研究開発パイプラインの充実を図り、ミッションである『優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する』の実現に努めています。詳細については (リンク »)
をご覧ください。

AstraZeneca plc
AstraZeneca is a global, innovation-driven biopharmaceutical business that focuses on the Discovery, development and commercialization of prescription medicines, primarily for the treatment of cardiovascular, metabolic, respiratory, inflammation, autoimmune, oncology, infection and neuroscience diseases. AstraZeneca operates in over 100 countries and its innovative medicines are used by millions of patients worldwide. For more information, please visit: (リンク »)

【お問合せ先】
Media Contacts
Sian Bowen, DNDi Communications Manager (Geneva) + 41 79 932 4268
Ilan Moss, DNDi Communications Manager (New York) +1 646 266 5216

特定非営利活動法人DNDi Japan
広報担当 松本眞理
Tel: 03-4550-1195 Fax: 03-5937-6977
mmatsumoto@dndi.org

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担当:山本、鹿角
Tel: 03-6441-2032/Fax: 03-6441-2031
Email: press@ghitfund.org
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エーザイ株式会社
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塩野義製薬株式会社 広報部
大阪 TEL:06-6209-7885 FAX:06-6229-9596
東京 TEL:03-3406-8164 FAX:03-3406-8099

武田薬品工業株式会社
CCPAコーポレート・コミュニケーション
Tel 03-3278-2037

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