学校法人昭和大学(東京都品川区)はこのたび「癌に対する遺伝子治療剤およびその製造方法」の特許を取得した。これは、昭和大学泌尿器科学教室の直江道夫准教授、長谷部友紀研究補助員、小川良雄教授およびてらおクリニックの寺尾秀治院長、神戸大学内科系講座iPS細胞応用医学分野の青井貴之教授、大阪大学大学院薬学研究科分子生物学分野の水口裕之教授による共同研究から発展したもの。癌の遺伝子治療で問題となる、癌細胞へのアデノウイルスベクターの導入効率を大きく改善させ、癌の遺伝子療法に大きく貢献することが期待される。
昭和大学泌尿器科学講座では、長年にわたり癌免疫に関する研究を行っており、その中でも特に抗癌作用の高いγδT細胞に関する研究に力を入れている。
癌の遺伝子治療の問題点の一つは、癌細胞に対するアデノウイルスベクターの感染効率が高くない点であるが、研究チームはγδT細胞が特異的に癌を攻撃することに着目し、γδT細胞をファイバー改変型アデノウイルスベクター(血球系細胞に親和性が高いように改良されたアデノウイルスベクター:水口教授から供与)のキャリアー細胞として用いることで、癌細胞に高効率にアデノウイルスベクターに搭載した目的遺伝子を導入する手法を考案した。
本システムに関する研究は2009年より開始され、その結果は2013年の『Journal of Cancer Science and Therapy』誌(Michio Naoe et. al.Vol.5.11. 384-390)に報告された。
このたびの発明において、新規性と進歩性が特許庁により認められ特許を取得。この研究が新たな遺伝子治療の発展につながり、今後の医学の進歩に貢献することが期待される。
◆特許の概要
【特許番号】 特許第6032697号
【発明の名称】 癌に対する遺伝子治療剤およびその製造方法
【参考】昭和大学ホームページ
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