玉川大学脳科学研究所が「社会のルールの変化」に関わる脳機能ネットワークの一端を解明 -- 英国科学雑誌に論文を発表 --

玉川大学

From: Digital PR Platform

2017-11-24 20:05




玉川大学脳科学研究所(東京都町田市/所長:小松 英彦)の松元健二教授と蓬田幸人特別研究員らの研究グループは、人々の意識が変わることで「社会のルール」が変化することに関わる脳内ネットワークの働きを、脳機能イメージング法を用いた実験により世界で初めて明らかにしました。この研究成果は、2017年11月24日(金)午後7時(日本時間)に英国の科学雑誌“Scientific Reports”に掲載されました。




【掲載論文】
雑誌名:Scientific Reports (2017年11月24日 オンライン掲載)
論文タイトル:The Neural Basis of Changing Social Norms through Persuasion


 世の中には「社会のルール(規範)」が無数に存在し、私たちがどう振る舞うのかを大きく左右しています。これらの規範は、昨今の禁煙規範の高まりや同性婚の容認の例にみられるように、人々の意識の変化に伴って変化していきます。こういった変化の原動力として、現代では、人々が様々なメディアを通じて意見・情報を発信し合い、特定の規範に対する意識を変えるよう他の人々を「説得」し合うという過程が重要な役割を果たしています。この、「説得されることによって人が規範に対する意識を変える」過程の裏にどのような脳の働きがあるのか、これまでほとんど明らかになっていませんでした。
 本研究では、機能的磁気共鳴画像法 (fMRI 注1) という非侵襲的な脳機能イメージング手法を用いることで、提示された意見・情報を基にある規範に対する意識を人が変えるときにどのような脳の活動が生じているのかを明らかにすることに初めて成功しました。実験の結果、規範に対する説得を受けているときには、規範と関係のない事柄に対する説得を受けているときと較べて、社会性に関わる脳の諸領域の活動が高まっていることが分かりました。また、意識が変化する方向によって関与する脳領域が異なり、規範に対する賛成の度合いが下がる場合には側頭葉の一部(左中側頭回)の活動上昇がみられました。さらに、頭頂葉の一部(左縁上回)には、規範に対する賛成度を表現している部位があることが判明し、説得によって賛成度が変化する際にはこの部位の活動が変化していることが明らかになりました。
 本研究成果は、規範の変化という社会現象のメカニズムを、脳という生物学的な視点から解き明かしていく端緒になることが期待されます。


 なお、本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」、新学術領域研究「ヘテロ複雑システムによるコミュニケーション理解のための神経機構の解明」、文部科学省科学研究費、日本学術振興会特別研究員奨励費の支援を受けておこなったものです。


※本研究の詳細は添付ファイルをご参照ください。


注1)機能的磁気共鳴画像法 (fMRI):
 神経活動に伴う脳内の毛細血管中の血液の流れ(血流量)の変化および酸素代謝の変化を、磁気共鳴画像装置 (MRI) を用いて測定し、それから神経活動の局所平均値を推定する研究法。

【研究内容に関するお問い合わせ】
玉川大学 脳科学研究所
 特別研究員 蓬田 幸人(よもぎだ ゆきひと)
 教 授  松元 健二(まつもと けんじ)
 研究室:042-739-7231
 E-mail: yukihitoyomogida@gmail.com, matsumot@lab.tamagawa.ac.jp



【AMED事業に関するお問い合わせ】
戦略推進部 脳と心の研究課
 TEL:03-6870-2222 
 FAX:03-6870-2244
 E-mail:brain@amed.ac.jp



▼本件に関する問い合わせ先
学校法人玉川学園教育企画部広報課
住所:東京都町田市玉川学園6-1-1
TEL:042-739-8710
FAX:042-739-8723
メール:pr@tamagawa.ac.jp


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