追手門学院大学の研究チームが「他者の視点で考える」脳内メカニズムを認知心理学から解明 -- 幽体離脱のメカニズムも明らかに

追手門学院大学 2018年01月17日

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認知心理学を専門とする追手門学院大学(大阪府茨木市、学長:川原俊明)心理学部の乾敏郎教授の研究チーム(心理学部4年 寺前ひかり、杉浦優衣)は、身体の平衡感覚をつかさどる前庭および三半規管の感度が高い人(いわゆる乗り物酔いをしやすい人)は、そうでない人よりも「他者の視点を知覚する能力が高い」ことを実験から明らかにした。この研究結果は、人間の社会性やコミュニケーション能力の形成過程における個人差を考える上で重要な論拠となるもので、今年9 月に開催される日本認知心理学会で報告する予定である。




【検証の手順】
 乾教授の研究チームは、対人コミュニケーションにおいて重要となる「他者の視点を知覚する能力」に関する脳内メカニズムについて、「他者の視点を理解しようとすると、前庭および三半規管の反応を利用して、イメージの中で他者の位置まで身体を動かすシミュレーションが頭の中で発生する」との仮説を立てた。
 平衡感覚などの身体の動きは耳の中にある前庭および三半規管で知覚されている。先行研究からこれらの器官の感度が高い人は乗り物酔いをしやすいことがわかっており、「乗り物酔いをしやすい人は、そうでない人よりも仮説で示したシミュレーションが早くできることを確認する」ことを実験を通して検証した。

【実験内容】
 実験は追手門学院大学の学生476 人の内、乗り物酔いしやすい人(17 人と18 人の2 班)と乗り物酔いしない人(14人と13 人の2 班)に分けて4 パターン行った。
 このうち「他者視点取得」の実験には、乗り物酔いしやすい人18 人としない人13 人が参加。台の上に女の子の人形と動物のぬいぐるみを対面させて被験者の前に置き、動物のぬいぐるみの右耳もしくは左耳に印をつけて、人形から見て動物のどちらの耳に印があるかを回答してもらい、その速さを測定した。被験者の見る角度や印の左右を変えて測定した結果、乗り物酔いしやすい人の平均値はしない人よりも統計的に有意に速いことを確認した。また回転角度が大きいほど時間がかかることも判明した。同様の趣旨で行った別の実験でも、結果はいずれも乗り物酔いする人の方が速く、差を確認した。
 以上のことから仮説は証明され、身体の平衡感覚をつかさどる前庭および三半規管の感度が高い人(いわゆる乗り物酔いをしやすい人)は、そうでない人よりも「他者の視点を知覚する能力が高い」ことも裏付けられた。

【得られた知見】
 今回の発見は、他者の動作などを把握する際のベースとなる機能に個人差があることを明らかにし、人の社会性やコミュニケーション能力の形成過程を考える上で重要な知見といえる。例えば発達障害の子どもは、前庭および三半規管を鍛え感度を高めることで社会性やコミュニケーション能力の向上につながることが期待される。
 また、今回の発見はいわゆる「幽体離脱」のメカニズムにも重要な知見を提供するものと考えられる。先行研究から脳のある部位が損傷すると幽体離脱が発生することは分かっていたが、メカニズムは未解明のままだった。脳のある部位が損傷することで、他者がいないのに無意識のまま前庭および三半規管による身体を動かすシミュレーションが発生してしまい、あたかももう一人の自分が別のところにいるように認識してしまうことと説明できる。

●乾敏郎教授プロフィール
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▼本件に関する問い合わせ先
 追手門学院 広報課 谷ノ内・足立
 TEL:072-641-9590


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