ごくわずかな振動を計測してボルトのゆるみを検知する手法を開発~高精度な計測でゆるみ事故を未然に防ぐ~

芝浦工業大学

From: Digital PR Platform

2019-02-07 20:05




芝浦工業大学(東京都港区/学長 村上雅人)機械機能工学科の細矢直基教授の研究グループは、構造物等に用いられているボルト締結体について、それを叩いた際のごくわずかなレベルの振動を加速度センサで計測することで、打音検査では分からない微妙なゆるみを高精度で定量的に検知できる手法を開発しました。





●背景
構造物等のボルト締結時における軸力の管理法としては、装置が簡便であることからトルク法が広く普及しており、締結後については、古くからハンマによる打音検査や薄板センサを用いた方法などがあります。しかし、人の耳による熟練技術の必要やボルト締結体にセンサを挿入する手間などがあり、また現在も飛行機や遊具等においてボルトのゆるみが原因で事故が起きているなど、いまだ100%検知できていない現状があります。そこで、特殊な器具を用いることなく、そしてボルト締結体に何らかの構造物を付加せずに、その軸力を確実に検知することができれば、より実用的なボルト締結体における軸力の検知および管理法として発展することが期待できます。


●人には聞こえない超音波レベルの振動計測
適正締め付けトルクで締結されている状態と緩んでいる状態において、それぞれ超音波レベルでの実験モード解析を行い、ボルト頭部の局所的な揺れ方を観察しました。ボルトを叩いて振動させた結果、適性に締まっていればボルト頭部の振動モード形の固有振動数が高く(細かく速く揺れる)、緩むことで低下(大きくゆっくり揺れる)することがわかりました。これにより、ボルト頭部の固有振動数を観察すれば、ボルト締結体の軸力の程度を検知することが実証されました。


●実用化に向けて
今後は、さまざまな対象構造物への実施例(対象構造物の大きさ、ボルトの位置や本数など)、着目すべきボルト頭部の固有振動モード形、計測対象振動数などを検討することで、実用化を目指していきます。



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