国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) (リンク »)
SAPとICT分野における機械翻訳に関して提携
~企業の業務効率化のためのソフトウェア専用AI翻訳システムを目指し~
国立研究開発法人情報通信研究機構(本部: 東京都小金井市、理事長: 徳田 英幸、以下「NICT」)は、SAP SE(本社: ドイツワルドルフ、共同最高経営責任者: ジェニファー・モーガン/クリスチャン・クライン、以下「SAP」)と、互いの自動翻訳のリソースや技術を持ち寄り、企業の業務効率化ソフトウェア専用のAI翻訳システムの高精度化・多言語化を進め、国内外企業の業務効率化に役立つ翻訳サービスを開発していくことになりました。
経済のグローバル化の急進やテクノロジーの急速な革新により、ビジネス向けソフトウェアの関連情報の多言語化ニーズが急増しています。ソフトウェアの開発者や利用者が高精度の機械翻訳により、ソフトウェアに関する最新情報を正確に効率的に入手することが、これまで以上に求められています。
NICTは、観光や生活に特化した音声翻訳、特許や製薬に特化したテキスト翻訳で高精度なAI翻訳*1を実現してきました。また、高精度な翻訳を目指す手段として、対訳データを集める翻訳バンク*2を運用し、大規模に蓄積してきました。一方、SAPは、あらゆる業種とあらゆる規模の企業向けにビジネスアプリケーションを提供、世界180か国以上に約43万7,000社の顧客を擁し、約80言語を対象に、高精度、高速な翻訳サービスの提供を念頭に研究開発を推進してきました。
このような状況を背景に、NICTとSAPは、互いの自動翻訳のリソースや技術を持ち寄り、2022年末までの期間、共同で研究を実施することになりました。
NICTの茨木久理事は、「日本のNICTとグローバル企業SAPの連携により、多様な企業の業務効率化を実現する大きな成果が創出されることを期待しています」とコメントしています。
SAP SE ランゲージサービス担当バイスプレジデントのトーマス・ヴィーノルド氏は、「SAPと日本のNICTが連携することは、ニーズとシーズの最適なマッチングであり、大きな成果が期待できる」とコメントしています。
<用語解説>
*1 AI翻訳
AI技術で多用される深い階層構造を持つニューラルネットワークを用いた自動翻訳技術のこと。
NICTは、AI翻訳の研究開発を推進しており、自動翻訳に関する論文数のランキング(2010年度~2018年度第1四半期のScopus)で、世界2位と7位をNICTの研究員が占めるなど、研究水準の高さは客観的に評価されており、自動翻訳技術で世界をリードしている。
その研究成果である高精度自動翻訳システムをTexTra(テキストラ)と名付けて公開している。公開サイト「みんなの自動翻訳@TexTra®」( (リンク ») )では、コピー・ペーストしたり、サイト上の翻訳エディタを利用したり、WordやPowerPointのファイルを直接翻訳するなど、様々な方法で翻訳精度を試すことができる。
*2 翻訳バンク
AI翻訳の精度向上には、アルゴリズムの改良に加えて、対訳データの質と量の影響も大きく、高品質な対訳データの大量確保が重要となる。NICTは、総務省と共に、対訳データを集積する「翻訳バンク」を運用し、日本語の翻訳技術の多分野化・高精度化に取り組んでいる。
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