京都産業大学生命科学部 千葉志信教授らの研究グループは、翻訳一時停止因子を用いて、細胞内で合成途上にある新生タンパク質の成熟化の動きを網羅的に感知する手法「TnDR」を開発し、新生タンパク質の動的な挙動を解明した。
タンパク質は、役割を果たす持ち場へと運ばれたり(局在化)、機能する形へと折り畳まれたりすることで、機能を持つタンパク質へと「成熟化」する。この成熟化は、タンパク質合成の完了を待たずに開始されると示唆されていたが、それがどれほど一般的であるかについての実験はほぼなされていなかった。
京都産業大学生命科学部 千葉志信教授(同大学タンパク質動態研究所所員)らの研究グループは、枯草菌をモデル生物とし、翻訳一時停止因子を用いて細胞内で合成途上にある新生タンパク質の成熟化の動きを網羅的に感知する手法「TnDR」を新たに開発した。この手法を用いることにより、合成されている途中で成熟化の動きを起こすタンパク質を多数見出すことに成功した。実際に様々なタンパク質が、合成の途上で成熟化を開始することが示唆され、細胞が合成と成熟化を同時進行させることで、機能を持つタンパク質を効率よく生み出しているものと考えられる。
本研究成果により、私たちが生きていく上でなくてはならないタンパク質が、実際の細胞内でどのように合成され、組み立てられているのかといった生命の基本的な仕組みを理解することに貢献できると期待される。
この研究成果は、2020年10月14日に米国科学雑誌「Cell Reports」(オンライン版)に掲載された。
むすんで、うみだす。 上賀茂・神山 京都産業大学
関連リンク
・合成途上の新生タンパク質が見せる動的な挙動を網羅的に検出する手法の開発と解析
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・タンパク質動態研究所
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・京都産業大学 生命科学部 千葉 志信 教授
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