医療情報のネットワーク化を推進するメディカル・データ・ビジョン株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:岩崎博之)は、コロナ禍の長期化で患者さんが外部との接触が制限される中、インターネット環境が外部とのコミュニケーションの助けとなることが期待されていることから、病棟に患者用ネット環境が整備されているかなどを調べるアンケート調査を実施。その結果、約9割弱の病院で環境を「整備済み」、「検討中」であることが分かりました。
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このアンケートは、8月23日から30日までにWEBで実施。計162病院から回答を得ました。
病棟に患者用ネット環境が整備されているかを聞いたところ、「整備済み」の病院は75病院(46.3%)、「検討中」は65病院(40.1%)、「整備する予定はない」は22病院(13.6%)でした。
■患者満足度につながった好事例
「整備済み」の病院からは、患者さんにとってプラスの体験となった事例が聞かれました。
青森県立中央病院(青森市)
「集団指導ができない中、母親学級で資料動画を提供することができ、妊婦さんの不安軽減につながった」
学校法人 東北医科薬科大学病院(仙台市)
「オンライン面会ができ、患者さんが涙を流して喜ばれた。また、重症化した新型コロナウイルス感染症の患者さんがICUに搬送され、人工呼吸器管理のため気管内挿管する前、意思疎通が図れるうちに家族とタブレットによるオンライン面会を設定した。残念ながら数週間後に亡くなったが、今でもご遺族の心の中には、コロナに立ち向かう勇敢な患者さんの姿が焼きついているのではないかと思っている」
社会福祉法人京都社会事業財団 西陣病院(京都市)
「ターミナル(終末期)の患者さんから、やりたい仕事ができたと喜ばれた」
国家公務員共済組合連合会 舞鶴共済病院(京都府舞鶴市)
「入院患者さんから環境整備の要望があり、対応した。オンライン面会も1日に数件実施している」
つるぎ町立半田病院(徳島県美馬郡つるぎ町)
「外来患者さんの待ち時間の過ごし方の幅が広がった。入院患者さんはテレビの視聴が減っているようだ」
社会医療法人かりゆし会 ハートライフ病院(沖縄県中頭郡中城村)
「患者さんがいる場所全てで環境を整備済み。療養中や待合中の患者満足度はもちろん、職員個人も使えるよう大規模な装置を整備したので、職員満足度の向上にもつながっている」
そのほか、「立ち合い出産や面会を制限している中で、オンラインで赤ちゃんの顔を見せることができた」「オンライン面会によって患者さん・家族の面会希望を叶えることができた」といった事例がありました。
■環境整備への課題も
「整備する予定はない」と回答した病院にその理由を聞いたところ、費用対効果への懸念が最も多く挙げられました。また、「整備済み」の病院からは、「患者さんからつながりにくい、速度が遅いといった苦情が出た」「高齢者のオンライン面会の際に職員が立ち会うことになり、人員のやりくりが大変」といった意見も寄せられました。
9月末に申請期限を迎える2021(令和3)年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金は、医療機関において入院患者などが利用できるWi-Fi環境の整備等に要する費用も対象となっています。ところが、「他の費用で補助金の上限額に達してしまった」「前年度の同補助金を受領したため申請できない」といった声も聞かれ、ネット環境の整備を検討している病院がより導入しやすいような体制の整備が期待されます。
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