EY調査、税務調査の強化に伴い、企業は税務リスクの新たな時代に向けて準備を進める

EY Japan株式会社

From: 共同通信PRワイヤー

2023-05-23 14:47

「2023年EY税務リスクと税務係争に関する調査」を発表

・企業の税務リーダーの過半数(グローバル:51%、日本企業:56%)が、今後2年間に税務係争が増加すると予想している
・国境を越えた税制改革がリスクのトップに挙げられ、今後は係争の増加によるコスト増が予測されている
・企業の税務リーダーの4人に3人(グローバル:75%、日本企業:82%)は、全世界における自社の係争を完全に把握できていない

EYは、最新の税務関連の調査レポート「2023年EY税務リスクと税務係争に関する調査 (リンク ») 」を発表したことをお知らせします。本調査によると、企業が経験する税務調査の件数は、今後2年間で3分の1以上増加すると予想されています。税務・財務リーダーの過半数(グローバル:51%、日本企業:56%)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック期間中は係争が中断していたものの、今後は税務問題に対する調査が厳しくなる時代になると考えて準備を進めています。

EYでは今回、2022年第4四半期に、日本を含む47の国と地域および20の業界セクターにわたる2,100名を超える税務・財務リーダーの見解を詳しく調査しました。これは過去20年の調査の中で最大のサンプル数となっています。

本調査では、税務執行が税務・財務リーダーの最大の懸念事項であることが明らかになっており、回答者の大多数(グローバル:35%、日本企業:33%)が、ビジネスリスク(グローバル:26%、日本企業:21%)、法規制問題(グローバル:30%、日本企業:31%)を上回る最大のリスクとして挙げられています。こうした懸念の背景には、今後2年間にわたって、国境を越えた課税問題への一層の注力、税法に関する不確実性、税務当局からの詳細な情報提供要請の大幅な増加が見込まれていることがあります。

世界全体で、リーダーたちはすでに多くの税務問題に対処しています。調査対象のリーダーの95%(日本企業:99%)が、自社が現在少なくとも1件の税務係争を管理していると回答し、半数以上(グローバル:52%、日本企業:49%)が総額100万米ドルを超える係争を監督していると回答しました。 

EY Global バイス チェア(タックス) マルナ・リッカーのコメント:
「COVID-19のパンデミック期間中は税務調査や訴訟が大幅に中断されましたが、今後、世界的な税制改革の新たな波が押し寄せる中、世界中の経営幹部は、税務調査が厳しくなる時期に入ると予想しています。テクノロジーの進歩、強化されたデータ収集力、グローバルな協力体制によって当局の権限が強化され、税務執行の新たな時代が到来しようとしています。税務・財務部門は、係争や金銭的・風評的なペナルティの可能性を回避したいのであれば、税務リスクと係争管理アプローチにおけるグローバルな連携に投資する必要があります」 

国境を越えた税務問題が懸念リスクの主な要因:
国境を越えた税務が最も多くの係争を引き起こす可能性が高く、回答した税務部門のリーダーの53%(日本企業:44%)が、国際税務と移転価格問題に対する税務当局の注目度が高まると予想しています。移転価格は、2位と3位の税制優遇措置(グローバル:35%、日本企業:22%で4位)、費用の損金算入(グローバル:31%、日本企業:33%)に比べ、ほぼ2倍(グローバル:63%、日本企業:67%)の票を獲得し、最大の税務リスク要因としてトップの座に返り咲きました。

経済協力開発機構(OECD)とG20主導のBEPS (base erosion and profit shifting) 2.0プロジェクトによって策定されたグローバル最低税率15%の導入は、企業にとって懸念事項であり、回答者の55%(日本企業:52%)が税務コストが増加すると考え、ほぼ半数(グローバル:45%、日本企業:48%)が新たな調査や係争の可能性が高まると回答しています。

その結果、税務リスク管理におけるグローバルな連携の必要性が、税務部門のリーダーにとって優先事項となっています。回答者の84%(日本企業:87%)が、税務リスクと税務係争の管理に対する既存のグローバルなガバナンスフレームワークのアプローチを導入または改善することで、今後2年間で自社のビジネスに付加価値がもたらされると回答しています。調査対象の多くの企業(グローバル:39%、日本企業:42%)は、今後2年間で税務係争の管理を一元化する予定と回答しており、ほとんどの税務係争への対処を現地チームに任せている回答者はわずか7%(日本企業:19%)でした。それにもかかわらず、調査対象企業の4社に3社(グローバル:75%、日本企業:82%)は、自社の世界中の税務係争を完全に把握できていないと回答しています。

税務ガバナンスがビジネスリーダーの中心的課題に:
企業はすでに、コロナ禍後の税務リスクと税務係争の環境に適応するための変更を行っており、回答者の69%(日本企業:67%)が、税務ガバナンスへの取り組みが今後数年間で拡大すると予想しています。これは、税務当局が企業のリスク評価の方法として、税務ガバナンスの有効性の検証への注力を強化していることに反映されています。回答者は、公式および非公式の情報提供要請が増加していることを指摘し、86%(日本企業:75%)が、係争に発展する前により積極的にリスクを特定し管理したいと考えています。

企業は、税務リスクへのリソースの投入を強化:
さまざまな税務リスクに対処するため、リーダーはリソースに投資し、新しい役割や職務を設けています。多くの回答者(グローバル:38%、日本企業:28%)が、過去2年間に自社が税務リスクまたは税務係争の専任リーダーを任命したと回答し、81%(日本企業:78%)の回答者がそのような役割は自社のビジネスに大きな価値をもたらすと考えています。また、過去2年間に税務リスクと税務係争の「委員会」や「センター・オブ・エクセレンス」を設置した、あるいは既存の同様のワーキンググループを強化したと回答した割合も同じです。 

EY Global タックスコントラバーシーリーダー ルイス・コロナドのコメント:
「世界各国の政府が税務執行を強化し、税務データの透明性に対する要求が高まる中、企業は税の確実性を高めるためにできる限りのことを行っています。人材への投資であれ、税務リスクと税務係争を管理するためのグローバルなアプローチの再構築であれ、経営幹部は現在、自社の税務リスクの監視、文書化、評価に対してはるかに積極的なアプローチを取っています。ただし、本調査では、適切なポリシーを策定することは1つのステップに過ぎないことも明らかになりました。税務リスクと税務係争を効果的に管理するには、グローバルオペレーションと現地オペレーション間のシームレスなコラボレーション、実行、連携が不可欠です。こうしたことを適切に行った企業は、リスクが軽減された税務プロファイルと、今後数年間で係争が減少する可能性によって報われることになるでしょう」 

EY Japan タックス・ポリシー・アンド・コントラバーシーリーダー / EY税理士法人 パートナー 関谷 浩一(せきや こういち)のコメント:
「国境を跨(また)いだ課税問題の増加は、日系多国籍企業が直面する喫緊の課題です。多くの日系多国籍企業が、新興国を含む海外拠点において、よりアグレッシブな税務係争への対応を求められています。効果的にグローバルな税務係争に対応するためには、本社を司令塔としたグローバルガバナンス体制の構築が欠かせません。日系多国籍企業については、欧米や中国系多国籍企業と比してこれまで出遅れていた面があります。他方、OECDのBEPS 2.0プロジェクトの進捗もあり、グローバル係争対応も含め、グローバルガバナンスの強化にかじを切る動きが増えつつあるところ、このような内外の動向やプラクティスに注意を払っていくことが必要であると考えられます」

2023年EY税務リスクと税務係争に関する調査の詳細については、下記サイトをご参照ください。

税務リスクと税務係争が増大する時代に税務ガバナンスが鍵となる理由 (リンク »)
なぜ今世界的な税制改革に備える必要があるのか (リンク »)

「2023年EY税務リスクと税務係争に関する調査 日本における結果」は、以下EY Japanのウェブサイトからダウンロードください。
EY調査、税務調査の強化に伴い、企業は税務リスクの新たな時代に向けて準備を進める | EY Japan (リンク »)

※本プレスリリースは、2023年3月29日(現地時間)にEYが発表したプレスリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

英語版ニュースリリース:Organizations prepare for a new era of tax risks as scrutiny intensifies (リンク »)

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<2023年EY税務リスクと税務係争に関する調査について>
本調査では、2022年第4四半期に、47の国・地域と20の業界セクターにわたる2,127名の税務・財務リーダーの見解を詳しく調査しました。これは今までの調査の中で最大のサンプル数となっています。

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