株式会社Liberaware(千葉県千葉市、代表取締役 閔 弘圭、以下「Liberaware」)は、東海旅客鉄道株式会社(愛知県名古屋市、代表取締役社長 丹羽 俊介、以下「JR東海」)に「IBIS2」を試行し、高所や狭所における点検作業の代替による労働災害リスクの低減と、3Dデータ化による部署間を跨ぐ迅速な情報共有を実現いたしました。
右から、CalTa株式会社 Marketing Division シニアマネージャー 砂川 裕、東海旅客鉄道株式会社 関西支社 工務部 施設課 係長 田毎 直、関西支社 工務部 施設課 福山 敦史、関西支社 京都保線所 助役 太田 了允、関西支社 京都保線所 上田 健太郎、株式会社Liberaware マーケティング・コミュニケーション部 前 駿平
■試行背景
東京駅と新大阪駅を結ぶ東海道新幹線は、平均で一日46万人を運ぶ、我々の暮らしに欠かせない鉄道インフラです。それだけに東海道新幹線沿線の膨大な土木構造物を、適切に維持管理することは、人々の暮らしを支える上でとても重要なことです。JR東海関西支社では、橋梁、トンネルといった構造物を2年に1回の周期で点検し、その健全性を確認。点検の結果、補修が必要と判断された箇所については、補修作業の計画策定、補修サイクルの管理、さらに補修工事の発注・監督の業務を行っています。
こうした同支社の鉄道インフラの維持管理の中でも、業務改革と労働環境整備のひとつとして、近年、目まぐるしく進展を遂げるデジタル技術を積極的に試行しています。3Dデータや点群データ、地理情報データによる維持管理に加えて、そのデータを取得するためのセンサーやドローンといった機器はその最先端のツールです。
例えば新幹線駅の高架橋の点検では、3Dレーザースキャナーを用いて点群測量して構造物を3Dデータ化しています。過去のデータを照らし合わせて、構造物のゆがみや沈み込みといった、数ミリメートル単位の微細な変化を監視。こうしたデータの数値を解析し、検査の高度化、効率化を図っています。
ただ、鉄道インフラの中には施設が複合的に組み合わさっているものもあります。例えば高架駅は、高架橋の下に駅舎施設が設置されているような形となっているため、橋脚や橋桁が施設の壁や天井に隠れてしまっていて、ふだん目にすることはほとんどありません。そのため、高架橋の梁や床板などを点検する場合には、駅施設の天井裏空間の中で構造物を調査しなければなりません。
天井裏は高さ5mを超える場所もあり、点検作業者が天井の骨組みの上を歩いたり、足場板を敷いたりして進むこともあるため、転倒や墜落の労働災害につながるリスクがある作業環境です。また、そもそも人が立ち入れないような狭い空間が多く存在するだけでなく、そこにレーザースキャナーを入れたとしても、設備の裏側までレーザーが届かず、細かいひび割れといった構造物の損傷を見落とす可能性もあるといいます。
そこで、JR東海関西支社ではこうした天井裏空間における高架橋点検を、安全かつ効率的に行える技術を検討しました。そのひとつとして、天井裏空間の中でカメラを飛行させる形でデータが取得できる「IBIS2」を採用しました。一般的に狭隘空間の点検には、車輪の付いたタイヤ型ロボットや、機体を折り曲げながら進むヘビ型ロボットも使われますが、ドローンを使えばこうしたロボットでは困難な、障害物を乗り越えるような上下移動が可能になります。
さらに、ドローンを検討する過程では、機体全体を球状に覆うガード付きのドローンや、手の平にも乗るような小型のマイクロドローンなども検討したといいます。このような選択肢の中から、社員でも安定して飛行させることができるということから、「IBIS2」が選ばれました。同支社では、原則としてドローンを用いた点検作業において、外部のドローン事業者にドローンの運航を委託するのではなく、操縦訓練を受けた同社の社員自ら「IBIS2」を飛行させて点検することになっているからです。
自社での運用を推進する理由はいくつかあります。鉄道インフラの構造物は点検対象が多く、同時に夜間作業が中心になってしまうことから、ドローンによる点検を外部に委託すると、点検コストが膨らんでしまいます。また、豪雨による漏水といった突発的な事象が発生した場合にも、外部委託の形ではすぐに対応できません。さらに、駅の天井裏空間は構造が複雑であり、外部のドローン操縦者に調査の範囲などを指示するとなると作業が煩雑になってしまいます。鉄道構造物の専門知識を有した社員であれば、どこを重点的に見るべきかといったことを把握しているため、社員自らドローンと飛行させて点検することが効率的と言えます。そして「最終的な健全度の判定に責任を持つために、社員が異常の有無を直接見て判断することを基本としている」ことが一番の理由だといいます。
また、「IBIS2」というドローン単体の評価だけでなく、CalTa株式会社(以下、「CalTa」)の動画から3Dデータを自動生成し、現場管理ができるプラットフォーム「TRANCITY」と組み合わせることで、映像から点群データを取得し、画像から変状の寸法を確認できるといった、精度の高い点検結果を可視化するメリットもあったといいます。LiberawareとCalTaの技術サポートといった点を総合的に評価し、ソリューションとして試行に至りました。
TRANCITY公式サイト: (リンク »)
■成果
〇労災リスクを低減・足場設営のコストカット
2024年度から高架橋の点検に「IBIS2」を試行したことで、「従来の転倒、墜落の危険ある高所での作業、無理な姿勢を強いられる狭所での作業が削減でき、現場の労働災害のリスク低減につながったことが一番大きい」といいます。また、これまで見えなかった箇所の画像を近接して撮影できることで、ひび割れの規模や錆の進行具合といったものを、データ上で計測できるようになりました。もちろん、これまでは足場を設置しないといけなかったような高所の部分に対しては、「IBIS2」を利用することでその費用を抑えられるという効果もあります。
〇「TRANCITY」を中心に他部署との情報共有で迅速な判断が可能に
同時に「IBIS2」で取得した動画から「TRANCITY」で生成した3Dデータにより、点検個所の位置の共有が可能になりました。また、平面図では把握しきれない配管やケーブル、空調の室外機といった設備の位置関係を三次元空間の中で理解することができるようになったこともその効果のひとつとして挙げられます。さらに、現場に行かなくてもオフィスで現地の状況を確認でき、「電気や建築といった他の部署との情報共有がスムーズになり、迅速な判断ができるようになった」といいます。
〇構造物の経時変化をミリメートルの精度で比較する
JR東海関西支社ではこれまでにも、GPSによる位置制御ができるような屋外では、橋梁の上弦材や、人が容易には近づけない橋脚の上部にドローンでアクセスする取り組みを行っています。そこで得られたデータを「TRANCITY」で解析して、同じ構造物に対して3Dデータを取得し、そのデータを比較することによる構造物の変化の監視を行ってきました。「時系列で3Dデータを重ね合わせることで、経時変化もわかる」といいます。
今後はこの微細な変化がわかる技術を活かして、「将来的には列車が走っている状態での高架橋のたわみ量を測定したい」というアイデアも。そのためには、昼間の営業運転中であってもドローンを飛行させて点検ができるよう、「あらかじめドローンを進入させない空域を設定し、そこに絶対に入れない“見えない壁”を作るような制御が必要」だといいます。
さらには、ドローンで視覚的なデータを取得するだけでなく、構造物をハンマーなどで叩いて、その音から内部の劣化を調べる打音検査をドローンが担うことや、「高架橋からその下にある施設の天井に雨漏りが発生した場合に、すぐにドローンを飛ばして原因を特定したり、吸水材を運んで簡単な応急処置ができたりするといい」といったアイデアも現場から上がっているそうです。
▼株式会社Liberawareについて
株式会社Liberawareは、「誰もが安全な社会を作る」をミッションに掲げ、世界でも珍しい「狭くて、暗くて、危険な」かつ「屋内空間」の点検・計測に特化した世界最小級のドローン開発と、当該ドローンで収集した 画像データを解析し顧客に提供するインフラ点検・維持管理ソリューションを行っています。ビジョンでもある「見えないリスクを可視化する」ことに邁進し、安全で平和な社会を実現します。
会社名:株式会社Liberaware(リベラウェア)
代表取締役:閔弘圭(ミン・ホンキュ)
所在地:千葉県千葉市中央区中央3-3-1
設立:2016年8月22日
事業内容:
・ドローン事業:ドローン等を用いた調査・点検・測量サービス、自社開発のドローン等の販売・レンタルサービス
・デジタルツイン事業:ドローン等により取得したデータの画像処理、データ解析サービス、及び当社画像処理技術のライセンス提供
・ソリューション開発事業:ハードウェアからソフトウェアまで幅広いソリューションを提供する受託開発事業
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右から、CalTa株式会社 Marketing Division シニアマネージャー 砂川 裕、東海旅客鉄道株式会社 関西支社 工務部 施設課 係長 田毎 直、関西支社 工務部 施設課 福山 敦史、関西支社 京都保線所 助役 太田 了允、関西支社 京都保線所 上田 健太郎、株式会社Liberaware マーケティング・コミュニケーション部 前 駿平
■試行背景
東京駅と新大阪駅を結ぶ東海道新幹線は、平均で一日46万人を運ぶ、我々の暮らしに欠かせない鉄道インフラです。それだけに東海道新幹線沿線の膨大な土木構造物を、適切に維持管理することは、人々の暮らしを支える上でとても重要なことです。JR東海関西支社では、橋梁、トンネルといった構造物を2年に1回の周期で点検し、その健全性を確認。点検の結果、補修が必要と判断された箇所については、補修作業の計画策定、補修サイクルの管理、さらに補修工事の発注・監督の業務を行っています。
こうした同支社の鉄道インフラの維持管理の中でも、業務改革と労働環境整備のひとつとして、近年、目まぐるしく進展を遂げるデジタル技術を積極的に試行しています。3Dデータや点群データ、地理情報データによる維持管理に加えて、そのデータを取得するためのセンサーやドローンといった機器はその最先端のツールです。
例えば新幹線駅の高架橋の点検では、3Dレーザースキャナーを用いて点群測量して構造物を3Dデータ化しています。過去のデータを照らし合わせて、構造物のゆがみや沈み込みといった、数ミリメートル単位の微細な変化を監視。こうしたデータの数値を解析し、検査の高度化、効率化を図っています。
ただ、鉄道インフラの中には施設が複合的に組み合わさっているものもあります。例えば高架駅は、高架橋の下に駅舎施設が設置されているような形となっているため、橋脚や橋桁が施設の壁や天井に隠れてしまっていて、ふだん目にすることはほとんどありません。そのため、高架橋の梁や床板などを点検する場合には、駅施設の天井裏空間の中で構造物を調査しなければなりません。
天井裏は高さ5mを超える場所もあり、点検作業者が天井の骨組みの上を歩いたり、足場板を敷いたりして進むこともあるため、転倒や墜落の労働災害につながるリスクがある作業環境です。また、そもそも人が立ち入れないような狭い空間が多く存在するだけでなく、そこにレーザースキャナーを入れたとしても、設備の裏側までレーザーが届かず、細かいひび割れといった構造物の損傷を見落とす可能性もあるといいます。
そこで、JR東海関西支社ではこうした天井裏空間における高架橋点検を、安全かつ効率的に行える技術を検討しました。そのひとつとして、天井裏空間の中でカメラを飛行させる形でデータが取得できる「IBIS2」を採用しました。一般的に狭隘空間の点検には、車輪の付いたタイヤ型ロボットや、機体を折り曲げながら進むヘビ型ロボットも使われますが、ドローンを使えばこうしたロボットでは困難な、障害物を乗り越えるような上下移動が可能になります。
さらに、ドローンを検討する過程では、機体全体を球状に覆うガード付きのドローンや、手の平にも乗るような小型のマイクロドローンなども検討したといいます。このような選択肢の中から、社員でも安定して飛行させることができるということから、「IBIS2」が選ばれました。同支社では、原則としてドローンを用いた点検作業において、外部のドローン事業者にドローンの運航を委託するのではなく、操縦訓練を受けた同社の社員自ら「IBIS2」を飛行させて点検することになっているからです。
自社での運用を推進する理由はいくつかあります。鉄道インフラの構造物は点検対象が多く、同時に夜間作業が中心になってしまうことから、ドローンによる点検を外部に委託すると、点検コストが膨らんでしまいます。また、豪雨による漏水といった突発的な事象が発生した場合にも、外部委託の形ではすぐに対応できません。さらに、駅の天井裏空間は構造が複雑であり、外部のドローン操縦者に調査の範囲などを指示するとなると作業が煩雑になってしまいます。鉄道構造物の専門知識を有した社員であれば、どこを重点的に見るべきかといったことを把握しているため、社員自らドローンと飛行させて点検することが効率的と言えます。そして「最終的な健全度の判定に責任を持つために、社員が異常の有無を直接見て判断することを基本としている」ことが一番の理由だといいます。
また、「IBIS2」というドローン単体の評価だけでなく、CalTa株式会社(以下、「CalTa」)の動画から3Dデータを自動生成し、現場管理ができるプラットフォーム「TRANCITY」と組み合わせることで、映像から点群データを取得し、画像から変状の寸法を確認できるといった、精度の高い点検結果を可視化するメリットもあったといいます。LiberawareとCalTaの技術サポートといった点を総合的に評価し、ソリューションとして試行に至りました。
TRANCITY公式サイト: (リンク »)
■成果
〇労災リスクを低減・足場設営のコストカット
2024年度から高架橋の点検に「IBIS2」を試行したことで、「従来の転倒、墜落の危険ある高所での作業、無理な姿勢を強いられる狭所での作業が削減でき、現場の労働災害のリスク低減につながったことが一番大きい」といいます。また、これまで見えなかった箇所の画像を近接して撮影できることで、ひび割れの規模や錆の進行具合といったものを、データ上で計測できるようになりました。もちろん、これまでは足場を設置しないといけなかったような高所の部分に対しては、「IBIS2」を利用することでその費用を抑えられるという効果もあります。
〇「TRANCITY」を中心に他部署との情報共有で迅速な判断が可能に
同時に「IBIS2」で取得した動画から「TRANCITY」で生成した3Dデータにより、点検個所の位置の共有が可能になりました。また、平面図では把握しきれない配管やケーブル、空調の室外機といった設備の位置関係を三次元空間の中で理解することができるようになったこともその効果のひとつとして挙げられます。さらに、現場に行かなくてもオフィスで現地の状況を確認でき、「電気や建築といった他の部署との情報共有がスムーズになり、迅速な判断ができるようになった」といいます。
〇構造物の経時変化をミリメートルの精度で比較する
JR東海関西支社ではこれまでにも、GPSによる位置制御ができるような屋外では、橋梁の上弦材や、人が容易には近づけない橋脚の上部にドローンでアクセスする取り組みを行っています。そこで得られたデータを「TRANCITY」で解析して、同じ構造物に対して3Dデータを取得し、そのデータを比較することによる構造物の変化の監視を行ってきました。「時系列で3Dデータを重ね合わせることで、経時変化もわかる」といいます。
今後はこの微細な変化がわかる技術を活かして、「将来的には列車が走っている状態での高架橋のたわみ量を測定したい」というアイデアも。そのためには、昼間の営業運転中であってもドローンを飛行させて点検ができるよう、「あらかじめドローンを進入させない空域を設定し、そこに絶対に入れない“見えない壁”を作るような制御が必要」だといいます。
さらには、ドローンで視覚的なデータを取得するだけでなく、構造物をハンマーなどで叩いて、その音から内部の劣化を調べる打音検査をドローンが担うことや、「高架橋からその下にある施設の天井に雨漏りが発生した場合に、すぐにドローンを飛ばして原因を特定したり、吸水材を運んで簡単な応急処置ができたりするといい」といったアイデアも現場から上がっているそうです。
▼株式会社Liberawareについて
株式会社Liberawareは、「誰もが安全な社会を作る」をミッションに掲げ、世界でも珍しい「狭くて、暗くて、危険な」かつ「屋内空間」の点検・計測に特化した世界最小級のドローン開発と、当該ドローンで収集した 画像データを解析し顧客に提供するインフラ点検・維持管理ソリューションを行っています。ビジョンでもある「見えないリスクを可視化する」ことに邁進し、安全で平和な社会を実現します。
会社名:株式会社Liberaware(リベラウェア)
代表取締役:閔弘圭(ミン・ホンキュ)
所在地:千葉県千葉市中央区中央3-3-1
設立:2016年8月22日
事業内容:
・ドローン事業:ドローン等を用いた調査・点検・測量サービス、自社開発のドローン等の販売・レンタルサービス
・デジタルツイン事業:ドローン等により取得したデータの画像処理、データ解析サービス、及び当社画像処理技術のライセンス提供
・ソリューション開発事業:ハードウェアからソフトウェアまで幅広いソリューションを提供する受託開発事業
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