米Big Switch Networksは米国時間1月28日、SDNファブリックの新版となる「Big Cloud Fabric Release 2.5(BCF 2.5)」を発表した。BCFはベアメタル型データセンター用スイッチングファブリック。2014年第3四半期(7~9月)に最初のバージョンが発表された。
新版のBCF 2.5は「VMware vSphere」をサポートし、データセンターの大部分のバーチャルワークロードでベアメタル型SDNのメリットを利用できると説明。BCF2.5のコントローラは、運用管理系ツールである「VMware vCenter」に直接統合されることで、物理SDNファブリック上にネットワークを自動的に作成する。オープンソースソフトウェア(OSS)のIaaS環境構築管理ソフトウェア(クラウドOS)「CloudStack」で制御されたvSphereベースのクラウド環境もサポートする。
BCFは、SDNファブリックとして、Dellのオープンネットワークスイッチ上にネットワーク監視機能「Big Tap Monitoring Fabric」を使用して、ハードウェアとソフトウェアの分離をサポートした。BC F2.5では、「Dell S6000-ON」などのスイッチをサポートする。将来的には、その他のDell Open Networkスイッチもサポートしていく予定。
SDNには、抽象化、一元化されたコントロールプレーンを採用することでネットワークの可視化が向上するという運用上のメリットがある。BCF 2.5は、このメリットを獲得するために新しいモジュール「Fabric Analytics」を搭載している。
Fabric Analyticsでリアルタイム分析、データ可視化、相互比較することで集約されたログやファブリック全体の統計情報を処理して、データインサイト、トレンド、イベントを特定する。事前に定義されたフィルタリング、障害検出、ログ分析といった機能も提供する。従来の物理的なボックスバイボックス管理手法と比較して、問題の特定、解決にかかる時間を劇的に短縮できるとメリットを強調している。
Fabric Analyticsを活用することでネットワーク運用チームはファブリック全体のネットワーク問題や障害状態を迅速に対応できるようになると説明。CLIやGUI、REST APIを介したファブリック規模の設定変更をコントローラで直接可視化し、不正なアクセスやネットワークの構成ミスで発生する主原因を特定できるという。
Fabric Analyticsでの分析画面(Big Switch提供)
BCF 2.5では、vSphereのほかに「KVM」「Microsoft Hyper-V」「Citrix XenServer」の複数のハイパーバイザ環境もサポートする。ファブリック内では仮想化サーバと物理サーバのいずれもが接続できるため、ワークロードの柔軟性が最大限に高められるとしている。
クラウド環境では、クラウドOS「OpenStack」のディストリビューションであるRed HatとMirantisをサポートしている。新版のBCF 2.5は、CloudStackとその商用版ディストリビューションである「Citrix CloudPlatform」のサポートが追加された。
新版では、新たに40Gリーフスイッチをサポート。高性能ストレージアレイだけでなく、新しいソフトウェア定義ストレージ(SDS)などもサポートする。
ソフトウェアのライセンスはスイッチ単位のサブスクリプションで提供される。同日から入手できる(vSphereの統合は1~3月に提供予定)。前版のユーザーは無償アップグレードできる。ハードウェアスイッチ、ソフトウェア、サポートなどを含むBCFスターターキットには3万9000ドル版と9万9000ドル版の2種類が用意されている。