KDDI、新WANサービス「WVS 2」--セキュリティを統合、SDNをイントラネットに

大河原克行 2014年06月14日 08時00分

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 KDDIは6月12日、SDN(Software-Defined Networking)を応用した広域データネットワークサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch 2(WVS 2)」を9月末から提供すると発表した。一部機能は、8月末から先行提供するという。

 WVS 2は、クラウド型のセキュリティ機能により、利用者は専用の機器を持つことなく、セキュリティリスクへの迅速な対応が可能になるほか、接続帯域を利用者が自由に設定する機能を用意しており、トラフィックの急増にも柔軟に対応できるという。2015年春から仮想ネットワーク機能を提供する予定となっている。

 WVS 2で用意されるセキュリティ機能は、ファイアウォールやウイルス対策、URLフィルタリング、不正侵入検知システム(IDS)、不正侵入防止システム(IPS)、統合脅威管理(UTM)となっている。これまで拠点ごとにセキュリティ機能をまとめたハードウェアを設置する必要があったが、WVS 2を使えば、拠点は必要なセキュリティ機能を選んでソフトウェアとして導入できる。

片岡浩一氏
KDDI 商品統括本部 サービス企画本部長 片岡浩一氏

 「WVS 2は、セキュリティクラウド、ネットワーク仮想化の2つが特徴。通常のSDNでは、宅内の構成変更が必要になるが、これが不要となり、専用機器の設置も不要になる。イントラ内制御であることから、利用者が構成を変更しなくても、サービスをチューニングできる。WVS 2でネットワークやセキュリティの運用負荷を軽減するとともに、ビジネスのスヒードアップとコスト削減に貢献できる」(KDDI 商品統括本部サービス企画本部長 片岡浩一氏)

 SDN技術をイントラネット通信に適用する世界初のクラウド型イントラネットファイアウォール機能で異なる企業間での閉域網を利用する場合でも安心安全な社内セキュリティを確保できるという。

 視覚的でわかりやすいというカスタマーコントローラにより、情報を一元管理したシンプルな運用環境になるとしている。ラックが提供する「JSOC(Japan Security Operation Center)」を活用したより高度なセキュリティ監視サービスも提供できるという。

 従来の「KDDI Wide Area Virtual Switch(WVS)」との相互通信を可能としているため、WVS 2と混在した導入が可能。セキュリティアプライアンスはWVS拠点からも利用が可能となっている。

 料金は、接続帯域1GベストエフォートとUTMを利用する場合で月額12万円。イントラネットファイアウォール「300M」を4拠点とデータセンターで利用する場合には月額10万3000円となっている。KDDIのほか、KDDIまとめてオフィスグループでも取り扱い、7月末から申し込み受け付けを開始するという。今後4~5年で500億円規模のビジネスを想定している。

WVS 2はハイブリッドクラウドへのハードルを低くできるという
WVS 2はハイブリッドクラウドへのハードルを低くできるという
東海林崇氏
KDDI 執行役員常務 ソリューション事業本部長 東海林崇氏

“データセントリック”を掲げるKDDI

 KDDI 執行役員常務 ソリューション事業本部長の東海林崇氏は、「現在はクラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャルによる“第3のプラットフォーム”の時代を迎えている。これは2016年度には7兆円を超える市場規模が見込まれており、これにあわせて、新たなビジネスが立ち上がるだろう。企業のCIO(最高情報責任者)に聞くと、これまでのITは社内の効率化を目指していたが、ITは経営戦略のキーファクターであると位置付け、ITを活用して顧客満足度を高めるといった動きが出ている」と企業ITの環境の変化を説明した。

 「一方で、コンシューマーユーザーのIT利活用スピードが上がっており、女子高生や主婦も先進的な使い方をしている。こうたコンシューマーユーザーの顧客満足を得るためには、企業が顧客のスピードを超えなくてはならない。経営が求めるスピードを実現するためにはハードウェア主体からソフトウェア主体へと移行しなくてはならないともいえる。これが第3のプラットフォームの世界。だが、第3のプラットフォームのの世界ではネットワークだけは十分な進化を遂げていない」(東海林氏)

 こうした認識を示した東海林氏は「そこでKDDIは“データセントリック”という考え方を提案し、ルータレスやトラフィックフリー、プライベートクラウドを実現した。企業からは“クラウドやスマートデバイスによるビジネスのスピードアップを実現したい”“運用負荷をかけずに情報漏洩などのセキュリティの不安を払拭したい”という要望がある。KDDIは、通信キャリアが提供する広域ネットワークそのものにセキュリティ機能を持たせることで、ビジネス速度を高め、運用負荷を軽減し、安心安全なネットワークを提供できると考えた。そのための開発を進めてきた」と今回のWVS 2の開発の背景を語る。WVS 2のメリットを東海林氏はこう説明した。

 「セキュリティ機能を広域ネットワークに吸収したことで、常に最新のセキュリティ機能を提供し、これを初期投資なしで利用できる。ネットワークの仮想化で企業間の閉域網を即日構築できる。簡単に設定可能なカスタマーコントローラで追加と変更の即日対応や設定変更の一元管理が可能になる。企業規模を問わず利用できるネットワークサービスであり、中小企業にとってもセキュリティ機器への高額投資や、複雑化するセキュリティ対策の運用負荷を解消できるというメリットがある。むしろ、中小企業にマッチしたサービスである」

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