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未来へのビジョンを売る--セールスフォースの小出CEO - (page 5)

吉澤亨史 怒賀新也 (編集部) 山田竜司 (編集部)

2015-06-11 06:30

――クラウド市場を広げていく中で、どう利益を出していくかも課題だ。

 SIerとのパートナーシップも、互いの得意分野でそれぞれ組んでいくことがセールスフォースの戦略です。例えばオラクルが日本のマーケットで成功したときと同じパートナー戦略は通用しない。なぜならば、オラクルのときにはデータベースをコアとして、そこにいろいろ作り込んでいくことでSIerが入ってきた。SIの力が非常に大きかったわけです。でも、クラウドで同じようにカスタマイズしてSIをしたら、おかしくなってしまいます。そこがクラウドの難しさでもあります。


 SIerから見たら、伸びているビジネスに対してスキルセットを移せるかどうかだと思います。昔もありましたよね。アセンブラがあり、FORTRANがあり、COBOLがあって、それが今はJavaになっています。それはUNIXが出てくるとかプラットホームが変わってきているからですよね。それと一緒で、クラウドがでてきたときに、ベースをどこに置くかがこれからのSIerの戦略だと思うんです。

 セールスフォースでは、どこが儲かるかということよりも、顧客のしたいことに合わせるカスタマイズしたサービスを提供するしかないと思っています。

――今後のセールスフォースのビジョンについて。

 繰り返しになりますが、セールスフォースが日本で考えているのは、顧客のビジョンを実現する戦略的パートナーになりたいということです。会社の規模観よりも、クォリティを追究していかなくてはいけないということです。つまり、既存のソリューション、課題解決型ではなく、ビジョン実現型になりたい。市場も環境も変化している中で、モストイノベーティブカンパニーであり続けるためには、変化し続けなくてはいけません。

 その流れの中で、セールスフォースのポートフォリオも変わっていくと思います。当然CRMがあって、デジタルマーケティングがあって、今度はアナリティクス、人事(HR)。では次に何がくるのか。それは顧客の要求によって、アジャイル開発で対応していくというのが、今後の5年間だと思います。常に"カスタマーサクセスプラットフォーム”として顧客の成功を支援していくDNAを大事にして、市場が何を求めているのか、パートナーが何を期待しているのかを真摯に受け止め、対応していくことです。

 一段落すれば何か出てくるのでしょうけど。やはりIT業界が、過去の経験が生かされない世界に変わってきていることに尽きます。ですから過去を語るのではなく、将来何をしたいかを顧客と語らなければなりません。そう言う意味でエキサイティングですよね。本当にエキサイティングで勢いがあって、忙しくて面白い会社です。

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