トレンドマイクロが11月14日に、セキュリティイベント「Trend Micro DIRECTION」を開催する。
IT環境は劇的な進化を続けている。ここ数年で最も大きな変化を見せているのは、ITが最も得意としていた時間や場所に囚われずにオフィス環境を整えることができる点だろう。これまでもDesktop as a Service(DaaS)やグループウェア、フリーアドレスなど数々の制約を失くす概念・ソリューションが生まれてきた。そして近年ではサーバ資源の活用範囲を広げる"クラウド"により企業のデータ資源の制約を失くすことにすら成功した。
また、昨今の社用端末も多様化を見せ、ポータビリティに優れた端末が多数登場したことから、営業マンの行動範囲も拡大している。ITはこれまで、サーバやストレージ、社用端末管理等、目的は明確ながら、導入、構築、運用に時間と労力を要していたため、「難しい」イメージが付き纏っていた。しかし、クラウドの概念が入ってきたことで状況は一変、企業が目的に合わせて手軽にIT環境を整えることができるようになったのだ。
しかしその一方で、セキュリティの体制強化が難しくなってしまった。まず一つ目の理由は、対策を施すべき対象も"クラウド"になり、自社でコントロールがしづらくなってしまった点。二つ目は、管理対象が多様化してしまった点。そして、内部のストレージ容量がプール化しているため、施すべき対象が把握しづらくなってしまった、以上三点が挙げられる。
ITのメリットが拡大する一方で、ITを最大限に活かす土台となるセキュリティが把握しづらい。これでは、ITによる利便性は以前と変わらないのではないだろうか。
昨今サイバー攻撃の主流になっている「標的型攻撃」は、その名の通り、標的を定めて確実に攻撃を行う手法だ。IT環境、人の心理を突き企業システムに侵入し、機密情報を盗み出す。目的が「機密情報を盗み出す」ことであれば、目的遂行のために表に出ないよう静かに攻撃をし続ける非常に高い悪意、脅威を持つ攻撃だ。
標的型攻撃の大きな特長のひとつに、「目立たない」が挙げられる。過去、情報漏洩の原因で上位を占めてきたのは従業員がノートPCやケータイ端末を紛失する、または盗難に遭うことに起因していた。しかし、端末を失ったことに気がつけば対策を行うことも可能だった。
しかし、いつ侵入したのか、情報がどのように奪われているのか見えない標的型攻撃は、対策を行おうにも方法、タイミングがわからないのではないだろうか。ましてや、先に挙げたように自社のセキュリティ状況が把握できない状況では、なおさら被害を食い止めることが難しくなってしまう。
しかし、進化しているのはサイバー攻撃だけではない。セキュリティも進化を続けている。トレンドマイクロが実施するイベント「Trend Micro DIRECTION」では、常に企業のセキュリティを考えてきた同社のノウハウ、数々の事例から、セキュリティの進化を感じることができるだろう。
「標的型攻撃」をはじめサイバー攻撃に対して、旧来のような入口対策、盗難・紛失対策"だけ"では対応ができなくなっている背景もあるため、同イベントではITの変化に適応したセキュリティの本質を描き出す。
標的型攻撃を含め、未知の脅威は増加し続けている。同時に守るべき対象も増え続けている。こうした状況下では、攻撃を完全に防ぐことは非常に困難になってしまう。しかし、最も重要なポイントは「重要な情報を漏洩させない」ことではないだろうか。言い換えれば、守るべき対象へ至るルートは多様化したが、企業において守るべき対象は旧来と変わっていないとも言えるのではないだろうか。
実は2013年はトレンドマイクロにとって創業25年の節目の年。25年間、蓄積し続けてきた調査、研究から、実効性のあるセキュリティについても同イベントでは言及する。同時に、これまでの25年を振り返り、これからの25年を予見しセキュリティの未来像も描き出す。
基調講演はトレンドマイクロを長らく支えている代表取締役エバ・チェン氏が登壇予定。これまでのトレンドマイクロの歩みから、未来の同社、並びにIT業界を望む。続いて、キーノートではU.S. Cyber Consequences UnitのDirector and Chief Economist (CEO)スコット・ボーグ氏がグローバルを見据えた企業、国が勝ち残るためのセキュリティのありかたを解説する。
そして、トレンドマイクロの新ソリューション、技術の紹介などが続く。昨今注目を集めるセキュリティの"指標"をトレンドマイクロが示すアセスメントサービスも登場。また、導入事例では、他社製品と連携した構築例を紹介する。
このほか、セキュリティのスペシャリストが集まり、移り変わる"時代"を踏まえたセキュリティの"今"を切り取り、対策案を提示する。蓄積されてきた歴史と知見、そして先進性を感じられるTrend Micro DIRECTIONでセキュリティ体制を見直し、ITのメリットを最大享受しよう。