仮想化からコンテナまで、顧客のデジタル変革のために自らも改革を続けるヴイエムウェア

ヴイエムウェア株式会社 
モダンアプリケーションプラットフォーム事業本部
マーケティングマネージャー
渡辺 隆 氏
ヴイエムウェア株式会社
モダンアプリケーションプラットフォーム事業本部
マーケティングマネージャー
渡辺 隆 氏

ヴイエムウェアというと、多くの人がVMware vSphereをはじめとする「仮想化」をイメージするだろう。しかし、いまヴイエムウェアは大きな変化を遂げようとしている。その柱となっているのが、「アプリケーションのモダナイゼーション」「マルチクラウド」「バーチャルクラウドネットワーク」「デジタルワークスペース」「イントリンジックセキュリティ」の5つだ。今回は、そのうちのアプリケーションのモダナイゼーション、すなわち、近年注目を集めている「Kubernetes」やアプリケーション開発手法の変革への取り組みについて、同社の渡辺 隆氏に聞いた。

仮想マシンからコンテナ環境まで。自ら変革を続けるヴイエムウェア

デジタル変革を進めるためには現状のITの課題を解決する必要がある。たとえば、サイロ化した開発チームとビジネスチーム、アジャイルな開発プロセスの導入、既存システムの技術負債の解消、新たなテクノロジーに対するスキルギャップ、チケット駆動型のプロセスなどが挙げられる。デバイスやアプリケーション、プラットフォームが多様化し、さまざまな技術革新が行われているものの、従来のオペレーションがあるため、イノベーションを実行できずにいる企業は多い。

仮想化市場をリードするヴイエムウェアが提供する基盤は、VMware vSphereで培ったものだけではない。あらゆるデバイスやアプリケーション、クラウドプラットフォームに対応することを目指し、さまざまな投資を行い、ポートフォリオを拡張している。たとえば、「VMware Cloud」は、AWSやAzure、GCP、IBMなどのパブリッククラウド上でVMwareの技術を活用できるソリューションだ。従来はオンプレミス環境で展開されていたアプリケーションを、外部のクラウド環境でも動作させられるようになったのだ。

あらゆる環境に対応するデジタル基盤提供を目指すヴイエムウェア
あらゆる環境に対応するデジタル基盤提供を目指すヴイエムウェア

中でも同社が近年特に力を入れているのが、コンテナ化したアプリケーションのデブロイや、スケールの自動化などの管理を行うオープンソースのプラットフォームであるKubernetesだ。アプリケーションのモダナイゼーションが望まれるなか、コンテナ化への流れを一時的なものでないと捉えた同社ではこれまで、アジャイル開発のコンサルティングやCloud Foundry等のクラウドネイティブプラットフォームを提供するPivotalやクラウドアプリケーションのモニタリングを行うWavefront、ソフトウェアパッケージングソリューションを提供するBitnamiなど、Kubernetesに関連した企業を次々と傘下に収めてきた。

2017年ごろからKubernetesコミュニティに貢献し、買収によってポートフォリオを拡充してきた
2017年ごろからKubernetesコミュニティに貢献し、買収によってポートフォリオを拡充してきた

ヴイエムウェア モダンアプリケーションプラットフォーム事業本部 マーケティングマネージャーの渡辺 隆 氏は次のように話す。

「Kubernetesを開発した3人のエンジニアのうちの2人が創業した、Heptioを買収したことも話題になりました。現在VMwareは、さまざまなオープンソースコミュニティに貢献しています。昨年のKubernetesへのコントリビューションはGoogleに次ぎ2位でした。ほかにもJavaでよく使われるSpring Frameworkやメッセージ指向ミドルウェアのRabbitMQ、データベースのPostgreSQLなどオープンなテクノロジーへの貢献やKubernetesへの投資、アプリケーション領域への投資など私たち自身も変革を進めています」

Kubernetesによるアプリ構築をサポートする「VMware Tanzu」

VMwareが従来持つテクノロジーと、Kubernetes関連企業のテクノロジーを活用し、企業がモダンアプリケーションを展開するための製品・サービス群が「VMware Tanzu」だ。ビルドやパッケージングの自動化や、検証済みOSSのカタログ、テスト適合性やポリシー適用、稼働中アプリケーションのオブザーバビリティなど、シンプルかつセキュアなコンテナライフサイクルを実現する。

「コンテナを何百も展開していくと、構成するファイルのメンテナンスにエンジニアの負荷がかかりますし、セキュリティ面も不安があります。開発者はビジネスに価値をもたらすコードを作るのが一番重要な仕事ですので、ビルドやパッケージを自動化し、本番環境にデプロイできるアプリケーションについてのポリシー設定、増加するコンテナランタイムの管理などをツールに任せていただくことができます。さらには実行中のコンテナアプリケーションのオブザーバビリティまで含めてサポートしています。これが現在のVMware Tanzuが提供する価値だと考えています」(渡辺氏)

シンプルかつセキュアにモダンアプリケーションを実現するVMware Tanzu
シンプルかつセキュアにモダンアプリケーションを実現するVMware Tanzu

VMware Tanzuを構成する製品は、個々のコンポーネントを組み合わせて導入することでモダンアプリケーションのビルド、実行、管理を支援する。各コンポーネント単体でも提供しているが、ユーザーのニーズや課題に応じて機能をパッケージしたエディションも用意されている。既存のvSphere環境でKubernetes を実行できるのが「Tanzu Basic」、オンプレミスだけでなく、マルチクラウド環境でも実行できるのが「Tanzu Standard」、そしてクラウドをまたがるKubernetes環境の一元管理や、パフォーマンスの観測、セキュリティも統合し、ビジネスのアジリティを高めたいユーザー向けの「Tanzu Advanced」の3つがラインアップされている。

顧客と伴走しながらTanzuによる開発・運用を支援する「VMware Tanzu Labs」

ただ、Kubernetes基盤を整備したからといって、必ずしも現状のメンバーがそれをすぐに使いこなせるとも限らない。そうした技術的なギャップを埋めるためのサービスとして、アプリケーション開発・運用体制構築を支援するのが「VMware Tanzu Labs」だ。これは、もともとPivotal Softwareが提供していた「Pivotal Labs」サービスを拡張したものだ。

渡辺氏は「VMware Tanzu Labsでは、リーンスタートアップやデザイン思考を熟知したコアメンバーが、お客様と伴走しながら、3カ月ほどかけてMVP(Minimum Viable Product:実用最小限のプロダクト)を作っていきます。エンドユーザーのペルソナ設定に基づくインタビューを実際に行い、仮説をどんどん形にいくなど、他のアジャイル開発の研修ではやらないプロセスも実践していただきます。そして約3カ月間ご一緒いただくと、リーンアジャイルのプロセスを体得していただくだけではなく、アジャイル開発を実施するチームやカルチャーも身につけていただくことができるのです」と語る。

VMware Tanzu Labsは業種を問わず導入実績があり、日本ではPivotal Labs時代から含めると、ヤフーやJR東日本、東京証券取引所など、多くの大手企業を支援してきた。

5つの「R」をパートナーとともに提供し、企業のクラウド活用に応える

最適なデジタル基盤を追求すべくポートフォリオ拡充したヴイエムウェアでは、5つの「R」で顧客のクラウドへの移行を支援するとしている。その5つとは、vSphereやVMware Cloud Foundationによって既存アプリを最適化して保持する「Retain」、VMware Cloudにてアプリをパブリッククラウドにホストする「Rehost」、VMware TanzuによってアプリケーションをKubernetesで実行する「Replatform」、従来アプリを廃止しSaaSに置き換える「Retire」、Tanzu AdvancedとTanzu Labsによってクラウドネイティブな技術でアプリケーションを開発・置き換えする「Refactor」だ。

5つのRをビジネスパートナーとともに支援
5つのRをビジネスパートナーとともに支援

渡辺氏は「すべてのアプリケーションをクラウドへ移行させるわけでなく、アプリケーションによってはvSphereやVMware Cloud Foundation上で稼働させる。また、これまでお客様が培われたvSphereのノウハウを継承しながらKubernetesをご利用いただき、アプリケーションによってはクラウドネイティブに作り替え、最適な形でKubernetes上で稼働させていただくなど、多くの選択肢をご提供できるのがVMwareの価値だと考えています」と説明を加えた。

VMware Tanzuについては、ヴイエムウェアのさまざまなパートナーが各社特有のサービスを用意し、展開している。次回から数回にわたり、パートナー各社の取り組みついて紹介していく。

提供:ヴイエムウェア株式会社
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