脅威管理アプライアンス市場を機能別にみると、2004年と2005年の比較ではファイアウォール/VPNの出荷台数が激減し、UTMの出荷台数が急増しています。これは主としてセキュリティアプライアンス専業ベンダーが提供していた多くの製品の機能がレベルアップされ、ファイアウォール/VPNからUTMに製品分類が切り替わった結果です。単機能のセキュリティアプラインスと比較すると、ファイアウォール+IDS/IPSの複合機能を持つUTMアプライアンスはコスト効果が高いといえます。このためさまざまな外部からの脅威によるセキュリティ被害を防御するため、ファイウォールの強化を志向していたユーザーに受け入れられ、セキュリティアプライアンス市場全体の市場構成を変え、セキュリティアプライアンス市場全体を拡大する推進力ともなっています。
脅威管理アプライアンス市場全体の出荷台数予測として、2005年~2010年のCAGR(年間平均成長率)は24.3%と非常に高く、2005年の出荷台数85,018台から2010年にはほぼ3倍の252,681台まで増加するとIDCではみています。予測される。その中でも2006年以降もUTMへの製品の集約化が進み、UTMの出荷台数比率は2005年の62.6%から2010年には90.3%を占めるまで拡大すると予測しています。また出荷金額では、2005年~2010年のCAGRは14.3%で、2005年の254.1億円から2010年には472.4億円に達すると予測しています。
IDCでは、セキュアコンテンツ管理アプライアンスを、「アンチウイルスアプライアンス」、「メールセキュリティアプライアンス」、「Webフィルタリングアプライアンス」の3つに分類しています。しかし、実際には機能が複合化されている製品が多いため、この3種類の機能を同時に装備している製品が多く存在しています。Webフィルタリングアプライアンス市場は製品が少なく、立ち上がったばかりであることから現状では出荷はほぼゼロに近い状態です。アンチウィルスアプライアンス、メールセキュリティアプライアンスはともにゲートウェイのセキュリティ対策製品として、2005年から急速に普及が進みました。セキュアコンテンツ管理アプライアンス市場の予測では、出荷台数、出荷金額ともに急激に成長するとIDCではみていますが、これは2005年に市場が立ち上がったばかりで、2006年と2007年には普及率がさらに急拡大するとみられるためです。特に情報漏洩対策としてメールセキュリティアプライアンスの需要が拡大する見込みです。
セキュアコンテンツアプライアンス市場の出荷台数の2005年~2010年CAGRは56.0%で2005年の2,152台から2010年には19,889台に増加、出荷金額の2005年~2010年のCAGRは39.7%で2005年の34.8億円から2010年には185.1億円に増加すると見ています。
IDC Japan セキュリティ リサーチマネージャーの塚本 卓郎は、「多様化するセキュリティアプライアンス市場は、ITハードウェア市場の中で、今後も高成長率を保って拡大を続けていく数少ない市場の1つである。脅威管理市場では、ソリューションがソフトウェアからセキュリティアプライアンスに移行する傾向が続き、セキュアコンテンツ管理アプライアンスではメールセキュリティアプライアンスが内部統制の需要から急拡大するであろう」と述べています。
今回の国内セキュリティ市場の予測は、IDCが発行したレポート「2006年 国内セキュリティハードウェア市場動向:セキュリティアプライアンス市場」(J6200106)にその詳細が報告されています。本レポートでは、2003年~2005年における国内セキュリティアプライアンス場規模の実績とベンダーシェア、脅威管理ソフトウェア市場との比較、ベンダーの提供する製品分析、及び2006年~2010年の予測を提供しています。
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