■決済制度改革について■
現在、日本の決済制度に関して複数の大きな改革が同時に進められています。日本銀行は、日銀ネット※1を2013年度と2015年度の2段階に分けて新日銀ネットへ移行する計画です。また日本証券業協会は、国債の決済期間短縮化に向けて、2012年4月に現行よりも1日短いT+2(約定後2営業日後に決済)に移行することを決定し、さらにT+1(約定の翌営業日に決済)についても検討を行っています。国債の決済期間短縮化に向けては、信託協会と株式会社日本国債清算機関(以下JGBCC)の間でも、信託銀行のJGBCC参加についての検討が行われています。さらに株式会社証券保管振替機構(以下ほふり)では、2014年に新しいメッセージ標準であるISO20022※2の導入を計画しています。
これらの制度改革は、金融機関に資金決済の効率化や安全性の向上という恩恵をもたらす一方、システムや業務運用などの面で大幅な見直しを迫るものとなります。
■意見交換会について■
ISIDでは、「日銀RTGS流動性管理システム※3」(以下流動性管理システム)の提供をはじめ、金融機関の決済業務を支援するシステム構築を数多く手がけてきました。今回の意見交換会は、「流動性管理システム」のユーザー企業の賛同を得て実施したものです。日本銀行出身で麗澤大学教授の中島真志氏※4を座長に、わが国の決済業務におけるメインプレーヤーである大手信託銀行・都市銀行・大手証券会社など17社の決済業務担当者が一堂に会し、業態を超えて自由に意見を交換する貴重な場となりました。その場で交わされた意見のうち、いくつかの論点については市場関係者間で共有すべき有意義なものであることから、参加各社の了解を得て公表いたします(別紙参照)。
ISIDでは、今後も金融機関各社との情報共有や意見交換を通じて、決済業務改革や事務効率の改善を支援し、決済サービスの安全性と効率性の向上に貢献してまいります。
※1 日銀ネット:日本銀行金融ネットワークシステムの略。日本銀行が運営する決済システムで、日本銀行と参加金融機関をオンラインで接続し、参加者間および日本銀行との資金や国債の決済処理を行う。日本銀行は、2009年7月に「新日銀ネット」として新たなシステムを構築することを公表した。
※2 ISO20022:ISO(国際標準化機構)が制定した、金融業務で利用される通信メッセージを標準化するための統合的な枠組み
※3 日銀RTGS流動性管理システム:ISIDが開発した、日銀ネット参加金融機関向けの決済管理支援システム。決済推移をリアルタイムで把握しつつ、決済指図の送信、決済結果の確認などを行うことができる。
※4 中島真志氏 略歴:
1981年 日本銀行入行、調査統計局、金融研究所、国際局、金融機構局などを経て、2006年より麗澤大学経済学部教授。
著書に「決済システムのすべて」「証券決済システムのすべて」「SWIFTのすべて」他。
<別紙:決済制度改革に関する意見交換会の概要と主要な論点>
実施期間:2010年11月~2011年4月(計5回)
座長:麗澤大学経済学部教授 中島 真志氏
参加企業:大手信託銀行、都市銀行、大手証券会社など17社
検討テーマ:
1. 2013年度および2015年度に移行が予定される新日銀ネットに関連した、国債DVP決済スキーム変更への対応。
2. 同じく新日銀ネットで予定されている稼働時間延長、先日付入力機能の活用。
3. 新日銀ネットおよびほふりの決済照合+振替システムで採用されるISO20022の活用。
4. 2012年に実施される国債決済期間の短縮化対応。
主要な論点:
1. 新日銀ネットにおける国債DVP決済のメッセージフローについて
(1)新日銀ネットでも、引続き現行の売方先行を基本とする決済スキームが望ましい。具体的には、払出先参加者が国債資金同時受渡依頼データを送信し、同時に決済指示を行うことで、現行同等の国債DVP決済業務フローの継続が可能と想定する。
(2)日本銀行や証券決済インフラ(JGBCC/ほふりの決済照合システム)から入力する場合など、買方入力のスキームも想定される決済業務フローについては、今後の追加での検討/開示を待ちたい。
(3)新日銀ネットで可能となる国債資金同時受渡依頼データや決済指示データに対する取消入力については、取消にあたって別途相手先に連絡するなど、補完的な市場慣行を定めることが望ましい。
2. 新日銀ネットで採用されるXML/ISO20022フォーマットについて
(1)メッセージのデータフォーマットを標準化することにより、システム開発やビジネスにおいてどのようなメリット・デメリットがあるのか、具体的・定量的に評価して行きたい。
(2)ISO20022の導入は、単にデータフォーマットを標準化するという話ではなく、業務フローの標準化や、外国銀行とのやりとりがスムーズに行えるようになる、といった可能性がある。
3. 国債の決済期間短縮化について
(1)アウトライト取引のT+2化に関しては、現状の事務フローの延長上で対応可能と見られ、実務的には大きな問題はない見込。国内外の投資家に対しても、T+2への移行について、順次連絡を行い周知を図っている。
(2)アウトライト取引のT+1化については、現状の事務フローを大きく変える必要があるとの見方が多く、市場インフラの対応の必要性についても議論された。今後、日本証券業協会のワーキンググループでの議論を注視したい。
(注)上記の論点は各参加メンバー所属金融機関の公式見解ではなく、各参加メンバーの個人的意見によるものです。
<電通国際情報サービス(ISID) 会社概要>
社名:株式会社電通国際情報サービス(略称:ISID)
代表者:代表取締役社長 釜井 節生
本社:東京都港区港南2-17-1
URL: (リンク »)
設立:1975年
資本金:81億8,050万円
連結従業員:2,204人(2011年3月31日現在)
連結売上額:602億3,200万円(2011年3月期)
事業内容:1975年の設立当初から顧客企業のビジネスパートナーとして、コンサルティングからシステムの企画・設計・開発・運用・メンテナンスまで一貫したトータルソリューションを提供してきました。IT Solution Innovatorをビジョンとし、金融機関向けソリューション、製品開発ソリューションをはじめ、グループ経営/連結会計、HRM(人事・給与・就業)、ERP、マーケティング、クラウドサービスなど、幅広い分野で積極的な事業展開を図っております。
*本リリースに記載された会社名・商品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。
概要:株式会社電通国際情報サービス
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