OKI、次世代光アクセスシステム向けの「帯域割当制御技術」を開発

沖電気工業株式会社

From: JCN Newswire

2012-09-19 11:10

適切かつ効率的に帯域を提供し、通信時の省電力化を実現

Tokyo, Sept 19, 2012 - ( JCN Newswire ) - OKIは、このたび次世代光アクセスシステム向けのOLT※1駆動制御における「帯域割当制御技術」を開発しました。本技術は、トラヒックに応じて局装置OLTの駆動台数※2を制御し、さらに通信サービスを維持しながらOLT駆動台数に応じて効率的に帯域を割当てることが可能になります。OLTの帯域利用効率を格段に高めることができる上、低トラヒック時にOLTはスリープすることができるため、平均で約30%の消費電力削減が見込めます。

加入者系アクセスシステム(PONシステム※3)においては、GE-PON※4の普及によるFTTH※5の導入が急速に進んでいます。今後さらに通信容量の拡大が予測されるため、各社ではFTTHの通信速度を改善するための10Gbps級のPONシステム(10G-EPON※6)の開発が行われています。しかし、通信速度が上がると消費電力も増え、今以上の電力消費が予想されるため、通信時の電力削減が求められています。

OKIは、これらの課題を解決するため、2009(平成21)年から、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)より受託した委託研究「広域加入者光ネットワーク技術の研究開発」として取り組んできました。また、本研究の実用化研究として、局装置OLTとユーザ装置ONU※7の接続を柔軟に構成できるバーチャルPONの開発に取り組んできました。

この取り組みのなかで、OKIはOLT駆動制御技術を開発しました。さらに今回OKIが開発した「帯域割当制御技術」は、OLT駆動制御をより実用化につなげる技術で、OLT駆動制御装置によりOLTの駆動台数を増減する際に、直前までユーザが必要としていた帯域のボリュームの変化に従い、上限帯域を増減させることで、帯域不足を抑制するものです。これにより、OLTの駆動台数変動時に帯域利用効率を格段に向上させることができます。検証実験では、本方式を採用しない場合より、帯域不足量を約1/5に、消費電力を約30%抑制できることを確認しました。

今後、マルチチャネルの帯域制御への拡張やソフトウエア・デファインド・ネットワーク(SDN※8)化などを進めつつ、製品化に取り組んでいきます。

本研究成果は、9月18日、ECOC2012(the European Conference and Exhibition on Optical Communication 、9月16日~20日、オランダ アムステルダムにて開催)にて発表しました。

【OLT駆動制御における「帯域割当制御技術」の概要】

‘OLT駆動制御’は、OLTとONUの配線(接続)を光スイッチや波長多重ルーティングを用いて、論理的なスターとなる仮想PONを構成し、局が扱う全体のトラヒック量に応じて(配下の全てのONUからの帯域要求の総和や上位からのデータ量をモニタします)、OLTのON/OFF及びONUの接続数を制御するものです。トラヒック量が少ない場合は、1台のOLTのみを駆動し、配下の全てのONUと接続し、低レート/高レート等のユーザの要求に応じた制御を行います。また、トラヒック量が多い場合は、全てのOLTを駆動し、各ユーザの要求に応じた大容量通信ができるようにONUグループの割当も含めた制御を行います。これまでのフル稼働に比べ、平均稼働率が下がるため、30%程度の電力削減が見込めます。

今回開発した「帯域割当制御技術」は、上述のOLT駆動制御におけるOLTの駆動台数が切り替わるとき、ユーザが要求する帯域の過不足を算出し、帯域割当に反映し効率良く帯域を割当てる技術であり、要求帯域を足し合わせる際の上限帯域(しきい値)を過去の要求帯域の変化に従って増減させる制御行うものです。帯域不足量は、本方式を使わない場合に比べ約1/5に抑制でき、実用的なレベルの帯域使用を実現します。

【用語解説】
※1: OLT(Optical Line Terminal)
PONシステムの局側装置。
※2: OLTの駆動台数
OLTの駆動制御はOLTのMAC(Media Access Control)機能をON/OFF制御することによって実現されている。OLTの駆動台数とは、MAC機能の数を意味する。
※3: PON(Passive Optical Network)システム
現在、普及している光アクセスシステム。局装置とユーザ装置をアクティブな装置を使うことなく接続するネットワーク。
※4: GE-PON(Gigabit Ethernet Passive Optical Network)
Ethernetフレームを利用した1GbpsのPONシステム。IEEE802.3で標準化されており、国内で普及している。
※5: FTTH(Fiber To The Home)
家庭まで光ファイバを配線し、光通信(光アクセス)サービスを実現するもの。現在日本ではGE-PONで実現されている。
※6: 10G-EPON(10Gigabit Ethernet Passive Optical Network)
Ethernetフレームを利用した10GbpsのPONシステム。IEEE802.3で標準化されており、現在、各社が開発中である。
※7: ONU(Optical Network Unit)
PONシステムのユーザ側装置。
※8: SDN(Software Defined Network)
ソフトウエアでネットワーク定義する技術であり、主要な実現技術はOpen Flowである。コアネットワークの仮想化技術として、検討されている。

概要:沖電気工業株式会社

OKIは米国でグラハム・ベルが電話機を発明したわずか5年後の1881年に創業した、日本で最初に電話機を製造した情報通信機器メーカーです。先見性と勇気をもって果敢に挑戦・行動するという、創業以来の「進取の精神」を連綿と受け継ぎ、ブランドスローガン「Open up your dreams」のもと事業展開しています。現在、「金融システム」「通信システム」「情報システム」「プリンタ」「電子部品・モジュール他」の5つの分野において、OKIグループは社会の発展に寄与する最先端技術の商品・サービスをお客様にお届けし、世界の人々の快適で豊かな生活の実現に貢献しています。詳細はこちらからご覧ください。 (リンク »)

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