イノベーションワークショップ2013「イノベーションで日本を強く」開催

フューチャーアーキテクト株式会社

From: PR TIMES

2013-12-10 14:36

第4回 我が国農業の可能性

フューチャー イノベーション フォーラム(略称=FIF、代表=牛尾治朗・ウシオ電機株式会社会長、金丸恭文・フューチャーアーキテクト株式会社会長兼社長)は、11月14日(木)にイノベーションワークショップ2013「イノベーションで日本を強く」の第4回(最終回)を開催しました。



【開催概要】
 講演者: 慶應義塾大学 環境情報学部 准教授、医学部 准教授(兼担)
      内閣官房 政府CIO補佐官、番号制度推進管理補佐官 神成 淳司
 テーマ: 我が国農業の可能性
 日 時: 2013年11月14日(木) 18:00~20:00
 会 場: フューチャーアーキテクト株式会社

【講義概要】
農業先進国と言われるオランダやイスラエルの農業が世界的にも注目され、日本への導入を望む声が出ている。しかし、単にやり方を模倣しても日本の農業が継続的な発展を遂げることは難しい。超高齢化社会の到来や人口爆発による世界的な食糧危機が間近に迫るなか、日本の農業の特徴や既存の取組みをみながら、今後の日本の発展に寄与する農業の産業化の方向性について言及する。

◆ 日本の未来とIT活用の方向性
日本の人口動態をシミュレーションすると、2025年には約5人に1人、2050年には約4人に1人が75歳以上を占め、高齢化が急速に進んでいく。それにともない医療介護費などの社会コストが急増する一方で、労働人口は減り続け、2050年には2005年の水準の6割にも満たないことが予測される。社会を破綻させないためには、高齢者も稼げる産業が不可欠であり、しかも価格競争に陥らず、中長期的な優位性を保てることが必要だ。私はそれを実現しうる産業は農業だと確信している。またITはこれまで人が行ってきた作業の代替としてコスト低減に活用されてきたが、今後は人の可能性を引き出す設計を行うことで、新たな付加価値を生み出すソリューションサービスとして世界に展開すべきである。今こそIT活用のコンセプトを「いつでも何処でも誰とでも」から「今だけここだけあなただけ」にシフトすることが求められている。

◆ 日本における農業の現状
日本の農業従事者は約260万人いるが、うち70歳以上の割合が最も高く、世界と比較しても高齢化が突出している。また日本の農業の生産性は極めて高く、10アール当たりの生産量はカロリーベースで米国の9倍、フランスの3倍に達する。これは農家が長年の経験から高品質の農産物を生産する技術を有していることを示しており、実際に70歳を過ぎても年収1,000万円を超える農家が数多く存在する。世界の人口は2050年には90億人に達するとされ、世界規模での食糧危機が懸念されている。農業は今後の主要産業になる可能性が高く、まずこうした熟練農家の優れたノウハウを活用し、稼げる農業をより多くの人に広めなければならない。さらにはITを活用して日本の優れた農業技能を世界へ輸出する、農業の“Made by Japan”化を推進していくべきだと考えている。

◆ オランダの事例
オランダの農業は、徹底したコスト管理のもと広大な土地で大量生産を行い、高い収益率を確保している。高い生産性を保つために作物を育てる過程で、温度や湿度、日照など膨大なデータ収集と分析が行われており、その積み重ねによってオランダの土地に適した完成度の高い生産の仕組みが作られた。また、味に関しては育て方ではなく品種が決めるという考えが主流で、品質に対するこだわりは日本と大きく異なる。規模拡大型のオランダ方式を日本に導入したとしても、周辺諸国との価格競争に陥り、ビジネスとしての成功は難しいものと思われる。

◆ イスラエルの事例
イスラエルは建国以来、食糧危機を見据えて国家として熟練農家を集中的に育成してきた。味や品質にこだわった付加価値の高い作物は、トマトをはじめ欧州でブランドが確立しており、GDPの数%は農産物が占める。イスラエル農業の特徴は「判断者」と「作業者」を明確に分けている点だ。国の農学研究所が農作物を育てるうえで必要な状況把握や意思決定ができる人材を育成し、単純な作業は諸外国からの出稼ぎ労働者が担っている。国家として数十年かけてこの人材教育システムを作り上げた結果、若い世代の参画が進み、富裕層も生まれている。日本でも長野県の川上村のように「判断者」と「作業者」を区分したソリューションをモデルにすることで、平均年収2,500万円を実現しているケースもある。この仕組みをより広く日本で横展開していくことが今後の産業化の道筋と言える。

◆ AI(AGRI-INFORMATICS)~農業におけるITの活用
イスラエルが築き上げた仕組みを日本に短期間で導入していくには、ITの力が不可欠である。私が提唱するAI農業は、熟練農家が持つ栽培ノウハウなどをITを使ってデータ化・蓄積し、次世代へ継承していくシステムだ。とくに熟練農家の「状況判断能力」に着目した。いつ、どういったことを気づき、どのような作業をしたのかを携帯端末を使って随時登録してもらい、そのデータをマイニングすることで気づき(状況判断能力)の見える化を行っている。通常、熟練農家の状況判断能力を身につけるには10年以上かかると言われるが、このシステムを使えば、熟練者に比べて自分にどのような気づきが足りないのかや経験による自身の変化を客観的に把握できるため、判断能力をより早く習得できる。また熟練者のノウハウを継承するこの仕組みは、介護の領域でも応用できると考え、実践に取り組んでいる。

◆ 求められる農業の知識産業化
いま農業における産業化に多くの企業が注目し、技術融合も興っている。たとえば農産物の糖度を計測するセンサーに宇宙開発の技術を応用したものが開発された。このセンサーを使えば、作物を傷つけることなく計測できるため、最適なタイミングでの収穫、出荷ができると期待されている。このような先端技術も取り入れながら熟練農家と同じようにPDCAをまわすことができれば、シミュレーション上、利益率50%も実現可能だ。
今後は、日本の熟練農家の匠の技を収益源としてITを活用しながら海外にもソリューションを提供していくことが期待される。栽培ノウハウをパッケージ化すると同時に、知財としての農業技術の保護を標準化することで、農業のサービス産業化を図ることができる。こうした取組みが農業以外の業種の様々な企業連携を生み、農業がますます面白い産業へと発展していくと確信している。


【本ワークショップに関するお問い合わせ】FIF事務局 T E L:03‐5740‐5817  

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