フロスト&サリバンのアジア太平洋地域ICT部門インダストリープリンシパル、マーク・アインシュタインは「東南アジアのeコマース市場の成長には、この地域における経済成長、インターネットの普及、海外投資などが、同市場の成長を後押しする要因となっている」と述べる。
「東南アジアにおける一人当たりの国民所得は上昇しており、PCやスマートフォン、タブレット端末を通じてより多くの消費者がインターネットを利用するようになっている。東南アジアのeコマース市場で圧倒的シェアを占める企業はまだ存在していないものの、アマゾン、楽天、アリババなどの海外企業は同市場で拡大を続けている。また、複数の国内企業も参入しており、成長の初期段階であるにも関わらず、極めて競争が激しい市場である」と、アインシュタインは分析する。
Eコマース市場の成長が著しい中国を例に挙げると、2013年の小売全体の売上におけるeコマース売上は全体の7.8%を占めている。これは、米国や欧州、日本よりも高い割合であり、この中国のケースは東南アジアにおけるeコマース市場の急速な成長の可能性を示唆するものとなり得る。
その一方で、東南アジアのeコマース市場の成長を抑制するいくつかの要因も存在する。「東南アジアの数カ国では、クレジットカードの所有率が10%に満たないほか、50%を超える人々が銀行口座を所有していないため、支払い手段の確立が大きな課題となっている。さらに、インターネット詐欺もインドネシアをはじめとする東南アジアの複数の国々で問題となっており、この様な背景がeコマースの導入を抑制する要因となっている」とアインシュタインは述べる。
しかしながら、この様な背景を踏まえても、東南アジアのeコマース市場は継続して成長し、統合が進むことが予測される。「今後数年間で発展が期待される東南アジアのeコマース市場は、M&A(合併・買収)の対象にも十分なり得るものである」と、マーク・アインシュタインは述べる。
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