オートデスク、歴史的建築文化財を3Dデータで運用・管理する日本初のプロジェクトに協力

歴史的・文化的財産の価値向上と文化資料の共有を実現へ

オートデスク株式会社

2014-08-06 12:30

オートデスク株式会社は、山口県下関市が進める記念事業である「旧下関電信局電話分室」(現田中絹代ぶんか館、大正13年(1924年)竣工)の建物竣工90周年(2015年)、ぶんか館オープン5周年に当たり、最新のIT技術を用いて3Dモデル化するプロジェクトに協力することとなりました。今回のように建造文化財が3Dモデル化され、3Dデータが運用・維持管理にまで利用されるのは全国でも初めてのケースです。下関市は今後、文化資料として国内外で共有するとともに次世代に継承できるよう一般公開していく予定です。

現在、国内に文化財として指定されている建造物はおよそ14,300棟(*)あります。時間の経過とともに建物が損傷するため修繕する必要がありますが、戦前に建てられた建物は図面が消失していることが多く、修繕できずに取り壊され、記憶から消えてしまう場合が多く見られます。

(*)文化庁ホームページより

これに対して「旧下関電信局電話分室」は、大正時代特有の設計、装飾が数多く見られ、当時の時代背景や文化を現す貴重な建築財産です。そのため近代建築資料として後世に残し、市民などと共有することが重要と考えました。これを実現するために「ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)」(*1)の手法により、建物全体を3Dモデル化して運用ならびに修繕と保全、共有に備えることとしました。

今回のプロジェクトでは、株式会社NTTファシリティーズ監修の下、オートデスク株式会社、株式会社トプコンが協力し、建造文化財の3Dモデル化を図り、これを利用することによって、建物を安全に効率よく運用・維持管理できるか、ファシリティマネジメント(*2)の視点に立って具体的な事例で検証します。当社はソフトウェア技術を提供することで、建設・土木分野の業務効率向上だけでなく、将来に渡って建物の価値を維持できるように支援します。

3Dモデル化は以下のような手順で進行しています。

(1)建物を3Dレーザースキャナーで計測する作業
旧下関電信局電話分室の外部と内部に3Dレーザースキャナーを設置し、レーザー光線をあてて、高精度の3Dの点データの群れ(点群データ)を取得。4日間かけて建物の内外およそ50カ所でスキャン作業を実施。外観のスキャンは完了し、約4,500万個の点群で構成されています。

(2)データ統合、モデリング作業
およそ50カ所のスキャン作業で作成された点群データをソフトウェアに取り込んで一つの建物のモデルに結合(現在までにほぼ完了)。この点群データを利用して詳細な3Dモデルを作成し、属性情報を付与しながらBIM化、また写真のようにリアルなCGまで作成。(2014年12月に完了予定)。

(3)3Dモデルを使用した街並み再現、一般公開
完成した3Dモデルを周辺(唐戸地区)の地形データと周辺の近代建築遺産の外観と組み合わせ、建物が竣工した大正時代の街並みをバーチャルに再現して一般公開(2015年2月より開始予定)。

使用機材、ソフトウェア:
トプコン:「GLS-2000」(*3)、「ScanMaster」(*4)
オートデスク:「Autodesk(R) ReCap(R) Pro」(*5)、「Autodesk Revit(R)」(*6)、「Autodesk InfraWorks 360(R)」(*7)



(*1) 「ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)」:3Dモデルに必要な属性情報を付与して、設計、施工、維持管理などの建物ライフサイクル全般に活用する手法の建設業界の呼称。

(*2) 「ファシリティマネジメント」:ファシリティマネジメントとは、企業・団体等が保有又は使用する全施設資産及びそれらの利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画、管理、活用する経営活動 (公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会ホームページより)

(*3) 「GLS-2000」:BIMからCIMまで広範囲な作業をカバーするマルチレンジスキャナー

(*4) 「ScanMaster」:点データを編集・統合するソフトウェア

(*5) 「Autodesk ReCap Pro」:点群データを可視化・編集するソフトウェア

(*6) 「Autodesk Revit」:建物のライフサイクル全般(企画、設計、施工、維持管理、解体など)で利用するBIMデータを作成するソフトウェア

(*7) 「Autodesk InfraWorks 360」:都市・宅地開発、土木・インフラ整備などのプロジェクト案の作成、評価、プレゼンテーションを支援するコンセプト デザイン ソフトウェア


以上


オートデスク株式会社概要
本 社:東京都中央区晴海1-8-10  晴海アイランド トリトンスクエア オフィスタワーX 24F
代表取締役社長:ルイス・グレスパン
設 立:1985年4月1日
資 本 金:1億円
ホームページ: (リンク »)  

Autodesk, Inc.会社概要
豊かな想像力と発想を基に、より良い世界を創り出す ―― オートデスクは、より良い世界を創り出す「デザイン」分野で世界中の人々を支援しています。設計者から、建築家、デジタル・アーティスト、学生、ホビー・ユーザーまで、あらゆる人々が自身の創造力を存分に発揮し、大きな成果を上げられるよう、オートデスクは優れたソフトウェア製品を提供します。

Autodesk、InfraWorsk 360、Revit、ReCapは、米国および/またはその他の国々における、Autodesk, Inc.、その子会社、関連会社の登録商標または商標です。その他のすべてのブランド名、製品名、または商標は、それぞれの所有者に帰属します。該当製品およびサービスの提供、機能および価格は、予告なく変更される可能性がありますので予めご了承ください。また、本書には誤植または図表の誤りを含む可能性がありますが、これに対して当社では責任を負いませんので予めご了承ください。
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