世界平和度指数:世界の平和度は5年ぶり改善も10年前よりは低水準

経済平和研究所(IEP)

From: 共同通信PRワイヤー

2019-06-12 13:27

世界平和度指数:世界の平和度は5年ぶり改善も10年前よりは低水準

AsiaNet 79125(1034)


【ロンドン2019年6月12日PR Newswire=共同通信JBN】
▽主な結果
*ウクライナは今年最大の改善を記録し、ニカラグアは最大の後退
*多くの国、106カ国では軍事化が低下し、増大国を上回る。10年来のトレンド継続
*2008年以来、世界の平和度は3.78%後退し、81カ国の悪化に対して81カ国が改善したが、概して後退が改善より大きい

▽気候変動のハイライト
*4億人以上は平和度が低く気候変動のリスクが高い地域に居住
*最も平和度が低い25カ国中8カ国の1億300万人は、気候ハザードが高い地域で危険にさらされている
*地域的には、サハラ以南アフリカの気候ハザード対処力が最も弱く、それが暴力紛争を深刻化させる可能性も

▽暴力のGDP/経済コストのハイライト
*グローバル経済に占める暴力の影響は2018年に14兆1000億ドルと2012年以来初めて減少(-11.2%)。人口1人当たり1853ドル
*平和度が極めて高い国々は平均して過去60年、最も平和度の低い国々に比べて3倍以上の1人当たりGDP成長率を達成
*暴力の被害を最も受けている10カ国では、平均した暴力の経済コストがGDPの35%に相当。暴力の影響が最も少ない国々はわずか3.3%

世界の平和度の主要基準である世界平和度指数(Global Peace Index、GPI)( (リンク ») )年次報告の第13版は、世界平和度の平均水準が5年ぶりに改善したことを明らかにした。しかし、改善したとはいえ、10年前と比べて世界は平和度がかなり低い状態にとどまっており、平均水準は2008年以来4%近く後退した。今年の報告は、気候変動が平和に及ぼす影響に関する新調査も含んでいる。

2019年版報告では、86カ国がスコアを伸ばして76カ国が下げた。アイスランドは世界で最も平和な国にとどまった。2008年からトップを占めている。指数の上位にはニュージーランド、オーストリア、ポルトガル、デンマークが入っている。ブータンはトップ20カ国の中でどの国よりも大きな改善を記録し、過去12年に43もランクを上げた。

アフガニスタンが現在、最も平和度が低い国としてシリアにとって代わり、シリアは下から2番目になった。南スーダン、イエメン、イラクとともに、最も平和度の低い5カ国を構成している。イエメンがこの5カ国にランクされたのは、指数を導入してから今年が初めて。

国際的シンクタンクInstitute for Economics and Peace(IEP、経済平和研究所)( (リンク ») )が作成したGPI報告は、平和、その経済的価値、トレンド、平和社会の発展法に関して、現時点で最も包括的なデータ駆動型分析である。報告は世界人口の99.7%をカバーし、評価の高いソースから23項目の質的・量的指標を用いて指数にしている。これらの指標は、継続中の紛争、安全性と保安、軍事化である。

IEP創始者で会長のスティーブ・キルリー氏( (リンク ») )は「2019年GPIで平和は改善したが、掘り下げた分析は正と負のトレンド混合を明らかにした。イラクやシリアなど過去10年支配的だった紛争が減少し始める一方、イエメン、ニカラグア、トルコで新たな紛争が発生して、底辺10カ国で世界平均以上に指数が低下、世界的な平和の不平等が増大している」と語った。

ここ1年、世界9地域のうち4地域はより平和になった。平和度が最大に伸びたのはロシアとユーラシア地域で、中東・アフリカがこれに続いた。両地域では、ウクライナとシリアで紛争による死者数がそれぞれ減少した。紛争による死者数低下は、テロによる死者の減少に似ている。

過去10年、GPIの3つの主領域のうち2つが悪化し、「継続中の紛争」は8.7%、「安全性と保安」は4%悪化した。しかし、世間の認識とは対照的に、「軍事化」領域は2008年以来2.6%の改善を記録した。人口10万人当たりの軍人数は117カ国で減少し、軍事費のGDP比は98カ国で低下した。軍事費が増加したのはわずか63カ国にすぎない。

スティーブ・キルリー氏は「過去10年に記録されたトレンドの多くは、世界平和の複雑性を浮き彫りにしている。ここ10年、国家支援テロが著しく減少したことは、明らかにいいニュースである。62カ国がスコアを上げて、42カ国が下げた。しかし、収監は逆のトレンドを示し、95カ国の収監率が上がったのに対し、65カ国が下げている。米国は過去10年、収監率を11%下げたが、なお世界で2番目に高い」と語った。

報告はまた、気候変動が引き起こす安全上のリスクにメスを入れている。報告の分析によると、気候ハザードの影響が大きい地域に住む人々は9億7100万人で、このうち4億人は平和度が低い国々に住んでいると推計されている。このような人々の10%、1億370万人はGPIの底辺25カ国にランクされた地域に住んでいる。南スーダン、イラク、リビア、コンゴ民主共和国、スーダン、北朝鮮、ナイジェリア、メキシコなどである。

2018年に暴力がグローバル経済に与えた影響はマイナス3.3%の14兆1000億ドルと、2012年以来初めて減少した。この数字は世界の経済活動の11.2%に匹敵し、人口1人当たりでは1853ドルになる。最も改善したのはシリア、コロンビア、ウクライナの激しい紛争が減少したことによる武力紛争である。テロの経済的影響が2018年は2017年比マイナス48%と、大幅に減少したこともある。暴力の被害を最も受けた10カ国の平均的な影響はそれぞれのGDPの35%に等しい。これに比べて世界で最も平和な国々はわずか3.3%にすぎない。シリアは67%で最も被害が大きかった。

▽地域別概観
*アジア太平洋の平和度は昨年、3つのGPI領域すべてで改善した。主として、国連平和維持資金の増加と国内紛争での暴力的示威活動と死亡の減少による。しかし、テロの影響は国内紛争や対外紛争と同様、悪化し続けた。中国は順位を2つ上げて110位となり、111位のアルジェリアを上回り、109位のジブチに続いた。

*中米カリブ海は昨年、3領域すべてで悪化した。7カ国は改善し、5カ国は悪化したが、平和度の分析でよくあるように、悪化は改善より大きかった。

*世界で最も平和な地域の欧州は2018年、わずかにより平和になり、過去10年の傾向が続いた。欧州36カ国中22カ国は改善した。欧州は指標のトップで優位を続け、最も平和な25カ国の17カ国を占めた。

*世界で最も平和でない地域の中東・北アフリカは昨年、ごくわずかに改善した。これは11カ国での改善に基づく。シリアはもはや世界で最も平和でない国ではなく、イラクで回復が具体化し始めた。

*北米の平和度は昨年、悪化し、地域別で2番目の低下度を記録した。カナダは総合点で少し改善したが、米国の悪化がはるかに大きく、殺人発生率、暴力犯罪、政治的不安定の増加に足を引っ張られた。カナダは世界で最も平和な10カ国の1つにとどまったが、米国は順位を4つ落とし、南アフリカとサウジアラビアの間の128位だった。

*ロシアとユーラシアの大半は依然として世界的標準より平和ではないが、昨年はあらゆる領域のGPIが改善した3地域の1つで、最大の地域的改善となった。ロシアは順位を1つ落として154位で、155位のコンゴ民主共和国を上回り、153位のパキスタンより下だった。

*南米では昨年、コロンビア、ウルグアイ、チリだけが改善し、残る8カ国は悪化した。ベネズエラは今、南米で最も平和でない国で、ブラジルは世界で5番目に大きな低下を記録した。

*南アジアの平均点は昨年、改善した。ネパール、パキスタン、ブータンの改善による。しかし、同地域はまだ、隣接する中東・北アフリカに次ぐ下から2番目のままである。

*サハラ以南アフリカでは、44カ国中27カ国が悪化し、全3領域のGPI低下につながった。同地域の23指標のうち12は改善し、8が悪化した。

詳細は次を参照: www.visionofhumanity.org

▽編集者注
GPI報告全体と記事、双方向地図は次を参照:www.visionofhumanity.org

Twitter: (リンク ») (#GlobalPeace19)

Facebook:www.facebook.com/globalpeaceindex

▽Global Peace Index(GPI)について
これは、地球規模の平和度の評価基準をリードするInstitute for Economics and Peace(IEP)( (リンク ») )が作成した世界平和度指数(GPI)の第13版である。163カ国・地域で進行中の国内と国際間の紛争、社会の安全と治安、軍事化の度合いを23の指標に基づいて評価している。

▽Institute for Economics and Peace について
IEPは、人間の幸福と進歩の建設的で達成可能、具体的な尺度としての平和に世界の関心を向けさせることに取り組んでいる国際的な独立のシンクタンクである。シドニー、ブリュッセル、ニューヨーク、ハーグ、メキシコ市、ハラレに事務所を持つ。

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ソース:Institute for Economics & Peace(IEP)

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