科学鑑定に関する研究会「和歌山カレー事件と『鑑定不正』」をオンライン開催

龍谷大学

From: Digital PR Platform

2021-09-14 14:05




10年に及ぶ裁判で被告人は科学鑑定のみを根拠に死刑判決が確定。鑑定がいかに不正だったかを公開研究会で報告(9/17(金)、24(金)の連続開催 いずれも18:00-19:30、Webより要事前登録)





【本件のポイント】
・刑事裁判と科学鑑定の問題に関して、龍谷大学犯罪学研究センター(※1)とともに長年研究に関わり、8月に著書『鑑定不正』(※2)を出版した河合 潤教授(京都大学)がその詳細を報告
・カレー事件の再審請求の中で最も重要な争点になってきたのは、有罪の決め手とされた「ヒ素の鑑定」の正確性と死因に関わる証拠
・現在、林眞須美さんが原告、確定審の2人の鑑定人を被告とする「名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟」(※3)が提訴されており、9/14(火)には河合教授の証人尋問を実施




【本件の概要】
龍谷大学 犯罪学研究センターは、2021年9月17日(金)、24日(金)に「和歌山カレー事件と『鑑定不正』」に関する公開研究会をオンラインで開催します。
当センターの研究メンバーを含むチームは、1998年の「和歌山カレー事件」を契機として、刑事裁判と科学鑑定の問題に取り組んできました。犯人と疑われた林眞須美さんは、2002年12月11日、殺人・同未遂・詐欺・同未遂の8つの公訴事実で有罪となり、和歌山地裁において化学分析による鑑定を根拠に、死刑の判決を受けました。控訴審の大阪高等裁判所も、2005年6月28日、控訴を棄却し、最高裁判所(第三小法廷)において、2009年4月21日、死刑判決が確定しました。
しかし、河合教授は、これらの裁判で採用された証拠の科学鑑定が正しいかどうかを精査し、結果として、多くの「鑑定不正」を見破ったのです。
現在、大阪地裁民事部には、林さんが原告、確定審の2人の鑑定人を被告とする名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟が提訴されており、9月14日に河合教授の証人尋問が行われます。
そんな中、河合教授の書き下ろしの著書『鑑定不正』が出版されました。この緊迫した状況の中で河合教授自身から、新著の意図についてお話しいただき、みなさんにその主張を正確に知っていただきたいと思い、本研究会を企画しました。



1.「龍谷大学 犯罪学研究センター公開研究会」実施概要
- 名称:【河合潤教授(京都大学)に聞く】「和歌山カレー事件と『鑑定不正』〜裁判官は、科学者の不正を見抜くことができるのか?〜」
- テーマと日時:(全2回)
 第1回研究会「河合潤『鑑定不正』の紹介」 9月17日(金)18:00-19:30
 第2回研究会「河合潤、読者の質問に答える」 9月24日(金)18:00-19:30
- 内容:講演後、質疑応答を予定(変更の可能性もあります)
 第1回研究会:企画の趣旨と作品紹介(30分)、著者講演(30分)、質疑応答(30分)
 ※第1回研究会終了後にWEBアンケートを実施(本の感想と質問)
 第2回研究会:経緯とアンケート紹介(30分)、著者による回答(55分)、総括(5分)
- 会場:オンライン(配信元:龍谷大学 深草キャンパス)
- 参加費:無料 下記URLより事前登録制 (申込時に参加希望日を選択)
- 主催:龍谷大学 犯罪学研究センター - 共催:(一社)刑事司法未来
キーワード:刑事裁判, 科学鑑定, 科学的根拠, エビデンス, 刑事政策


2.詳細・申込方法
以下URLより必要事項を入力しお申込みください
(リンク ») (申込期限:各開催当日17:30)


3.講師・主宰者紹介
河合 潤教授 (京都大学)/講師
京都大学大学院工学研究科の教授で、世界的な分析化学の研究者です。東京大学工学部 合志陽一教授の研究室で科学者としてのトレーニングを積み、同大学院で博士号を取得。同大学生産技術研究所の教務技官・助手、理化学研究所基礎科学特別研究員を経て、1993年に京都大学工学部助手、助教授を経て2001年から教授の職にあります。数々の学術賞を受賞するほか、国際学会での招待講演の実績も多くあります。

石塚 伸一教授(龍谷大学)/主宰者
本学法学部の教授で、専門は刑法・刑事政策・犯罪学です。中央大学法学部を卒業後、同大学院法学研究科博士課程に進学。同課程退学後、非常勤講師を経て、北九州市立大学法学部講師。同学部助教授・教授を歴任。1998年に龍谷大学に移籍。法学部・法務研究科教授を経て現職。現在、アジア犯罪学会常任理事・本学「犯罪学研究センター」「ATA-net研究センター」の両センター長を務めるほか、2004年から第二東京弁護士会に所属し、刑事事件を中心に弁護士としても活動しています。2013年と2015年に、本学において「科学鑑定と裁判」に関する公開シンポジウムを主宰しており、その成果論文は大学紀要(『龍谷法学』第46巻4号, 『龍谷法学』第48巻1号)に所収されています。


4.主宰者補足コメント
石塚 伸一(本学法学部教授・犯罪学研究センター長) ※以下【別紙】参照


5.用語解説
※1 龍谷大学 犯罪学研究センター
「犯罪学」(英:Criminology)とは、犯罪にかかわる事項を科学的に解明し、犯罪対策に資することを目的とする学問です。龍谷大学 犯罪学研究センターは、建学の精神を具現化する事業として2016年6月に発足。犯罪学はその対象が犯罪や非行であるため、人びとの関心は、罪をおかした人の素質や環境、捜査手法、防犯対策に集中しがちですが、当センターでは「人が日々の生活で抱える問題や失敗を''つまずき''という視点でとらえ、社会から孤立させないようにする。''つまずき''からの立ち直りには、地域社会における総合的な支援が必要」と考え、研究の社会実装に向けた諸活動を展開してきました。

※2 河合 潤著『鑑定不正』(日本評論社, 2021年)
本書の対象は、1998年7月に起きたいわゆる「和歌山カレー事件」の科学鑑定であり、鑑定不正の実態をわかりやすく解説しています。河合教授は、本事件の刑事裁判で採用された証拠の科学鑑定が、正しいかどうかを一つひとつチェックする作業の中で見つかった事実を指摘してきました。抗告審までに裁判所に提出された意見書は、55丁、2000ページ以上に及び、それらを科学の知識のない人でも理解できるようにまとめた一冊です。
(発刊年月:2021年8月/ISBN:978-4-535-52598-6)

※3 大阪地裁民事部における「名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟」
「和歌山カレー事件」に関して、2009年4月21日に最高裁判所において林眞須美さんの死刑判決が確定。その後、林さんは和歌山地方裁判所に無罪を求める再審を請求していたものの、2018年3月29日に棄却。林さんは即時抗告し、同時に大阪地方裁判所(民事部)において、一審死刑判決の決め手となったヒ素の鑑定(検察側請求)が虚偽などとして、鑑定をした大学教授ら2人に計6500万円の損害賠償を求めて提訴しました。
つまり、「虚偽の鑑定が裁判官の有罪とする事実誤認を導いた」、そのことによって林さんは精神的苦痛を蒙ったというものです。再審請求中に、こうした不法行為に基づく民事訴訟が提起された例はこれまでに類を見ません。なお、鑑定が「虚偽」であるとの意見書を提出したのが河合潤教授で、2021年9月14日に証人尋問が行われます。



問い合わせ先:龍谷大学 犯罪学研究センター  Tel 075-645-2184 Fax 075-645-2240
       E-mail crimrc2016@ad.ryukoku.ac.jp URL (リンク »)

【リリース発信元】 大学プレスセンター (リンク »)
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