インフォコム株式会社(東京都港区、代表取締役社長:竹原 教博)は、北海道大学との共同研究「高齢心不全患者におけるフレイル自動診断を支援する新医療機器プログラムに関する研究開発」が、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した「令和4年度 医療機器等研究成果展開事業」において採択されたことをお知らせします。
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患者の歩行動画を撮影し、「棒人間」に変換
【背景】
日本では年間約120万人が心不全を罹患しているとされており、高齢化に伴い増加傾向にあります。特に高齢の患者では、心不全が「フレイル(虚弱)」と呼ばれる筋力や心身の活力が低下した状態につながりやすいことが指摘されています。適切な治療のためには患者のフレイル段階を正しく評価することが重要ですが、医師によってフレイルの程度判定に差が出てしまうという課題がありました。
こうした課題を踏まえ、北海道大学大学院医学研究院循環病態内科学教室(永井利幸准教授)では、2018年から心不全患者におけるフレイルの客観的な診断に関する研究を進めていました。
一方、インフォコムでは、人間の動きを撮影した動画から関節の位置や向きを推定するソフトウェア(OpenPose)を使って、人間の動きを直線で表現した「棒人間」のアニメーションを作成するスマートフォンアプリ「Stickman Animator」を2018年から公開しています。インフォコムは、このアプリで利用した機械学習技術・ノウハウを同大学に提供するとともに、2019年から共同で研究を進めてまいりました。
【概要】
今回AMEDに採択された研究は、①フレイル判定プログラムの開発、②スマートフォンを使った軽量版判定プログラムの開発、③臨床的妥当性の評価の3項目。AIに心不全患者の歩行パターンを機械学習させることで、フレイルの進行度を解析・診断することを目指します。
解析は、まず心不全患者が既定のコースを歩く歩行動画を撮影。次に、取り込まれた動画から関節の位置を自動で特定し、フレイル患者に見られる動作を特徴量に変換した後、AIの機械学習を基に解析を行います(特許出願中)。この結果を医師が参照することで、適切な治療につなげます。
一般的に関節の位置情報を検出する際には、特殊なスーツの着用やセンサーを体に取り付ける必要がありますが、今回のシステムではそれらは一切不要で、患者が機器の着用に影響されることなく通常の歩行を撮影することが可能です。また、棒人間のデータ(関節の位置情報)に置き換えることで個人情報に配慮されたデータとして扱うことができます。
【北海道大学 永井准教授のコメント】
永井准教授は「これまで、各医師の患者さんに対する主観的印象に基づいて行われてきたフレイル判定を、AIにより客観的に判定することで、評価の標準化を実現し、患者さんにより正確な治療選択肢を提示することが出来ると考えています」と述べ、将来的な事業化や社会活用に意欲を示しています。
【今後の展開】
研究を通じて、フレイル判定指標の標準化を目指し、心不全患者が適切な治療法を選択できる環境と生命予後やQOLの改善に役立てていきます。インフォコムは、今回のようなスマートフォンなどの身近なデバイスを利用して簡単に機械学習を利用できるコンテンツ開発や軽量化、応用した利用法の研究を進め、ヘルスケア領域の発展に役立てていきます。
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※スマートフォンアプリ「Stickman Animator」
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インフォコムグループは、医療機関や一般企業向けに情報システムを提供するITサービス事業を展開しており、ヘルスケア領域では、健康経営サポートサービス「WELSA」を提供しています。
[インフォコム株式会社] 代表取締役社長 竹原 教博、1983年設立、東証プライム
連結売上高680億円、連結従業員数1,196名(2021年3月期)
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