昭和大学(東京都品川区、学長:久光正)歯学部口腔病態診断科学講座口腔病理学部門の田中準一講師、美島健二教授、国立感染症研究所の泉福英信室長(現:日本大学松戸歯学部教授)と鶴見大学歯学部病理学講座の斎藤一郎教授(現:株式会社クレインサイエンス代表)らを中心とした共同研究グループは、ヒトiPS細胞から唾液腺オルガノイドの作製に成功しました。今回得られた唾液腺オルガノイドは、唾液腺分泌障害に対する再生医療や唾液腺疾患解析、創薬スクリーニングの有用なツールとなることが期待されます。本成果は英国の科学雑誌『Nature Cell Biology』10月17日付(日本時間10月18日)に掲載されます。
昭和大学歯学部口腔病態診断科学講座口腔病理学部門の田中準一講師、美島健二教授、国立感染症研究所の泉福英信室長(現:日本大学松戸歯学部教授)と鶴見大学歯学部病理学講座の斎藤一郎教授(現:株式会社クレインサイエンス代表)らを中心とした共同研究グループは、ヒトiPS細胞から唾液腺オルガノイドの作製に成功しました。本研究成果は、これまで昭和大学を中心とした研究グループがマウスES細胞より作出した唾液腺オルガノイド(Nat Commun. 2018)に引き続いて行われた世界に先駆けた成果となります。
唾液腺は口腔内に唾液を分泌する組織です。唾液は消化作用、抗菌作用および口腔粘膜の保護作用などを有し、口腔内環境の維持に重要な役割を果たしています。近年、唾液分泌低下による口腔乾燥症患者の増加が指摘され、症状の重篤な場合には、著しいQOL(Quality Of Life)の低下をもたらすことが懸念されています。
共同研究グループは、ヒトiPS細胞から誘導した口腔粘膜上皮から唾液腺の分化過程を段階的に再現し、三次元的な唾液腺器官の再生に成功しました。今回、iPS細胞から誘導した唾液腺原基(唾液腺オルガノイド)は、形態学的な特徴や遺伝子発現解析からもヒト胎生期の唾液腺原基に類似していました。また、大唾液腺の1つである耳下腺を摘出した免疫不全マウスに、唾液腺オルガノイドを同所性移植することにより、移植したオルガノイドの導管と残存唾液腺の導管が接続することが確認されました。
今回得られた唾液腺オルガノイドは、唾液腺発生メカニズムの解析はもとより、唾液分泌障害に対する再生医療や唾液腺疾患解析、創薬スクリーニングの有用なツールとなることが期待されます。本成果は英国の科学雑誌『Nature Cell Biology』に10月17日付(日本時間10月18日)に掲載されます。
※研究内容の詳細は添付PDFをご参照ください。
<雑誌名>
Nature Cell biology (impact factor 2021-2022: 28.824)
<論文名>
Human induced pluripotent stem cell-derived salivary gland organoids model SARS-CoV-2 infection and replication
<著者名>
Junichi Tanaka*, Hidenobu Senpuku, Miho Ogawa, Rika Yasuhara, Shintaro Ohnuma, Koki Takamatsu, Takashi Watanabe, Yo Mabuchi, Shiro Nakamura, Shoko Ishida, Tomohiko Sadaoka, Takashi Takaki, Tatsuo Shirota, Toshikazu Shimane, Tomio Inoue, Takayoshi Sakai, Munemasa Mori, Takashi Tsuji, Ichiro Saito, and Kenji Mishima1*.
(*corresponding author)
<DOI>
DOI: 10.1038/s41556-022-01007-6.
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昭和大学 歯学部 口腔病態診断科学講座 口腔病理学部門 教授
美島 健二
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▼本件リリース元
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