■ 背景
デジタルトランスフォーメーション(注2)の実現の鍵を握るのは、フィジカル空間(現実空間)とサイバー空間(仮想空間)をシームレスに繋ぐデータの活用です。IoT(注3)デバイスでセンシング(注4)したデータを5G(注5)で集め、AI で高度な分析を加えてサービスとして提供するデータ駆動型社会を支えるシステムが求められています。
こうしたデジタル技術やそれを活用した製品やサービスは、プラットフォーム(注6)を通じて発展・普及するため、従来のコストパフォーマンスに加え、タイムパフォーマンスも求められます。すなわち、安く高性能であるだけでなく、早く提供することも重要です。しかし、製品やサービスを実現するための専用チップ(注7)を最先端のプロセスで製造すると、高い性能を得ることができる一方で、開発に多大な費用と年月を要することが課題とされてきました。
■ 事業の概要
RaaS の研究開発目標は、専用チップの開発効率を10 倍に高めると同時に、エネルギー効率を10 倍に高めることです。
まず、開発効率を高めるために、専用チップを素早く設計できるアジャイル設計手法(注8)を研究開発します。専用チップを設計・製造するにあたり課題となるのは開発コストですが、RaaSの新たな取組みでは、組合員が共同利用できる次世代先端半導体開発プラットフォームを研究開発することで、チップ設計と製造を民主化します。
また、エネルギー効率を高めるために、世界のメガファウンドリ(注9)の7nm 以降のCMOS プロセスを利用し、組合員の実現したいシステムを搭載したチップを製造します。このようにして開発されたエネルギー効率の優れた半導体チップを活用し、各組合員は自らが実現したいシステムを開発して事業化します。
■ 体制
RaaS のシステム系研究部門は、東京大学、アドバンテスト、凸版印刷、日立製作所、ミライズテクノロジーズ、理化学研究所の6 組合員で活動します。各法人の事業領域(ドメイン)で求められるシステムをテーマに、先端半導体開発プラットフォームを共同で研究開発します。加えて、半導体産業界のエコシステムを支えるEDA ベンダーや半導体ファウンドリがこの活動を支援します。
■ 期待される成果
誰でも専用チップを素早く設計でき最先端半導体技術で製造できるようにし、シリコン技術を民主化します。
【ホームページ】
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【本件問合せ先】
先端システム技術研究組合(RaaS)
理事長 黒田 忠広(くろだ ただひろ)
TEL:03-5810-1645、 E-mail:contact_us@raas-cip.org
【用語の説明】
(注1)RaaS
先端システム技術研究組合の英語名のResearch Association for Advanced Systems の頭文字を繋げて作った略語。半導体を部品(製品)としてではなく、システムの中核知識(サービス)として提供することを標榜し、サービスとしての研究(Research as a Service)の意味も込めてラースと読む。
(注2)デジタルトランスフォーメーション
デジタル情報処理技術の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという概念。
(注3)IoT(Internet of Things)
モノのインターネット。様々なモノ(物)がインターネットのように繋がり、情報交換することにより相互に制御する仕組み。
(注4)センシング
センサーを利用して、長さ、質量、圧力、温度などの物理量や、音・光などを計測、検知すること。
(注5)5G
第5 世代移動通信システムのこと。
(注6)プラットフォーム
商品やサービス・情報を集めた場を提供することで利用客を増やし、市場での優位性を確立するビジネスモデル。また、複数の製品や製品群に共通に用いられる基盤技術のこと。
(注7)専用チップ
特定の商品やサービスを実現するため専用に設計されたチップ。
(注8)アジャイル設計手法
ソフトウェアのアジャイル開発にならって、ハードウェアの実装修正を短期間で繰り返しながらチップを素早く(アジャイルに)開発する自動設計手法。
(注9)メガファウンドリ
ファウンドリは半導体デバイスを生産する工場のこと。特に世界最大級の規模のファウンドリをメガファウンドリと呼ぶ。
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