厳しい要求に鍛えあげられたプラットフォーム
ビジネス上の変化が激しい今日、大金を投じて開発したシステムでも、現場の新たな要求やニーズの変化に適宜対応していく能力がなければ、すぐに使われなくなり、陳腐化していく。その点で、Salesforce1 Platformは、「システム作りのスピードを担保するのと同時に、作られたシステムの陳腐化を防ぐ仕組みでもある」(岡本氏)というわけだ。
もちろん、Salesforce1 Platformによる「アジャイルな開発」があらゆる領域のアプリケーション開発に適用できるとは限られない。「ただし、お客様が抱えている課題の中で、Salesforce1 Platformがヒットするところは数多くある。そこから導入を始めて、徐々に適用範囲を広げていくことも、クラウドサービスのSalesforce1 Platformならば可能で、それが本来の使い方とも言える」と、伊藤氏は付け加える。
仮に、Salesforce1 Platformの導入で、ビジネス現場によるシステム改善のセルフサービス化を実現するとしよう。そのような場合、おそらく疑問として浮上してくるのは、「それでセキュリティ上の安全性は担保されるのか」という点だ。
ただし、Salesforce1 Platformを含む、セールスフォースのクラウドサービスは、世界中および日本の巨大企業・政府機関の厳しい要求によって過去15年間、鍛え抜かれたものだ。すべての顧客に対して、巨大企業・政府機関の要件に合致した、最も厳しい水準のセキュリティ機能が提供されている。また、日本の組織では、統廃合や新設が行われるほか、一人の担当者が複数のロールを兼務しているケースも少なくない。そのような環境への適合を求められてきたセールスフォースのサービスでは、ユーザーの権限をきわめて詳細にコントロールするための機能が装備されている。そのため、情報セキュリティを脅かすような過剰な権限を、特定の利用者に与えないようにするのは簡単だ。
「セキュリティにおける権限設定もしかり、インフラ/ミドルウェアの保守・管理もしかり、これらは経営・ビジネスの強化とは本質的に関係のない業務。それに優秀な技術者の労力や能力を割いているのは、明らかに資源の無駄遣いで、Salesforce1 Platformに肩代わりをさせたほうがいい」と岡本氏は指摘する。
今日では、より上位層のWebサービスやモバイル・アプリケーションのところで技術革新が激しく、注目すべき新技術の登場も相次いでいる。それをビジネスの革新につなげていくことは、IT部門の大切な役割の一つであり、自社の中での自部門の価値を高める一手と言える。そんなミッションを果たすうえでも、Salesforce1 PlatformがIT部門の大きな助けとなるのは間違いないようだ。
次回はSalesforce1 Platformのモバイル活用のメリット、強みを担当者のインタビューを交えてお届けする。