1stホールディングスは、ウイングアーク テクノロジーズをはじめとしたソフトウェア開発・販売会社6社のグループ企業を束ねるホールディングス・カンパニーだ。メールやグループウェアなどのコミュニケーション基盤の統合、コスト削減ならびに管理負荷軽減を目的に、Google Appsを導入。スマートフォンとの連携も実現し、業務の生産性を向上させた。
コスト削減の実現と社員のPCにデータが蓄積されるリスクを回避
情報システム部
佐藤 岳彦 氏
1stホールディングスは2004年に帳票、BIソリューションを展開するウイングアーク テクノロジーズの持ち株会社として発足し、2009年に商号変更して現在に至っている。ソフトウェア販売会社であるウイングアーク テクノロジーズをはじめ、ソフトウエアビジネスを支える販売・開発企業5社、セキュリティサービス企業1社の合計6社で構成されるグループ企業である。企業の情報活用を支援するために、お客様に価値を実感していただけるソフトウェアを提供する同社は、ナンバー1かつオンリー1として認められるソフトウェアで顧客のビジネスを支え続けている。
2009年末からメール、グループウェアなどのコミュニケーション基盤統合の検討を開始し、2010年9月よりGoogle Appsの導入を開始。翌2011年1月から1stホールディングス、ウイングアーク テクノロジーズ、開発会社であるフォー・クルーの3社でGoogle Appsの正式運用を開始した。将来的には、現在3社で進んでいるGoogle Appsの活用によるノウハウを蓄積し、他のグループ会社への導入も進めていきたいとしている。
1stホールディングスのコミュニケーション基盤の刷新の背景には、次のようなものが挙げられる。
まず、メールやグループウェアなどのコミュニケーション基盤を1つに統合することで、コスト負担や運用管理の負荷を減らそうという目的。次に、より利便性の高いツールに変えることで、生産性を向上させようという狙いがあった。そしてツールの統一により、グループ企業間のコミュニケーションをより密に、円滑にし、新しいビジネスを創出していく素地を作りたいという考えもあった。
コスト負担、運用管理負荷への対策について、情報システム部の佐藤岳彦氏は次のように語る。
「1stホールディングスを含めると合計7社のメールシステムやグループウェアなどの管理を行う必要が今後出てくるので、できるだけ管理負荷を減らしたかったのです。グループ発足直後はすべての会社が別種類のメールシステムを使っていました。バージョンアップやメンテナンスの費用を考えるとコミュニケーション基盤を一本化すればコストもかなり減らせると考えました」
こうしたコスト面も考慮して同社では新しいコミュニケーション基盤はクラウドを活用しようという決定がなされたという。情報システム部の石川亮氏は次のように語る。
「オンプレミスで統合基盤を作るというのは、経済的にも時間的にも無理があるという結論になりました。信頼性の高い事業者のクラウドサービスを活用することでコストも安く、短期間で稼動させることができます」
クラウドサービスを利用すると、ビジネスで取り扱う重要なメールやデータが、社内のサーバや社員が使用しているPCではなく外部の事業者のサーバに蓄積されることになる。クラウドサービスへのセキュリティ面での懸念はなかったのか。
この点について石川氏は、社内のサーバや各社員のPCにダウンロードされたメールやデータが蓄積されている状態もリスクは存在していたと語る。 「外部からのアタックやPCの紛失などは万全の注意をしていても起きてしまう可能性があります。それと比較して、信頼できる事業者が管理するサーバで保管すれば安全性の高い運用をはかることができます。社員のPCにメールデータを残さないというのが、1つのポリシーでした」(石川氏)
では、数あるメールのクラウドサービスの中で、なぜGoogle Appsを選んだのだろうか。その理由について佐藤氏は、「複数のクラウドサービスを総合評価し、25GBという圧倒的なメール容量の多さや、標準搭載されているサービスが充実していること、サードパーティ製品との連携のしやすさなど様々なメリットを持ちつつも、コスト面で最もリーズナブルだったのがGoogle Appsでした。コスト試算も実施したところGoogle Appsの代表的競合製品とされる大手A社提供のクラウドサービスの約2分の1、B社サービスの約3分の1で導入できるという結果でした」と語る。