将来的には社内システムの5割程度にOSSを活用
研究企画部門 NTT オープンソースソフトウェアセンタ
担当部長
吉田 忠城 氏
テレコム事業のオペレーションを支えるITシステムには巨額の投資が必要となるが、そのコストをいかにして削減するかは大きなテーマだった。また一方で、システム構築の際に商用製品を利用していると、トラブル時に自社の手が届きにくいなど、歯がゆい思いをすることがあった。
同社ではそうした課題を解決する手段としてOSSに着目。グループ全体のTCO削減やベンダロックインを防ぐことを目的とし、グループ内のOSSの技術者を集結して2006年に「NTT オープンソースソフトウェアセンタ(OSSセンタ)」を設立。グループ内のSI会社や事業会社と連携してOSSの積極的な活用を推進している。設立の背景について、同センタ担当部長の吉田忠城氏は次のように語る。
「NTTでは2000年頃からLinuxを積極的に利用してきました。また、OSSミドルウェアについてもSI各社で独自の取り組みを進めていました。時間の経過とともにOSS普及に向けて機が熟し、一層の普及推進や技術者間の相乗効果を図ることを目的に、OSSセンタを立ち上げたのです」
OSSセンタでは現在、50種類以上のOSSについて、グループ全体のシステムの見直しにおける、OSSへの置き換えを支援している。「OSSと商用製品は適材適所に使い分けていくことが重要ですが、将来的には社内システムの5割程度にOSSを適用するように推進していきたいと考えています」(吉田氏)と目標を掲げている。
図:OSSによるコスト削減(出典:サイオステクノロジー)
OSSミドルウェアはすでに信頼できる品質であり、多くの社内システムに適用可能である
企業の現場では、コスト削減などの点でOSSに関心があっても、実際の利用については躊躇することが多い。その理由として信頼性やサポート、構築ノウハウの不足などが挙げられる。
吉田氏は「これまで約5年間、累計6000件以上の問い合わせ対応を行ってきましたが、OSSの新規バグは全体の0.5%であり、しかも周辺機能におけるバグが多いことから、商用製品と比較しても十分な品質に達していると考えています」と話す。
サポートやノウハウについては、NTTではOSSセンタにて問題解決を一元化し、構築ノウハウや推奨構成、サポート情報などを「OSSVERT(OSs Suites VERified Technically:オズバート)」にまとめ、検証済みの情報として提供している。もちろん、開発コミュニティにも高く貢献しており、中心的な役割を担っている。 (→次ページへ)