マイクロソフト認定トレーナーが教える、Windows Server 2012 マイグレーションの手引き

[3]移行時の検討ポイント
安全・確実にWindows Server 2012へ移行するために

 ここからは、具体的な移行方法について検討していく。まず、Windows Server 2012へ移行する場合には、現在稼働中の古いWindows Serverを、既存の設定をすべて引き継いだままWindows Server 2012にアップグレードする「インプレースアップグレード」と呼ばれる方法と、新しいハードウェアにWindows Server 2012をインストールし、データやアプリケーションなどを既存のサーバから移行する方法がある。それぞれのパターンを軸に、移行時のポイントについて見てみよう。

既存サーバからの移行条件

 Windows Server 2012へインプレースアップグレードができるのは、既存のOSがWindows Server 2008 R2、または64ビット版のWindows Server 2008だけである。既存のOSがWindows Server 2003以前、または32ビット版の場合は、インプレースアップグレードができないため、新しいハードウェアに移行する方法をとる必要がある。

何を移行するか(移行できるもの、できないもの)

 既存のサーバからの移行を検討するときには、OS上に実装するデータとアプリケーションについて、移行が可能であるかどうかを確認する。

 データについては、基本的にファイルコピーによって新しい環境に移行する。ただし、単純にファイルをコピーしてしまうと、ファイルに対して設定されている「アクセス許可」が移行されない。そこで、アクセス許可も含めてファイルをコピーできるように、Windows Server 2012の機能として用意されている「Windows Server移行ツール」を利用する。「Windows Server移行ツール」のコマンドを移行元となる既存のサーバと移行先となるサーバでそれぞれ実行することで、簡単にアクセス許可を保持したままデータをコピーすることができる。

 アプリケーションに関しては、アプリケーションごとに移行方法が用意されているので、その方法に従うことになるが、ここでは1の例として、Active Directoryの移行について紹介しよう。

 Active Directoryの場合、基本的にはドメインコントローラーに保存されているデータベースをWindows Server 2012に移行すればよい。そこで、最も簡単な方法はWindows Server 2012のドメインコントローラーを既存のドメインに追加すれば、ドメインコントローラー間の複製が行われ、Active DirectoryデータベースをWindows Server 2012に移行できたことになる。

移行できない場合の対処

 既存のサーバをインプレースアップグレードできず、またアプリケーションの移行も難しい場合には、Windows Server 2012を利用せず、既存のサーバをそのまま使い続けるという選択になることも考えられる。前述のとおり、サポート期限の問題などがあるため、お勧めはしないが、どうしても既存環境を使い続けなければならないという場合には、仮想化技術を活用する方法がある。

 既存のサーバで動作しているOSを、そのまま仮想マシンとして動作するように移行すれば、これまでよりもハードウェア的に信頼性の高いマシンの上で、高いパフォーマンスでサーバを動作させることができる。

 Windows Server 2012に標準搭載されている最新の仮想化技術「Hyper-V」は、スケーラビリティ、パフォーマンス、機能性、そのすべてにおいて大きく進化している。利用可能な仮想プロセッサ数は最大64個、メモリの割り当ては最大1TBに拡張され、仮想ハードディスクは最大64TBまでサポートする新しい形式(.vhdx)が標準となり(最大2TBのVHDも引き続きサポート)、より多くの、またスケールの大きい仮想マシンを動作させることが可能だ。

 既存のサーバを仮想マシンに移行する場合には、1つの方法として「Disk2Vhd」を利用する方法がある。「Disk2Vhd」はマイクロソフトのWebサイトからダウンロード可能なツールで、物理ハードディスク上にインストールされたOSを仮想ハードディスク(VHDファイル)に変換することができる。

 Disk2Vhdは既存のサーバ上で実行し、仮想マシンに移行するボリュームを選択するだけで自動的に既存環境がVHDファイルに変換される。

 変換されたディスクはWindows Server 2012にコピーして、「Hyper-Vマネージャー」から仮想ディスクを使って仮想マシンを作成すれば、既存のサーバを仮想マシンに移行して動かすことができる。

提供:日本マイクロソフト株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2013年5月30日
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