近年、情報機器、携帯機器、ネットワーク機器などの高機能化・小型軽量化が進み、回路の高速化や高密度実装に伴うEMI(*1)(電磁妨害)対策は日々複雑さを増しています。
新製品の「小型高精度磁界・電流測定システム」は、NEC中央研究所が開発した国際標準である「磁界プローブ法(IEC61967-6)(*2)」により、非接触で稼働中のLSI端子を流れる高周波電流を測定しパソコンの画面上に磁界分布を可視化することが可能な製品であり、高密度実装プリント基板上における効果的なEMI対策と効果の確認が可能です。
新製品は、当社既発売(2002年9月)「磁界・電流測定システム」の空間分解能を向上し、測定対象外の場所から発生するノイズや電界による誤差を抑制したもので、高密度プリント基板上のLSIの各信号端子での磁界測定が可能となりました。
新製品は、磁界プローブ部分に高周波特性に優れた高精度なガラスセラミックを採用し、製造プロセスを精密化したことにより、従来製品と比較し約2倍の空間分解能を実現しました。また、センサ-部の面積を約1/2に小型化し高密度実装化に対応したことに加え、周波数特性の向上により高周波化への対応を図りました。
新製品の「小型高精度磁界・電流測定システム」の主な特長は以下の通りです。
(1)シールデッドループ(Shielded Loop)型(*3)の磁界プローブは、従来比約2倍の
136マイクロメートルの空間分解能を有し、センサー部の面積を約1/2(1.2mm×
0.7mm)に小型化したことにより、LSI端子毎の磁界測定を実現しました。
(2)周波数特性は、従来比2倍の6GHzまでの高周波特性を実現しました。
(3)10マイクロメートルピッチでXYZ軸方向および回転軸方向に走査可能な電磁界
スキャナと測定ソフトウェアの組み合わせにより、プリント基板全体を非接触で
自動測定しパソコンの画面上に磁界分布を可視化することが可能です。
新製品の標準価格は以下の通りとなっており、今後2年間で100セットの販売を見込んでおります。
1.磁界・電流測定システム用ソフトウェア:45万円(税込価格:47万2,500円)
2.磁界プロ-ブ(CP-1S):40万円(税込価格:42万円)
3.電磁界測定スキャナ(4EM500):500万円から(税込価格:525万円から)
なお新製品の「小型高精度磁界・電流測定システム」は、NEC中央研究所の技術支援によりNECエンジニアリングが開発・製品化したもので、今後、EMI対策ソリューションの一環として、電子機器メーカに対して提案活動を展開して参ります。
<製品に対するお客様からのお問合せ先>
NECエンジニアリング
デバイスソリューション事業部 EMC応用開発部
TEL :042-360-4315
E-mail:e-design@neec.jp.nec.com
<ニュースリリースに対する報道関係からのお問合せ先>
NECエンジニアリング 企画部
TEL :03-5445-4411
用語解説
*1:EMI(Electro-Magnetic Interference):電磁妨害
電気/電子回路の動作に伴って発生する電磁波または高周波電流または電圧が、
他の電気/電子回路の動作に干渉し、妨害すること。特に電波受信機器への
妨害が問題とされる。
*2:IEC(International Electrotechnical Commission;国際電気標準会議)標準
磁界プローブ法(Magnetic Probe Method;IEC61967-6)
NEC中央研究所が開発し日本提案としてIECに提案し、2002年6月に発行された
ICパッケージの電源端子を流れる高周波電流の測定法。
*3:シールデッドループ(Shielded Loop)型磁界プローブ
同軸構造を応用して電界をシールドし、磁界のみを検出できるようにしたループの
磁界プローブ。1970年代に開発され、磁界測定で最も一般的に使用されている。
1990年代後半から東北大学大学院(工学研究科)の山口正洋教授らとNEC中央研究所
との共同研究により高精度なガラスセラミック多層基板を採用し劇的に小型化された。
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