2013年 クラウド活用がサーバ導入に与える影響に関する調査報告
調査設計/分析/執筆: 岩上由高
ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2013年のサーバ関連調査の一環として、クラウド活用がサーバ導入に与える影響に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2013年版 中堅・中小企業におけるサーバ環境の実態と展望レポート」のダイジェストである。
<「クラウド=サービス利用=サーバ市場の阻害要因」というステレオタイプの打破が重要>
■ サーバに関連した何らかのクラウド活用を検討している企業は中小企業でも5割に達する
■ 重要な用途のサーバにおける設置形態としては「自社所有型」が依然として多くを占める
■ 定義に固執しない「クラウド」の中にはサーバ市場を活性化する製品/サービスも存在する
■ 「垂直統合型システム」は大企業向けだけでなく、中堅・中小向けの商材展開も訴求可能
対象企業: 日本全国/全業種の年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業および年商500億円以上の大企業
対象職責: 企業経営もしくはITインフラの導入/選定/運用作業に関わる社員
調査実施時期: 2013年1月~2月
有効回答件数: 1000件
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 (リンク »)
■ サーバに関連した何らかのクラウド活用を検討している企業は中小企業でも5割に達する
以下のグラフは年商5億円以上の企業に対し、「何らかの形でサーバに関連したクラウド活用を検討しているかどうか?」を尋ねた結果である。詳しい内容は次頁以降に述べるが、ここでの「クラウド」は厳密な定義に固執せず、『ユーザ企業が同キーワードから想起するサーバ関連の製品やサービスにはどのようなものがあって、それらを検討している割合がどれくらいあるか?』を捉えようとしている。
「何らかのクラウド活用を検討している」と回答した企業の割合は年商5億円以上~50億円未満の中小企業においても5割に達している。しかし、その一方で「サーバを購入せずにサービス形態で利用する」という意味でのクラウド活用はまだ少ないのが実情だ。次頁以降では、ここでの「何らかのクラウド活用」とは具体的に何か?クラウド活用がサーバ導入に与える影響をどう捉えるべきか?について見ていくことにする。
■ 重要な用途のサーバにおける設置形態としては「自社所有型」が依然として多くを占める
まず導入済みサーバの実態を見てみることにする。以下のグラフは年商5億円以上のユーザ企業に対し、重要な用途の導入済みサーバを最大3つまで尋ね、それら各用途における「サーバの設置形態」を尋ねた結果を2012年1月時点と2013年1月時点とで比較したものである。つまり、サーバ単位で見た場合の設置形態の変化を表したものだ。
いずれの年商帯においても「自社ではサーバを購入せず、サービス形態で利用」は5%はごくわずか(値が5%未満のため、グラフ中の数値も省略されている)に留まり、2012年から2013年にかけて大きく増加した傾向も今のところは見られない。
この結果は重要なサーバ用途を3つまで尋ね、その用途に合致するサーバを対象としている。そのため、年商5億円以上の企業に導入済みのあらゆるサーバを全てカバーしたものではない点に注意する必要がある。だが、少なくとも「ユーザ企業にとって重要度の高いサーバ」についてはサービス形態への移行が急激に進んでいるわけではないことがわかる。
また、「クラウド」といった場合にサーバ仮想化を活用してパブリッククラウドと同等のスケーラビリティを持つサーバ環境をユーザ企業が自らの資産として構築した形態を「プライベートクラウド」と呼ぶこともある。ノークリサーチでは自社の資産としてサーバを購入した場合には「クラウド」には含めないという定義を採用している。
※ノークリサーチによる「クラウド」の定義は以下を参照
(リンク »)
大企業を中心に注目を集めている「垂直統合型システム」も、ユーザ企業がサーバ資産を購入している場合はクラウドには含まれず、上記のグラフでは「自社で購入したサーバを自社のサーバルーム内で設置」や「自社で購入したサーバをデータセンタに設置」に該当する。
このように、どこまでを「クラウド」に含めるかによってデータの見方が変わる点に注意する必要がある。では冒頭に挙げたグラフと上記のグラフの違いはどこにあるのだろうか?次頁ではその点について具体的に見ていくことにする。
■ 定義に固執しない「クラウド」の中にはサーバ市場を活性化する製品/サービスも存在する
以下のグラフは年商5億円以上のユーザ企業に対して、「クラウド」という用語で提案やアピールがなされているサーバ関連の製品やサービスの具体的な項目を挙げ、その中で活用を検討しているものを尋ねた結果(複数回答可)である。
「垂直統合型システム」 「オープンソースクラウド基盤」 「クラウド環境への出し入れ」 「仮想プライベートクラウド」「待機システムの置き場所」といった項目が比較的多く挙げられている。
ここでの選択肢は「クラウド」の厳密な定義に固執せずに、ユーザ企業が「クラウド」に関連すると認識する可能性のある製品やサービスを列挙している。そのため、選択肢が同じであってもユーザ企業の規模などによって、想起する具体的な製品およびソリューションが異なる点に注意する必要がある。
例えば、「垂直統合型システム」の場合、大企業向けではサーバ/ストレージ/ネットワークを統合し、さらにミドルウェア、運用管理基盤、システム配備などに関するパターンなども統合した高度なものが対象となるが、中堅・中小企業向けでは複数の物理サーバをブレードに統合し、仮想化環境の管理ツールを備えた簡易なものも対象として含まれる。
「オープンソースクラウド基盤」についても同様である。「OpenStack」や「CloudStack」といった具体名を入れてはいるが、中堅・中小企業における認知度は非常に低く、実質的には「オープンソースを活用して拡張/増強が容易なサーバ環境を安価に構築/運用できるのではないか」という期待が現れた結果と見るべきである。
また、こうした先進的な取り組みの傾向を把握する際には「ユーザ企業が自身の情報システムのために導入する」というケースと「IT企業が顧客にソリューションやサービスを提供するために導入する」ケースがあることにも留意する必要がある。
この上記の結果を「検討しているものがある / 検討しているものはない」という括りでまとめた結果が冒頭のグラフだ。ユーザ企業は「クラウド」という言葉を良い意味で曖昧に捉えているといえる。サーバの提案/導入を行う側としては、『クラウド=サーバ導入を伴わないサービス形態=サーバ販売を妨げるもの』と決めてしまわずに、ユーザが「クラウド」というキーワードから想起する製品やサービスの中にはサーバ市場を活性化させるものもあるということを認識し、それらを適切に織り込んだアプローチを行うことが重要と考えられる。
「選択肢が同じであってもユーザ企業の規模などによって、想起する具体的な製品およびソリューションが異なる」という点を確かめるために、次頁では「垂直統合型システム」を例にとって、そうしたアプローチにおけるポイントを詳しく見てみることにする。
■ 「垂直統合型システム」は大企業向けだけでなく、中堅・中小向けの商材展開も訴求可能
以下のグラフは活用検討中のクラウド関連の取り組みを尋ねた結果において、『ハードウェアからミドルウェアまで全てを統合した「垂直統合型システム」で自社専用のクラウド環境を実現する』(選択肢1)と回答した企業の業種分布および活用におけるシステム設置場所を尋ねた結果である。どのような業種での検討が多く、その際の設置場所がどうなっているか?を見ることによって、ユーザ企業が想起しているサーバ活用のイメージを推測することができるはずだ。その際にも、企業規模の違いを踏まえてデータの読み取ることが重要だ。例えば、「自社で所有するデータセンタ」という項目があるが、中小企業や中堅下位企業においては専用のデータセンタ設備ではなく、オフィスとは別の場所を間借りし、そこに自社用のサーバルームを設置している」という意味合いで回答されていることが多い点などに注意する必要がある。
年商5億円以上~50億円未満の中小企業と年商50億円以上~100億円未満の中堅下位企業では「サービス業(IT以外)」の割合が高くなっている。これらの企業規模において検討される「垂直統合型システム」とは複数の物理サーバをブレードなどに統合し、サーバ仮想化環境の管理ツールを備えた簡易なものと考えられる。こうした簡易な統合型システムを商材としてもつベンダや販社/SIerとしては、それらの訴求先としてIT関連以外のサービスを検討してみる価値がある。また中小企業では「自社のオフィス内」が設置場所として多く挙げられていることから、コンパクト性や静音性が重視される可能性も高い。
一方、年商300億円以上~500億円未満の中堅上位企業では「IT関連サービス業」の割合が高くなっている。この企業規模における「垂直統合型システム」はサーバ/ストレージ/ネットワークを統合し、ミドルウェア、運用管理基盤、システム配備などに関するパターンなども統合したものを指すと考えられる。IT関連サービス業が顧客にクラウドサービスなどを提供する際の基盤として導入するケースが多いものと考えられる。
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「カスタムリサーチ」はクライアント企業様個別に設計・実施される調査とコンサルティングです。
1.調査企画提案書の提示:
初回ヒアリングに基づき、調査実施要綱(調査対象とスケジュール、費用など)をご提案させていただく
2.調査設計:
調査企画提案に基づき、具体的な調査方法の選定、調査票の設計/作成やインタビュー取材計画立案を行う
多彩な調査方法が活用できます。
定量調査(アンケート調査)
ユーザ企業の実態とニーズを数値的に把握したい
販社やSIerが望む製品やサービスの動向を知りたい
定性調査(インタビュー調査)
ユーザ企業が抱える課題を個別に詳しく訊きたい
販社やSIerがベンダに何を期待しているかを訊きたい
デスクトップリサーチ
競合他社の動向などを一通り調べたい
3.実施と集計:
設計された調査を実施し、その結果を集計する
4.分析:
集計結果を分析し、レポートを作成する
5.提言:
分析結果を基にした提言事項を作成し、報告する
本リリースの元となっている「2013年版 中堅・中小企業におけるサーバ環境の実態と展望レポート」の詳細は右記を参照 ttp://www.norkresearch.co.jp/pdf/2013server_usr_rep.pdf
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