天然色素のみを用いた「フォトクロミック材料」の開発に成功 -- 化粧品や食品などへの応用も可能に -- 東京工科大学

東京工科大学

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2015-12-01 08:05


東京工科大学(東京都八王子市/学長:軽部征夫)応用生物学部の柴田雅史教授らの研究チームは、植物色素と化粧品や食品で使用できる原料のみを用いて、天然系のフォトクロミック材料(光の照射で色が変化する機能性材料)の開発に成功した。化粧品、食品、玩具、文具など、従来は難しかった高い安全性が求められる産業分野への応用が期待される。この研究成果は、2015年度色材研究発表会(10月21日、一般社団法人色材協会主催)などで発表された。


【背景】
 フォトクロミック材料は、可視光や紫外線の照射に起因して色が可逆的に変化する物質で、現在、リライタブルペーパー(書き換えられる紙)や紫外線検知材料、意匠性の塗料などに応用されている。しかしながら、食品に用いたり人体に直接塗布できる色素(天然色素や法定色素(注1))とは分子構造が大きく異なる有機色素が用いられており、安全性や環境負荷の観点から使用できる産業分野が限られていた。
 そこで本研究チームでは、食品、化粧品、玩具、文具など高い安全性が要求される産業分野でも使用することができるフォトクロミック材料を目指して、植物色素の活用を検討してきた。

【技術】
 紫ぶどうやブルーベリーなど食用果実にも多く含まれている色素であるアントシアニン類は約500種類が知られているが、その中で「3-デオキシアントシアニジン色素」と呼ばれる数種類の色素分子は、光の照射に起因して分子構造が可逆的に変化する性質をもっている。
 研究グループでは、イネ科の植物であるコウリャンから「3-デオキシアントシアニジン色素」のみを効率的に抽出すること、および同色素と化粧品や食品での使用が可能なポリオール(注2)などを組み合わせることで、紫外線の照射によって鮮やかな赤色に着色し、遮光状態では無色に変化していくフォトクロミック溶液を得ることに成功した。また、この溶液をメソ細孔粉体(均一な細孔を有する多孔質シリカ)に吸着させることで、光の照射で色が変わるゲルや粉体とすることもできる。

【社会的・学術的なポイント】
 本フォトクロミック材料は、化粧品や食品でも使用が可能な原料のみで構成されており、安全性の高い材料として従来よりも広範囲の産業分野への応用が期待できる。例えば、屋外と室内など光の強さによって発色を変化させる化粧品や、光の照射で模様が変わる食品包装容器、リライタブルペーパーを使った児童用の絵本やノート、玩具、植物原料のみを使用した環境対応型印刷インキといった、多様な製品が期待される。

【用語解説】
(注1)法定色素:化粧品・医薬部外品・医薬品に使用することが認められている有機合成色素。
(注2)ポリオール:分子内に水酸基を2個以上もつアルコール類。化粧品の保湿剤などに用いられる。

▼研究内容に関しての報道機関からのお問い合わせ先
 東京工科大学 応用生物学部 柴田雅史教授
 Tel: 042-637-2304(研究室直通)
 E-mail: mshibata(at)stf.teu.ac.jp
※(at)は@に置き換えてください。

【リリース発信元】 大学プレスセンター (リンク »)
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