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血中安定性、抗腫瘍効果を高めたヒトラクトフェリン製剤を開発 がんや急速進行性糸球体腎炎などのバイオ医薬品として実用化へ-- 東京工科大学応用生物学部

東京工科大学

From: Digital PR Platform

2020-09-30 20:05




東京工科大学(東京都八王子市、学長:大山恭弘)大学院バイオニクス専攻の佐藤淳教授らの研究グループは、ヒトラクトフェリン(以下、hLF)にヒト血清アルブミン(以下、HSA)を融合し、血中安定性と抗腫瘍効果を高めたhLF製剤を開発しました。 同製剤を用いて、hLFのバイオ医薬品開発に特化したベンチャー企業である(株)S&Kバイオファーマ(神奈川県川崎市、代表 加賀谷伸治)(注1)が、急速進行性糸球体腎炎、脊髄損傷、敗血症、がんなどの治療薬の開発に着手しています。
本研究は、国立医薬品食品衛生研究所、鳥取大学農学部との共同研究によるもので、研究成果は、欧州薬学連合(EUFEPS)が発行する薬学専門誌「European Journal of Pharmaceutical Sciences」オンライン版(9月15日付)に掲載(注2)されました。




【背 景】
 hLFは、自然免疫で機能するタンパク質であり、その作用からバイオ医薬品としての応用が期待されています。例えば、抗腫瘍効果以外では、急速進行性糸球体腎炎の主要因と考えられるNeutrophil extracellular traps(NETs)や、敗血症の主要因であるエンドトキシンと強く結合することで、その毒性を中和します。同研究グループの最近の研究で、hLFが脊髄損傷での主要因であるコンドロイチン硫酸に結合し、その毒性を中和することを発見しています。hLFは、これら疾患への分子標的薬としての展開が期待される一方、血中安定性が低いという課題がありました。本研究では、血中安定性を向上させる方法として、HSA融合技術(注1)に着目し、ラットでヒト血清アルブミン融合ヒトラクトフェリンの血中安定性と抗腫瘍効果(がん細胞の増殖阻害)を検証しました。

【成 果】
 融合の向きを換えた2種類のヒト血清アルブミン融合ヒトラクトフェリン(図1)を遺伝子組換え技術で作製してラットに投与し、その血中安定性を検証しました。hLFのみと比較して、両融合hLFともに長い半減期を示し、特にHSA-hLFは顕著な半減期の延長を示しました(図2)。hLFのみ、HSAのみの場合は、ヒト肺腺がん細胞株PC-14の増殖を阻害しませんでしたが、両融合hLFはその増殖を顕著に阻害しました。また、hLFとHSAを融合せず同時に添加した場合は、その効果が認められなかったことから(図3、HSA+hLF)、HSAのhLFへの「融合」が、がん細胞増殖阻害活性に重要であることが示されました。ヒト血清アルブミン融合ヒトラクトフェリンのヒトがん細胞株に対する増殖阻害効果は、正常ヒト肺細胞株であるWI-38には認められないことから(図4)、がん選択的であると考えられ、今後抗がん剤としての展開が期待されます。

【社会的・学術的なポイント】
 HSA融合技術により、hLFの血中安定性、さらにその抗腫瘍効果の向上が確認されました。HSA融合によるhLF活性の増強効果は、抗腫瘍作用以外でも認められることから、急速進行性糸球体腎炎、脊髄損傷、敗血症など種々の疾患に対するバイオ医薬品としての実用化が期待されます。

(注1) S&Kバイオファーマ 公式ウェブサイトURL( (リンク ») )
(注2) 論文名「Keisuke Ueda et al., Albumin fusion at the N-terminus or C-terminus of human lactoferrin leads to improved pharmacokinetics and anti-proliferative effects on cancer cell lines」
掲載ウェブサイトURL( (リンク ») )
(注3) ヒト血清アルブミン(HSA)の高い体内安定性に着目し、HSAに融合させることでバイオ医薬品の体内安定性を向上させる技術。また、HSAは増殖が盛んながん細胞に取り込まれ、枯渇しがちなアミノ酸源として使用されることが報告されています。本研究結果から、HSAとhLFを融合させることで、hLFのがん細胞への集積性が向上し、高い抗腫瘍効果が得られた可能性が考えられることから、その機序の解析を試みています。

■東京工科大学応用生物学部 佐藤淳(生物創薬)研究室
 遺伝子組換え、生化学、細胞培養技術を基盤とした生物創薬に関する研究を行っている。
 工学的な発想で、創薬という「モノ作り」を推進している。
[主な研究テーマ]
 1. 自然免疫で機能する多機能性タンパク質であるラクトフェリンの機能解析(特に抗腫瘍作用)
 2. 体内安定性を高めたラクトフェリンのバイオ医薬品としての開発
 3. 疾患に関連する糖鎖を標的とするバイオ医薬品の開発
 4. ファージディスプレイ法を用いた新規機能ペプチドの創製
[研究室ウェブサイトURL]
  (リンク »)

【本件のお問い合わせ先】
 東京工科大学 応用生物学部/大学院バイオニクス専攻 佐藤淳教授
 TEL: 042-637-2197(研究室直通)
 E-mail: atsato(at)stf.teu.ac.jp
 ※(at)は@に置き換えてください


【リリース発信元】 大学プレスセンター (リンク »)
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