2024年 Windows 11への移行を阻害する要因とその打開策
調査設計/分析/執筆: 岩上由高
ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業におけるWindows 11への移行を阻害する要因とその打開策に関する調査を行い、その結果を発表した。本リリースは「2024年版 サーバ&エンドポイントにおけるITインフラ導入/運用の実態と展望レポート」のサンプル/ダイジェストである。
<ユーザ企業に対する啓蒙を適切に行えば、Windows 11への移行はもっと加速する>
■依然としてWindows 10の利用が半数弱、Windows 11移行予定の2割が「導入時期は未定」
■「2025年中に導入」と考えるユーザ企業の移行促進では地政学リスクなどの啓蒙が有効
■Windows 11導入の利点ではセキュリティ強化に加えてファイルアクセス改善も訴求すべき
調査件数: 700社(有効回答件数)
対象企業: 中堅・中小企業(年商500億円未満)および大企業(年商500億円以上)(日本全国、全業種)
対象職責: ITインフラ関連の決裁、計画立案、選定/導入、管理/運用のいずれかを担う職責
※調査対象の詳しい情報については本リリース4ページを参照
■依然としてWindows 10の利用が半数弱、Windows 11移行予定の2割が「導入時期は未定」
2024年4月の時点でWindows 10サポート終了までに残された期間は1年半となった。しかし、以下の左のグラフが示すように導入済みのエンドポイントOSを尋ねた結果を見ると、中堅・中小企業では依然として多くのユーザ企業がWindows 10を利用していることが確認できる。
今後導入する予定のエンドポイントOSを尋ねた結果では多くのユーザ企業がWindows 11へ移行すると回答している。だが、そのスピードは緩やかだ。右上のグラフが示すように、多くのユーザ企業が年度末を迎える2024年3月末はWindows 11移行における1つのピークだが、それでもWindows 11導入を予定している中の20.7%に過ぎない。その後は2025年3月末に向けて徐々に導入割合が高まっていくと予想されるが、2025年3月末を過ぎた後も多くのWindows 10が残存する可能性がある。 サポート終了間際の混乱やトラブルを防ぐという点では、ベンダや販社/SIerにとってもユーザ企業が早期にWindows 11への移行を完了している状態が望ましい。そのためには「導入時期は未定である」と回答した26.4%のユーザ企業に対して移行の必要性や有効性をどのように啓蒙し、早期の移行を促していくか?が重要となってくる。
本リリースでは、調査レポート「2024年版 サーバ&エンドポイントにおけるITインフラ導入/運用の実態と展望レポート」から、上記に関する分析結果および提言の一部をサンプル/ダイジェストとして紹介している。
■「2025年中に導入」と考えるユーザ企業の移行促進では地政学リスクなどの啓蒙が有効
本リリースの元となる調査レポートでは、Windows系/Google系/Apple系/Linux系など計21項目の選択肢を列挙して導入済み/導入予定のエンドポイントOSを集計/分析している。 前頁の左側に掲載したグラフは導入済みのエンドポイントOSを尋ねた結果から、Windows 10/11のデータ抜粋をしたものだ。(調査レポートでは年商/業種/従業員数などの様々な企業属性別の集計結果が収録されている) に調査レポートでは以下の選択肢を列挙して、Windows 11の導入を避ける/遅らせる理由は何か?についても尋ねている。
「W3.Windows11の導入を避ける/遅らせる理由」の選択肢一覧
<<アップグレード時の負担>>
・Windows 11の要件を満たすため、新たに端末を購入する必要がある
・既存の業務システムのWindows 11上での動作検証が間に合わない
※2・既存の業務システムの中にWindows 11上では動作しないものがある
・Windows 10からWindows 11へのアップグレードに失敗したことがある
<<Windows10との兼ね合い>>
・Windows 10を対象として、端末の管理/運用のためのIT支出を行った
※1・Windows 10サポート終了間際で移行した方が費用面で有利である
・Windows 10サポート終了間際で移行した方がトラブルを避けやすい
<<機能面や使い勝手>>
※3・Windows 10と比べて、Windows 11には自社に役立つ改善点がない
・Windows 10と比べて、様々な設定を変更する手順が分かりにくい
<<その他>>
・現時点のWindows 11には依然として不具合が多いと考えている
・従業員がWindows 11の操作に慣れるまで時間と労力を要する
・エンドポイントのOSとして、Windows以外の採用を検討している
・端末ライフサイクルを統合管理するサービスの導入予定がある
・業務システム全体の導入/更新の計画に合わせる必要がある
・その他:
・明確な理由はない(排他)
以下のグラフは上記から「Windows 10サポート終了間際で移行した方が費用面で有利である」(※1)、「既存の業務システムの中にWindows 11上では動作しないものがある」(※2)、「Windows 10と比べて、Windows 11には自社に役立つ改善点がない」(※3)を抜粋して、Windows 11の導入予定として「2025年中に導入予定」、「導入時期は未定である」、「可能な限り導入時期を遅らせる」のパターン別に集計したものだ。 ※1の結果を見ると、「2025年中に導入予定」のユーザ企業はWindows 10サポート終了間際まで待った方が費用面で有利と考える割合が突出して高い。 しかし、地政学的リスクなどによって半導体不足が再発する可能性もゼロとは言えない。※1を主な理由としてWindows 11移行を遅らせているユーザ企業に対してはこうした点を啓蒙することが有効と考えられる。 一方、※2や※3では「2025年中に導入予定」や「可能な限り導入時期を遅らせる」と回答したユーザ企業と比べて 「導入時期は未定である」における値の低さが目立つ。つまりWindows 11への移行時期が未定のユーザ企業では、移行に伴う既存システムの動作検証やWindows 10と比較した時の改善点について、ネガティブな印象を持つ割合が相対的に低いと考えられる。
そこでWindows 11へ移行するメリットを上手く訴求できれば、Windows 11への移行を早められる可能性もある。次頁ではそうした観点での分析/提言を述べる。
■Windows 11導入の利点ではセキュリティ強化に加えてファイルアクセス改善も訴求すべき
本リリースの元となる調査レポートでは、以下の選択肢を列挙してWindows11を導入した/導入する理由についても尋ねている。
「W2.Windows11を導入した/導入する理由」の選択肢一覧
<<アップグレード時の負担>>
・Windows 11へ無償アップグレードできる手段があり、費用負担が少ない
・既に端末を統合管理しているため、OSアップグレードの負担が少ない
・Windows 11の方が機能アップデート時のトラブルや作業負担が少ない
<<Windows10との兼ね合い>>
・Windows 10導入済み(ダウングレード)端末の提供が終了する
・Windows10 21H2のサポート終了に合わせてアップグレードした
・Windows 10導入済み(ダウングレード)端末の価格が上がった
<<端末としての改善点>>
※1・ファイルサーバへのアクセスが速くなる(サーバ側の対応も必要)
※2・Windows 11搭載端末ではセキュリティ対策が強化されている
・認証機能が強化されている(生体認証、パスキー対応など)
<<OSとしての改善点>>
・ウィジェット(様々な情報を表示できるボード)を利用できる
・Microsoft Teamsが統合/プリインストールされている
・生成AIの機能(Copilot in Windows)を利用できる
・一部のAndroid向けアプリケーションを利用できる
・ユーザーインターフェースの使い勝手が良い
・音声入力の精度が向上している
<<その他>>
・端末ライフサイクルを統合管理するサービスを導入しているため
・業務システム全体の導入/更新の計画に合わせる必要がある
・Windows 10のサポート期限があるため、やむを得ず導入する
・その他:
・明確な理由はない(排他)
以下のグラフは上記から「ファイルサーバへのアクセスが速くなる(サーバ側の対応も必要)」(※1)および「Windows 11搭載端末ではセキュリティ対策が強化されている」(※2)を抜粋し、「導入済み」、「2024年中に導入予定」、「2025年中に導入予定」、「導入時期は未定である」、「可能な限り導入時期を遅らせる」のWindows 11の導入状況パターン別に集計したものである。
※2はWindows 11を導入済みのユーザ企業も挙げる利点であり、その他のパターンにおいても概ね高い値が見られる。だが、「導入時期は未定である」における値は相対的に低い。つまり、同OSのセキュリティ強化に関する認知が足りていない可能性がある。ベンダや販社/SIerがWindows 11の導入時期を定めていないユーザ企業に対して早期の移行を促す際にはこの点を啓蒙することが重要と考えられる。
一方、※1はWindows Server 2022以降との組み合わせで実現するSMB Compressionに関する項目だ。導入済みにおける値はやや低いが、現在は新しいサーバOSに関する認知も広まってきたタイミングということもあり、「2024年中に導入予定」では※2と同等の値となっている。だが、2025年以降や導入時期未定での値は依然として低い。ユーザ企業がWindows 11導入に前向きになるためには※2のような「もしもの備え」だけでなく、※1のような日々の業務効率にプラスとなる要素も必要となる。
ベンダや販社/SIerとしてはセキュリティ強化に加えて、日々のファイルアクセスにおける改善も合わせて訴求することが有効と考えられる。
本リリースの元となる調査レポートでは前頁で述べた項目の他にWindows 11移行を阻害する要因は何か?それを打開するために訴求すべきWindows 11の特徴とは何か?に関する分析/提言を述べている。
本リリースの元となる調査レポート
『2024年版 サーバ&エンドポイントにおけるITインフラ導入/運用の実態と展望レポート』
サーバはクラウドファーストの加速とオンプレ回帰のどちらに進むのか?PCでWindows 11移行を加速させるための施策とは?
【対象企業属性】(有効回答件数:700社、調査実施期間:2024年3月)
職責: ITインフラ関連支出の決裁を下す立場である(215件) / ITインフラに関わる計画立案を担っている(155件) /ITインフラの選定や導入を担っている(171件) / ITインフラの管理/運用を担っている(159件)
年商: 5億円未満 (157件)/ 5億円以上~50億円未満(151件) / 50億円以上~100億円未満(120件) /100億円以上~300億円未満(103件) / 100億円以上~300億円未満(89件) / 500億円以上(80件)
業種: 組立製造業(89件) / 加工製造業(89件) / 建設業(87件) / 卸売業(87件) / 小売業(87件) /運輸業(86件)/ IT関連サービス業(87件) / 一般サービス業(88件)
従業員数: 20人未満(132件) / 20人以上~50人未満(65件) / 50人以上~100人未満(58件) /100人以上~300人未満(126件) /300人以上~500人未満(79件) / 500人以上~1,000人未満(81件) / 1,000人以上~3,000人未満(76件) /3,000人以上~5,000人未満(26件) / 5,000人以上(57件)
IT管理/運用の人員規模: 兼任1名(123件) / 兼任2~5名(148件) / 兼任6~9名(43件) / 兼任10名以上(44件) / 専任1名(42件) /専任2~5名(68件) / 専任6~9名(43件) /専任10名以上(61件) / 社内常駐の外部人材に委託(17件) / 非常駐の外部人材に委託(20件) /IT管理/運用は全く行っていない(46件) / 都度適切な社員が対応(42件) / その他:(3件)
ビジネス拠点の状況: 拠点は1ヶ所のみ(199件) / 2~5ヶ所、インフラは全拠点で統一管理(199件) / 2~5ヶ所、インフラは各拠点で個別管理(104件)/6ヶ所以上、インフラは全拠点で統一管理(121件) / 6ヶ所以上、インフラは各拠点で個別管理(76件)、その他:(1件)
本社所在地: 北海道地方(25件) / 東北地方(33件) / 関東地方(311件) / 北陸地方(20件) / 中部地方(96件) / 近畿地方(132件) /中国地方 (23件) / 四国地方(19件) / 九州・沖縄地方(41件)
【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の概要】
第1章: サーバ形態の推移(現状と今後)
業務システムのサーバ形態がオンプレミス(オフィス内設置、サーバルーム設置、ハウジング)とクラウド(IaaS/ホスティング、PaaS、FaaS(サーバレス/マイクロサービス))およびSaaSへとどのように推移したか?を以前から現状、現状から今後のそれぞれで分析し、クラウド移行の加速状況やオンプレ回帰の動向などを明らかにしている
第2章: 導入済み/導入予定のサーバOSとベンダ/サービス事業者
オンプレミスとクラウドの双方に渡る導入済み/導入予定のサーバOSおよびサーバのベンダ(オンプレミスの場合)/サービス事業者(クラウドの場合)を集計/分析している。
第3章: サーバ環境における現状の課題と今後の方針
サーバの管理/運用などにおいてユーザ企業が現状で抱える課題および今後の方針を集計/分析している。
第4章: ハイブリッドクラウドの動向
ハイブリッドクラウドの適用状況を「未適用&検討」「未適用&計画」「未適用&停滞」「適用済み&拡大」「適用済み&維持」「適用済み&縮小」「適用済み&廃止」などの多様な選択肢によって尋ね、さらに用途についても確認することでハイブリッドクラウド導入の障壁は何か?更なる拡大を図るためにIT企業が取り組むべきことは何か?を分析している。
第5章: HCI(ハイバーコンバージドインフラ)の動向
HCIの導入状況を「未導入&検討」「未導入&予定」「未導入&停滞」「導入済み&拡大」「導入済み&維持」「導入済み&縮小」「導入あり&廃止」などの多様な選択肢によって尋ね、HCI導入の障壁は何か?を明らかにすると共に導入済み/導入予定のベンダ社数シェアを集計/分析している。
第6章: ストレージの動向
オンプレミス/クラウド双方の業務システムにおける導入済み/導入予定のストレージ形態とその課題を集計/分析している。
第7章: エンドポイント環境のOSとベンダ
PCやスマートデバイスで利用するエンドポイント環境における導入済み/導入予定のOSおよびベンダの社数シェア(オンプレミス/クラウドのVDIや1to1リモートデスクトップ、データレスPC、データ分散PCなども含む)を集計/分析している。
第8章: Windows 11導入の動向と対策
Windows 11の導入状況を確認した上で、Windows 11への移行が進まない要因は何か?IT企業が取るべき施策は何か?を分析している。
【発刊日】 2024年4月初旬予定 【価格】 225,000円(税別)
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