○開発中のロボットは鉄道線路上を自律走行し、カメラや各種センサーで線路やその周辺の映像・データを自動で取得します。取得データは機体内に保存するとともに事務所内などの離れた場所にいる係員にリアルタイムで送信します。AIが支障物の検知を補助し、列車の運行に支障を及ぼす異常の有無を係員が最終的に判断します。これにより、安全安定輸送のさらなる向上と、鉄道インフラの維持管理の安全性向上と省人化を実現します。
○ロボットの開発は2024年4月より着手しており、2026年10月末までに実用化に向けた機体製作を行い、11月以降に実際の線路での走行試験を予定しています。
1.背景・目的
これまで鉄道の安全安定輸送の確保のため、多くの労力をかけて維持管理業務を行ってきました。特に、大雨や地震の発生時は、係員が線路沿線を徒歩などで巡回し路盤の崩壊や線路内への土砂流入など、列車の運行に支障を及ぼす事象が発生していないか目視で確認しています。こうした作業には二次被害のおそれがあるほか、近年では熊の出没増加による係員の安全確保も課題となっています。JR東日本では、こうした状況に対応するため、「事務所内などの離れた場所にいながらできる」点検手法の確立に向けてロボットなどの遠隔操作、制御に関する研究開発に取り組んでいます。
ロボット×AIで目指すインフラ維持管理の将来像のイメージ ※写真は開発中のものであり、実用化時には変更になる場合があります。
【点検作業の比較】
2.開発概要
2024年4月より株式会社Preferred(プリファード) Robotics(ロボティクス)※との開発を開始し、概念実証(PoC(ピーオーシー):試験的な検証)を2段階にわたって実施し、八高線など計6線区で実証実験を行ってきました。今回開発しているロボットは、鉄道の線路上を自律走行し、搭載したカメラ・各種センサー(LiDAR(ライダー):レーザーで周囲との距離を測るセンサー、GNSS(ジーエヌエスエス):衛星を利用して位置を把握する仕組み)から得られる情報をもとに安全に走行します(線路内自律走行)。走行中に取得した映像や各種データは機体内に保存するとともにリアルタイムで係員へ送信されます。AIは線路周辺の支障物の検知を補助し、列車の運行に支障を及ぼす異常の有無は、事務所内などの離れた場所にいる係員が最終的に判断します。
※株式会社Preferred Roboticsは、深層学習技術に強みを持つ株式会社Preferred(プリファード) Networks(ネットワークス)のグループ企業で、ロボティクス分野の研究開発・事業展開を行っています。
プロトタイプ機体の外観
基本仕様
実証実験における支障物の検知状況
左上写真:障害物検知試験の状況
左下写真:ロボット搭載カメラの映像
右画面:ロボット搭載LiDARの取得データ。進路上にある物体を支障物(赤色表示)として認識
3.今後の予定
2026年10月末までに実用化に向けた機体製作を行い、11月以降、在来線を中心に様々な路線で走行試験を行う予定です。
今後、大雨や地震の発生時の点検においてロボットを活用することで、係員が危険な区域へ立ち入ることなく、事務所内などの離れた場所から点検作業を行うことや、熊などの野生動物に遭遇するおそれのある徒歩などによる作業からの解放により、働く環境の改革を実現します。
将来的には、取得した映像や3D点群データの設備管理への活用や、ドローンの発着機能の付加による線路周辺のより詳細な状況把握など、ロボティクスとAI技術を活用して鉄道インフラにおける維持管理業務の高度化を目指していきます。
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