【System Center Orchestrator】
タスク連携とITプロセスの自動化/標準化で運用コスト削減とサービス品質を向上させる
System Center Orchestrator(以下、Orchestrator)は、これまでシステム管理者が手動で行ってきた各種の管理作業を自動化するためのコンポーネントである。Orchestratorでは、ITプロセスを自動化する「Runbook Automation」という考え方に基づき、監視アラート発生時の対応や申請ベースでの仮想マシンの作成など、定型的な業務として実行するようなITプロセスを自動実行する役割を持つ。
ITプロセスの自動化と言えば、これまではVBScriptなどのスクリプティング言語を駆使する、一部のシステム管理者だけが行えるような作業だった。しかし、OrchestratorではGUIからアイコン化したプロセス(活動)を並べるだけで、並べた順番に従ってITプロセスを自動実行するため、スクリプティング言語の知識は不要である。
Orchestratorで実行可能なプロセスは「統合パック」と呼ばれるコンポーネントにより拡張することが可能であり、「HP Service Manager」の活動や「VMware vSphere」の活動など、マイクロソフト製品以外の活動も定義することができる。
System Center Data Protection Manager
ディスク&テープベースのバックアップ/復元でコストパフォーマンスに優れたデータ保護を実現
企業ITシステムにおいて、バックアップと言えば運用管理には欠かせない管理項目の1つである。System Center Data Protection Manager(以下、SCDPM)は、ディスクやテープに対して、Windows環境(OS、アプリケーション、データ)のバックアップ/復元を容易に実現するためのコンポーネントである。
クラウドへのバックアップ/復元にも対応しているので、安価にオフサイトバックアップを実現できる。コスト的な問題から満足なBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定できなかった組織においても、SCDPMとともに現実的な選択肢を手にすることが可能となる。
ここまで紹介してきたように、System Center 2012はオンプレミス/クラウド、Windowsと異種混在環境、クライアント/サーバを意識することなく、ITシステム全体のシームレスで、一元的な管理を実現するシステム運用管理スイート製品である。
企業ITにおいて、「運用管理」は目に見えにくいさまざまなコストが発生するものである。System Center 2012では、煩雑になりやすい管理作業の「見える化」を実現するとともに、だれにでも扱いやすいツールによってヒューマンエラーの削減や作業の簡略化につなげることで、結果的により少ない人員とコストで効果的な運用管理が実践できるようになる。このことは冒頭に取り上げた専任のシステム管理者を配置することが、難しい企業や組織にとっては大きなメリットをもたらすだろう。