小平浪平

1874年（明治7年）生まれ。 小平浪平は栃木県に生まれた。 第一高等中学校から東京帝大電気工学科へと進学したが、学業にはあまり熱心ではなかったという。 のちに小坂鉱山に入り、発電所の建設に携わる。 そこで発電所や水路、変電所などの設計や建設に従事するうちに、発電所建設の魅力にとりつかれる。 止滝発電所の完成を見た翌年には小坂鉱山を辞め、広島水力電気に就職して発電機の研究に専念するようになった。 時は、東京電灯が山梨県に日本最大級の発電所を建設しようと計画していたさなかである。 小平浪平は広島での勤務を経て、東京電灯に送電主任としての入社を果たした。 しかし東京電灯の建築計画では、あらゆる機器が外国製品だった。 発電機はドイツのジーメンス社、変圧器は米国のゼネラル・エレクトリック（GE）社、水車はスイスのエッシャウイス社だった。 それを設置することさえ、外人の技師に指導を仰ぐ義務があった。 小平浪平は嘆息し、日本の技術発展に寄与する志しを固めた。 （遺品となった彼の日記に、「我国の工業振るわざれば、之を振るわしむるは吾人の任務なり」とある。 ） のち、所縁あって浪平は日立鉱山に赴任した。 工作課長として勇んで難事をこなし、自ら機器の製作にも取り組むうち、自身を得た小平浪平は、独立を決意して久原鉱業所日立鉱山付属の修理工場を発足する。 これが日立製作所の誕生となる。 そこで小平浪平は国産発となる5馬力の電動機の制作、10000馬力の水車の完成など、次々と躍進的な技術を実現させていった。 1920年（大正9年）、日立製作所は株式会社化して独立した。 1924年には国産発となる電気機関車を完成させ、翌年には30台の扇風機が米国に輸出された。 1927（昭和2年）には電気冷蔵庫の開発にも成功した。 小平浪平は1951に、この世を去る。 日立製作所は現在、ITやバイオテクノロジー、ナノテクノロジーなどの最先端技術をはじめとして、物流からサービスなど、あらゆる事業に携わり、国内外に巨大なグループ会社を擁する、一大コンツェルンに発展している。