ShowNet連動デモで「AX8600R」の高い安定性をアピール
ブース内で最も大きく扱われていたのは、100ギガビット イーサネットに対応するハイエンドルータ「AX8600R」だ。ブースでは10Uサイズの「AX8616R」を稼働状態で展示。ShowNet連動デモを行っていた。
デモ構成は、ShowNetと100G回線で接続した「AX8616R」で約120Gbpsのトラフィック送受信を行うというもの。ShowNetからは約100Gbpsのトラフィックを定期的に受け、ShowNetへは東陽テクニカのSpirent TestCenterで約20Gbpsのトラフィックを定期的に投げる構成だ。この状態でのAX8616Rの稼動状態(トラフィック流量・ラインカードの消費電力・学習経路数)を、東陽テクニカのiTestを用いてグラフ表示していた。

トラフィック流量グラフの動きは直線に近い状態で、わずかに上下するのみ。大容量の通信が行われている実感がないほど安定しており、「AX8600R」の処理能力の高さ、安定性の高さを十分にアピールしていた。
またラインカードの電力消費量のグラフ表示は、これだけのトラフィックを中継した状態でも約260Wの消費電力で安定していた。Gbpsあたり換算にすると約2.2W/Gbpsの消費電力であるが、これは業界トップクラスの省電力性能になるということだ。
また、ShowNetのバックボーンで稼動中のAX8616Rで学習しているIPv4/IPv6フルルート経路数も安定したグラフ表示になっており、AX8616Rのバックボーンでの安定動作をアピールしていた。
このデモンストレーションは、ShowNet NOCチームから「100GバックボーンであるShowNetを上手に活用し、AX8600Rの信頼性とその自信をアピールできていること」を評価され、Best of Show Award (ShowNet連携デモ)特別賞を受賞している。
速度と拡張性を両立させるハイブリッドエンジンアーキテクチャ
ブース内では「AX8600R」のハイブリッドエンジンアーキテクチャについても展示が行われていた。
ASICは高速転送ができるが拡張性に乏しく、NPは拡張性を持つが転送速度がASICには及ばないという課題に対して、その双方を搭載しASICで両者を連係動作させることで高速転送と拡張性を併せ持つことを可能にしたのがハイブリッドエンジンアーキテクチャだ。
ブースでは実際に10G回線×10本でIPv4/v6パケットを双方向ワイヤレートでカプセル化処理する「AX8616R」を展示。入力された約95GbpsのIPv4/v6パケットに対して、そのうちの約3割をNP入りインタフェースカードでIPinIP, MPLS, MACinMACでカプセル化し、約100Gbpsトラフィックとして出力していた(5Gbpsはカプセル化に伴う増分)。同時に逆方向の100Gbpsトラフィックのデカプセル化処理も行い、双方向で約200Gbpsのワイヤレート中継を実現していた。
受けたデータをトンネリングし、パケット化したデータを転送する様子がグラフとともに、わかりやすいスピードメーターでも表現されており、「AX8616R」が安定稼働していること、多彩なパケット処理を並行して行っても処理性能が劣化しないことをアピール。さらに、ブース内にはNPを搭載したラインカードであるSMCとPE-NIFの基板も展示。
この動展示は、性能を犠牲にすることなくL2からL4以上までの処理の拡張性を担保可能なアーキテクチャの完成度の高さを動展示でアピールしたことを評価され、Best of Show Awardのキャリア/SP ネットワーキング部門において特別賞を受賞した。

多彩なトラフィックを性能劣化なく処理する「AX8600R」

高速通信の様子を示すデモンストレーション画面

「AX8600R」に搭載されるSMCとPE-NIF
ボックス型とシャーシ型の隙間を埋めるクロスオーバー型スイッチ「AX4600S」
今後リリース予定の新製品も展示されていた。特に大きく展示されていたのは、クロスオーバー型スイッチ「AX4600S」だ。Best of Show Awardのエンタープライズ ネットワーキング部門で特別賞を受賞した製品で、ボックス型スイッチとシャーシ型スイッチが融合した新プラットフォームとなっている。
「AX4600S」はボックス型とシャーシ型、それぞれが有するメリットの両立を目指した製品だ。ボックス型スイッチが低価格で省スペースであるというメリットを持ちながら、ポートが固定式で柔軟性がないという課題を抱えているのに対して、シャーシ型スイッチは柔軟性を持っており高性能かつ高信頼であるが、高価でサイズが大きいという課題を抱えている。「AX4600S」ではこれらの課題を解決し、ハイパフォーマンスであり柔軟性を確保しながら、サイズはコンパクトな2Uの製品となっている。

「AX4600S」はモックアップが展示されていた
2Uの筺体に搭載できるインターフェースモジュールとして、1G(UTP)×24ポート、1G(SFP)×24ポート、1G/10G(SFP/SFP+)×24ポート、40G(QSFP+)×6ポートの4種のボードが用意される予定だ。ユーザーはこの中から必要なものを選択することで、自社の要求に最適なスイッチとすることができる。
CPUなどはマザーボードに直づけにすることでコスト削減を図っている部分はボックス型に近い。そのため、2台の装置を論理的に1台の装置として扱うことで装置間冗長を実現する、Virtual Redundant System(VRS)に対応した。装置単体での最大スイッチング容量も2.24Tbpsと大きく、企業や大学等のコアに利用できるものだという。
価格的にもボックス型とシャーシ型の間に位置する製品で、ちょうどよいものがないと感じていた企業の声に応える製品だ。リリース予定は2013年度終盤となっている。
企業の課題解決に取り組むルータ&スイッチの展示
「AX8600R」については、2つの展示を通して大容量のデータ転送を非常に安定した状態で行えること、基本的な転送を高速なASICで処理し、拡張部分のみをNPで対応することで将来的な拡張にしっかりと対応できることがアピールされていた。トラフィックが爆発的に増加する今求められている、ハイエンドルータの実力が目の当たりにできる展示だ。
クロスオーバー型スイッチ「AX4600S」についても、当日はモックアップのみの展示ながら機能的にも価格的にも、ボックス型では物足りないがシャーシ型には手が出ない、という企業の声にしっかり応えるものが用意されていることをアピールしていた。
現在の企業がネットワークに求める大容量対応、高速かつ安定した転送、高い信頼性、将来に向けた柔軟性という課題に正面から取り組み、きちんと解決策を提示する展示になっていたのが印象的だ。
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