CA Technologies(CA)は10月17日に、富士通との協力関係を強化することを発表。富士通が運営するクラウドサービス「FGCP/A5 Powered by Windows Azure(FGCP/A5)」と、CAのイメージバックアップ製品「CA ARCserve D2D r16(ARCserve)」を連携したクラウド対応バックアップソリューションの提供を開始した。
FGCP/A5とARCserveを連携することで、オンプレミス環境にバックアップされたバックアップイメージをインターネット経由(HTTPS)でクラウド環境に保管することが可能。両社の取り組みについて、米CAのデータマネジメント事業部 SVP & ジェネラル・マネージャ、Michael Crest氏に聞いた。
富士通との16年間の協力関係を発展
米CA technologies
データマネジメント事業部
SVP&ジェネラル・マネージャ
マイク・クレスト氏
CAと富士通の協業についてCrest氏は、次のように語る。「CAと富士通には16年間の協力関係があり、FGCP/A5とARCserveの連携は、これをさらに発展するものです。ARCserveは、富士通のFGCP/A5にとって初めてのクラウド向けバックアップソリューションであり、これによりハイブリッド型のデータプロテクションに変革を起こします」
ARCserveD2Dは、中小規模のコンピューティング環境向けのデータ保護ソリューション。「簡単」な操作と「手頃」なコストで、ディスク・トゥ・ディスク(D2D)のデータ保護を実現する。最大の特長は、システム全体を丸ごとディスクにバックアップして、丸ごとリストアできること。このとき異なるサーバへの復旧(ベアメタル復旧)にも対応する。
ARCserveの強みをCrest氏は、「幅広いソリューションに対応できることです。競合の多くは、仮想化やクラウドのバックアップ、従来型のテープ、イメージベースのソリューションなど、断片的にしか提供していません。ARCserveは、すべての機能を包含しており、それぞれの分野で非常に高いベンチマーク結果を出しています」と語る。
また将来を見据えたソリューションを提供できることも強みのひとつ。Crest氏は、「ARCserveはオンプレミスとクラウドの両方に対応しています。これは非常にオープンで拡張性に富んだ機能で、将来に向けた投資も保護します。また富士通のような信頼性の高いパートナーと協業できることも強みです」と話す。
一方、FGCP/A5は、富士通が展開するクラウド型のプラットフォームサービス。Microsoftの「Windows Azure Platform」をベースに、導入、アプリ移行、構築、運用、サポートまで、企業のクラウド活用をワンストップで支援する。最大の特長は、国内データセンターだからこそ提供できる信頼性と安心感である。
FGCP/A5とARCserveを組み合わせるメリットをCrest氏は、「運用管理の簡素化とTCO(総保有コスト)の削減、そしてハイブリッド型のデータ保護の3つです」と言う。まず運用管理の簡素化では、スケジュール設定によりシンプルなバックアップ作業が可能。同時にベアメタル復旧により、フルデータやシステムのリストアを簡素化する。
またTCOの削減では、最初にフルバックアップを行い、その後は継続的なインクリメンタルバックアップを行うことでストレージ容量を最大93%削減することが可能。さらにオンプレミス環境、仮想環境、クラウド環境におけるハイブリッド型のデータ保護を容易に実現することができる。
CAと富士通、2つのブランドで顧客に価値を提供
米国においてCAは、Microsoftとのパートナーシップにより、Windows AzureとARCserveを組み合わせたバックアップソリューションを展開している。Crest氏は、「今回、同じモデルで富士通とバックアップソリューションを提供しています。こうした取り組みにより、お客様がクラウドを導入する場合の選択肢を広げていきます」と話す。
日本のクラウド市場についてCrest氏は、次のように語る。「日本はクラウドの導入段階としては初期にあたります。しかし日本でもパートナーエコシステムを経由してさまざまな取り組みを推進しているので、信頼を得ることができれば、クラウドの導入はより加速すると思います。今回の富士通との取り組みもその一環です」
富士通をパートナーに選んだ理由をCrest氏は、「ARCserveにとって日本市場は非常に重要であり、品質の高いソリューションを提供するためには、慎重にパートナーを選ぶ必要がありました。富士通は非常に信頼性の高いブランドであり、また高品質なソリューションを提供してきた実績もあります」と話す。
こうした理由から、自然の流れで富士通との連携を進めた。Crest氏はまた、「富士通は革新的なテクノロジーを率先して採用する企業であり、お互いの足りないところを補完できるのがCAと富士通です。CAと富士通という2つの強力なブランドを組み合わせることで、お客様に非常に高い価値と安心感を提供できます」と言う。
「お客様はクラウド環境を有効に活用することで、データをセキュアに保ちたいと思っています。しかしクラウド環境には、さまざまなアクセス方法があり、信頼できるソリューションが必要です。このニーズは、世界のどの地域においても同じです。こうした課題に対する解決策をCAと富士通で提供しようと考えています」(Crest氏)
たとえば、クラウド上でバックアップ機能を提供しているサービスプロバイダーは多いが「問題はむしろリカバリにある」とCrest氏は言う。一般的なリカバリでは、まず物理サーバを用意して、OSやミドルウェア、アプリケーションをセットアップし、その後バックアップデータをリカバリしなければならない。
これではリカバリに半日から1日程度と、非常に時間がかかってしまう。ARCserveでは、ベアメタル復旧が可能であり、非常に短時間でシステム全体をリカバリすることができる。またオンプレミス環境でバックアップを行い、そのバックアップデータをクラウド上に転送することで、ディザスタリカバリ(DR)環境を容易に実現することもできる。
継続的に高品質なソリューションを提供
今後の富士通とのパートナーシップのポイントをCrest氏は、「富士通のクラウドとARCserveがシームレスに統合できることが重要でしたが、すでにWindows Azureとの連携を実現していたこともあり、迅速に実現できると確信していました。ただし日本においては、高品質なソリューションを継続して提供していくことが重要です」と話す。
さらに富士通のビジネスにあわせてソリューションを拡大していくことも重要。Crest氏は、「お客様だけでなく富士通にも価値を提供することが必要です。富士通のお客様に高品質でシンプルな、ニーズにあわせて拡張可能な製品を提供していくために、協調性の高いパートナーとして、より一層高品質な仕事をしていきたいと思います」と話している。