経営層が理解すべきデータ活用の本質--賢い組織に変わるには?

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2022-02-02 11:00

[PR]デジタルトランスフォーメーション(DX)を成功に導くためには、データ活用が不可欠であり、データを基に意思決定を行うデータドリブン経営を実現している企業こそが、DX企業の条件です。この「データ活用」の本質は何でしょうか。

デジタルトランスフォーメーション(DX)を成功に導くためには、データ活用が不可欠であり、データを基に意思決定を行うデータドリブン経営を実現している企業こそが、DX企業の条件です。この「データ活用」の本質は何でしょうか。ZDNet Japanが開催した「ZDNet Japan Summit 2021」のセッション『会社を賢くする--経営層が理解すべき「データ活用」の本質』で、digil 代表取締役社長の田口慶二氏とドーモ プレジデント ジャパンカントリーマネージャーの川崎友和氏がその真理を解き、人材の育成や文化の醸成を行っていく上での勘所を議論しました。

オープンハウスのデータ革命、不動産業界に吹いた新しい風

 田口氏のデータ活用の取り組みは、米国企業でRFIDを活用したトレーサビリティのコンサルティングを経験した時から始まりました。当時の日本では狂牛病問題が広まっており、どのように安全な食品を届ければよいかという課題をデータで解決しようと試みたのです。その後もさまざまなデータ活用シーンで活躍し、SPA(製造小売)モデルをベースとしてデマンドチェーンとサプライチェーンを統合する基盤を作りました。

株式会社digil
代表取締役社長
田口慶二氏
株式会社digil
代表取締役社長
田口慶二氏

 一般的にデータ活用は、データを可視化することから始めます。田口氏は、2014年にオープンハウスに入社し、ビジネスの成長イメージを具現化するために、ITすなわちデータを活用して売上を向上する取り組みが欠かせないと経営陣を説得しました。同氏は当初からデータを活用することを中核に、他のIT施策と合わせた5か年戦略を立案しました。

 「最初はデータが散在し、基幹システムも稼働しています。これらをいかに社員全員で活用していけばよいかという点が課題でした。この実現を推進する中で、私たちはDomoに出会ったのです」(田口氏)

 不動産業におけるSPAモデルは、土地を購入して家を建て、販売・宣伝するというビジネスモデルを指します。田口氏は、土地の購入と家の建設というサプライチェーンのデータと、家の販売や広告というデマンドチェーンのデータが連携してSPAモデルを実現するために、Domoを活用しました。田口氏によれば、このデータ連携によって3つのメリットを得られるようになりました。

 1つは、土地を購入した瞬間に、いつ家が建ち、いつ・いくらで売れるかがわかるようになること。2つ目は、消費者の潜在ニーズを把握し、どのような土地がどのような場所に必要かが分かるようになりました。結果として、迅速な商品企画・設計が可能となったのです。3つ目はビジネスのボトルネックが可視化されたことです。商品の回転サイクルが短縮し、全体最適が実施されていったのです。

 「一般的な組織では、隣の部門の情報は知り得ても、その先にある情報は把握しづらいものです。それが分かるようになり、ビジネスのどこにムダが発生しているのか、他の事業部からも把握できるようになりました。こうしてオープンハウスは、当初の売上目標を達成し、2021年以降の成長も見込んでいます。Domoによってサプライチェーンデータとデマンドチェーンデータをすぐに連携できたからこそ、ビジネスを加速させることができました」(田口氏)

「データを活用したい!」という経営トップの想いが成否につながる

 川崎氏は、2000年頃からインターネットに注目し、日本で「SEM(Search Engine Management)」の先駆けとしてそのキャリアをスタートしました。当時はインターネット広告がまだ新しく、効果測定手法も浸透していません。そこでWeb解析ソリューションを活用してROIを明確にすることの普及に取り組んだのです。その経験から川崎氏は、デジタルのデータだけではビジネスにおいて不十分と考え、ビジネスインテリジェンス(BI)を実践するドーモ社に参画しました。

ドーモ株式会社
プレジデント ジャパンカントリーマネージャー
川崎友和氏
ドーモ株式会社
プレジデント ジャパンカントリーマネージャー
川崎友和氏

 川崎氏は、データ活用で成功する企業のポイントに、「データを活用しようとする強い想いを持っている、あるいはデータを活用できていないことに課題感を抱いているエグゼクティブが在籍しているかどうかが重要です。オープンハウスでは、田口氏をはじめとして課題を感じており、データをつないだ先の世界を見すえていたことが、プロジェクト成功の秘訣だったのではないでしょうか」と述べています。

 日本企業はボトムアップ型の組織文化とされますが、データ活用のような新しい取り組みを実践するには、強いトップダウンが必要というのが川崎氏の見解です

 川崎氏は、田口氏と共に取り組んだオープンハウスでの部門間連携の経験を高く評価しています。局所的なデータを捉えていても、それらがつながらない限り、ビジネス全体を正しく把握することは困難であり、データを基にした改善のための取り組みも局所的なものにとどまってしまうためです。

リアルタイムにデータを開示し、経営にも現場にもメリット

 田口氏がオープンハウスに参画した当時は、「不動産テック」のような言葉すら無かったのですが、既にデータを横串で活用することの重要性は確信していたと言います。小売業界で実現していたデータ活用が「家」という商品のビジネスにも当てはまると考えていました。

 「私が重視したのはリアルタイム性でした。これが特に効果を発揮したのは、報告時間の激減です。現場から社長まで同じデータをリアルタイムに見ているので、状況が手に取るように分かります。数字を見てうまく行っていないなら、自ら判断して動くという組織文化が醸成されていきました。これはDomoを導入した大きな効果の1つだと思います」(田口氏)

 一般的な組織では、経営層やマネジメント層ほど広範なビジネスデータを見る権限があり、一方で現場には個人あるいは部門内という狭い範囲のデータしか見ることができません。川崎氏は、このような状況では、現場ほど目先のことにしか興味や関心を持てなくなると指摘します。

 田口氏がかつて取り組んだように、部門間のデータを統合して別の部門からも情報を得られるようにする“データのオープン化”は、組織全体としてのビジネスへの興味を引き出し、各人が自らアクションを起こしていける能動的な組織文化を生み出します。

 「知的好奇心や興味を現場も持ち始めると、経営者が想像する以上のスピードでビジネスが動くようになるものです。そのために成すべきことはたった一つ。ビジネスデータを解放することだけです。特に意識の高い社員は、より能動的なアクションを起こしてくれます」(川崎氏)

 データのオープン化は、経営層にも大きなメリットがあります。経営者は、部門ごとに報告を受けることが多いですが、そうすると部門独自のROIとなりがちで、経営者にすればビジネスや組織全体へのインパクトが瞬時に分かりません。経営者は、机に並べられた、たくさんの“よくわからないレポート”を見比べて、勘や経験を頼りに経営判断をせざるを得ないのです。しかしデータがオープンで統合されれば、それぞれの施策がビジネス全体の視点では、どのようなインパクトを与えているのかを全員が把握でき、経営者も的確な意思決定を迅速に下せるようになります。

データの開示には逆風も。事前に備えて新しいステップへ

 全社的なデータのオープン化と活用を実現するには、それを実現できる組織文化の醸成が欠かせません。他部門に情報を開示することをためらったり、データをどう見ればよいのか分からないといった、これまで状況のままではいけません。

 田口氏は、オープンハウスでの取り組みにおいて、走りながら組織を構築することを重視したと言います。文化はそう簡単に変わるものではなく、さまざまな考え方もあります。またありがちなのは、都合の悪いデータを隠しておきたい、という意識が働く問題です。そうした可能性を事前に各部門長へ伝えておかなければ、データ活用を実践する組織文化へ変革する過程で、急激な反発が起きる可能性があります。

 「どうしても、上司に怒られたくない、評価を下げたくないと思う従業員はいるもので、つい忖度をしてしまいかねません。数字が見えるようになると、“魔女狩り”が始まってしまうかもしれません。しかし、それらも真摯に受け入れないと、事実に基づいた正しい改善は成されません。私はそういう逆風に備えて、事前に『膿は出るものだ』と説きました。各部門長がその真意を理解し、文化や価値観を変えることを受け入れてくれたのです。データをオープンにして事実を正しく理解し、新しいステップに踏み出す方が良いのです」(田口氏)

 また川崎氏は、IT部門とビジネス部門の軋轢についても注意すべき点と指摘します。特にコロナ禍でテレワークが広まっている状況では、IT部門はセキュリティの視点からデータを開示したくないと反発しがちです。一方でビジネス部門は、どんな環境でも対応していくためにデータを利活用したいと要求します。このせめぎ合いは、あらゆる組織で起こり得る問題です。

 この点について田口氏は、セキュリティを適切に理解し、どのデータを誰に開示すべきかを正しく把握していれば、恐れることは必要ないとアドバイスします。

 「IT部門は不測の事態を心配して、『よく分からないから全て見せない』という方向に振れる傾向があります。セキュリティを適切に理解していれば、ビジネス部門に歩み寄れるでしょう。例えば、企業にはさまざまな機密性の高いデータがありますが、必ず守るべき部分を守り、その上でデータを活用してパーソナライズによる優れた顧客体験を提供するビジネスができなければ、時代に乗り遅れてしまいます」(田口氏)

誰でも使える「Modern BI」、データネイティブな企業への進化

 BIはデータを賢く活用してビジネスを拡張するための仕組みです。その歴史は長いのですが、いわゆるトラディショナルなBIは専門性が高く、学術的にレベルの高い分析を行って、ごく一部の人が利用するものでした。

 今必要なものは、全社員がデータへのタッチポイントを持ち、リアルタイムにデータから気づきを得られる取り組みです。レポート結果に基づく意思決定では遅く、経営層やマネジメント層しかデータを見られないという状況も問題です。データからこれから起きることの兆しをリアルタイムに得て、すぐにアクションを起こせる仕組みが必要なのです。

 「Domoが『Modern BI』を推奨するのは、データを民主化すること、つまり全員経営の実現です。データを共有すると社員が賢くなり、ビジネスが加速します。DomoのModern BIで、いつでも誰でもどこでも、より良いデータ活用体験を広めていきたいです」(川崎氏)

 ビジネスの意志決定を行うのは、当然ながらビジネス部門です。「彼らが自ら使えないような技術では、宝の持ち腐れになってしまいます。データ活用には、高度な分析をするデータサイエンティストが必要な一方で、社内にデータ活用を浸透させる専任のポジションも必要です」(川崎氏)

 そしてドーモは、データを活用できる人材を育てていく「Domo for Good:未来のBI Leaderを育てよう」というプロジェクトを推進しています。2021年10月に神奈川県茅ヶ崎市のアレセイア高等学校で特別授業を実施するなど、具体的な活動を開始しました。あらゆる企業がDXを推進する中、人材不足が深刻な課題となっていますので、川崎氏は、この取り組みを通じて、将来の日本企業を支える人材が育つことを期待しています。

 「今の中高生は、生まれた時からITに囲まれ、SNSを使いこなし、自然とデータに触れています。知らず知らずにデータを使い、データがアクションの起点になっているのです。今後はデータを利用することに加え、データの信憑性や信頼性を判断する能力も必要になるでしょう。もちろん今の若い世代に期待していますし、今後のDX人材の不足を十分に補ってくれると考えています」(川崎氏)

 これから世代は、デジタルネイティブからデータネイティブに変化していくかもしれません。それゆえに、企業もデータネイティブな組織になる必要があります。川崎氏と田口氏は、まさに今からデータ活用へと真摯に取り組み、組織や体制を整えていくことが重要であると述べています。

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