技術に向き合い、社内外でのコラボレーションを活発化させよ----デジタル・トランスフォーメーション成功の秘訣

ZDNet Japan Ad Special 2019年02月28日 11時00分

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[PR]エンジニアリングR&Dサービスを中心に事業を展開するHCLが、10月に東京で「HCL CTO Straight Talk2018」を開催。今回は、同イベントで開かれたパネルディスカッションの内容を紹介する。

エンジニアリングR&Dサービスを中心にグローバルで事業を展開するHCLが、10月に東京で「HCL CTO Straight Talk2018」を開催した。イベントのメインテーマは「エッジ・コンピューティング」。今回は、同イベントで開かれたパネルディスカッションの内容を紹介する。ディスカッションのタイトルは「デジタル・トランスフォーメーションの真価 ~ エッジ・コンピューティングが日本企業にもたらす“チャンス”を考察する」で、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を日本企業がどのようにして実現させていくかについて、熱い議論が展開された。

パネリスト
ONE+NATIONDigital&Media Inc. 代表取締役 CEO / Producer
松永 エリック・匡史氏
ONE+NATION Digital&Media Inc.
代表取締役 CEO / Producer
松永 エリック・匡史氏
ルネサス エレクトロニクス株式会社 インダストリアルソリューション事業本部事業計画統括部 シニアダイレクター
馬場 光男氏
ルネサス エレクトロニクス株式会社
インダストリアルソリューション事業本部事業計画統括部
シニアダイレクター 馬場 光男氏
HCLテクノロジーズ Sukamal Banerjee氏
HCLテクノロジーズ
Sukamal Banerjee氏
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 IoTソリューション事業部 製品1部 統括部長 仲野 研一氏
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
IoTソリューション事業部 製品1部
統括部長 仲野 研一氏
モデレーター
ZDNet Japan 編集長 國谷 武史
ZDNet Japan 編集長
國谷 武史

「DX」をどのように考えるか

國谷デジタル・トランスフォーメーション(DX)というワードについては、ZDNetでも関連の記事が盛んに掲載されています。それだけ、多くの関心を集めているということなのですが、「バズワード」としてとらえている人も少なくありません。松永さんは、この言葉の定義について、どう考えていますか。

松永「ムーンショット」という言葉がありますね。これは、「とても困難だけど、もし実現すれば世の中に大きなインパクトを与える計画や挑戦、目標」という意味です。DXは、このムーンショットを実現してしまう、多くの人が「そんなことできっこない」と考えることを実現するイノベーションだと思います。

國谷確かに、Uberなどはタクシー業界に大きなインパクトを与えましたね。松永さんは、日本企業のコンサルティングをなさっていて、トップの方ともDXについて話すことも多いと思うのですが。

松永はい。日本企業のCEOの方々の中には、DXというとまず「テクノロジー」を思い浮かべてしまう人がかなりいます。もちろんテクノロジーは重要なのですが、FacebookやUberのことをイメージしてもらえば、ビジネスアイデアを実現するのに、テクノロジーをどう使うのか、実現したいビジネスモデルをテクノロジーでどう実現していくのか、ということを考えるべきなんですね。考える順番を変えていけばよいのです。わたしは、常々、CEOの方々には「いまやっているビジネスがずっと継続できると考えないようにしましょう」と言って、DXに関するディスカッションをしています。

國谷Sukamalさん、グローバルではDXはどうとらえられていて、どんな取り組みがされているのでしょう。

Sukamalすでにさまざまな取り組みがされていますが、松永さんの話を受けて説明すると、例えば、医療機器の分野で診断機器を製造していた会社が、診断そのものを行い、データを提供するビジネスを始めたというケースがあります。また、航空機を製造している会社が、カメラからの映像データを使って、乗客の感情を分析し、さまざまなビジネスに活用できないか、という取り組みを行っています。こうした新しいビジネスの創造を積極的に行っている企業が数多くあります。

國谷なるほど、そう考えると、今あるビジネスをよりよくしていこう、新しい価値を創造していこうという取り組みが、DXの成功につながっていくということですね。では、技術の現場から、デジタル変革やDXというものをどうとらえているのか、馬場さんと仲野さんいかがでしょうか。

ビジネスサイドこそ、もっと技術と向き合ってほしい

馬場わたしの所属しているルネサス エレクトロニクスという会社は、どちらかというと自動車関連の企業と思われがちですが、その中でわたしの部署では、AI技術を組み込みシステムに応用する「e-AI」というコンセプトを作り、主としてエンドポイントのOTの分野で、新しいビジネスを創出しようとしています。例えば、モーターを回すマイコンにAIを入れることで、自分で推論して、不具合を検知できるという仕組みなどですね。これは、エッジ・コンピューティングの活用例なのですが、エッジ・コンピューティングはリアルタイムでデータ活用をすることができるというのが、最大のメリットです。推論実行した結果をアクチュエーターでリアルタイムに活用することで、これまで課題となっていたことが解決するわけですね。

仲野わたしの部署では、「SPRESENSE」というコンピュータボードを開発し、7月から販売開始しています。まさにエッジ・コンピューティングに使えるデバイスで、指でつまめるくらいのコンパクトさなのですが、GPS、GNSS受信、ハイレゾ対応のオーディオコーデック、最大8chのマイク入力などの機能を持ち、CPUコアを6つ搭載していながら、低消費電力を実現しています。今、デジタル変革やDXについて、ビジネスを大きく変革するという意味で話されていました。われわれにとっても、このことは大きな課題で、「SPRESENSE」をどうビジネス変革に利用してもらうか、そうした事例をどのように作っていくかを考えているところです。ただわれわれの中で考えているだけでは、限界があるので、できるだけ多くの人に、このデバイスを使ってもらい、いいアイデアをフィードバックしてもらうということを考えています。

國谷お二人の話を聞いていると、先進的な技術や製品をどう使っていくか、そのアイデアをビジネスにどう結び付けていけるかが、DX成功のカギになるような気がします。技術サイドとビジネスサイドのコミュニケーションは重要ですね。

松永確かにそうなんですが、いまの日本企業は、どうしても縦割り的に担当を分けてしまっているところがあって、技術部門が開発した技術に対しても、IT部門の人が出てきて話を聞いてそれでおしまいになったり、営業部門の人が、あれこれ注文をつけるだけになったり、そんなことが多くなっている気がします。その製品や技術をどう生かすか、ということについては、部門の垣根を越えて「何とかこれで新しいことをやろう」というマインドが必要です。批判だけではなく、自らアイデアを出さないと。かつての日本企業は、そういうことをワイワイやって新しい事業を作り出す例がいくらでもあったはずです。「テクノロジーサイド」「ビジネスサイド」という分け方は、わたしはあまり好まないのですが、あえて言えば、「ビジネスサイドはもっと技術と向き合ってほしい」と言いたいですね。

Sukamal結局、その技術を活用して、全社的なメリットが見いだせるかどうかがポイントになるでしょう。そして、多くの部門にベネフィットがあることも重要です。われわれの知っている企業では、各部門の人たちが集まって、まず数百のアイデア出しをしていきます。それをやるのは、イノベーション担当部門が多いですね。そこから、営業やマーケティング側から、顧客が何を求めているかを積み上げていく。IoTが出てきたころ、それほどのビジネスメリットは生まれないだろうと、多くの人が考えていました。ところがいまは、センサーデータを利用してビジネスそのものを変える企業が出ています。

松永エッジ・コンピューティングというと、かつてネットワークをエッジ化するというアイデアが出ていました。でも当時は、エッジであれこれしなくても、全部データをデータセンターとかクラウドに集めればいいじゃないか、という意見が大半でした。ところが、4K、8kという高精細のデータを使って映像コンテンツを配信する企業が出てくると、ネットワークをエッジ化してインテリジェンスを持たせるということが当たり前のように話題になってきています。映像コンテンツといえば、かつては、ユーザーの視聴データというのは、マーケティングに活用するというのが常識でした。しかし、いまではそのデータを使って、コンテンツを制作するようになっています。クリエイティブな仕事は聖域ではなくなって、データを活用して制作された映像作品が大きな賞をとったりしています。このように既存技術であっても、活用のされ方は変化していて、その変化を先取りした企業が大きな利益を生んでいます。

エコシステムの構築には「まとめ役」が重要

仲野技術活用の先取りということでいうと、いま、ガスメーターのユーティリティサービスとして、スマートメーターが活用されていますね。ただ、単純にコスト面でいえば、現在のところでは、人による検針作業の方が安いはずなんですね。ただ、5年後そういう人を揃えられるの? という課題があります。だから、今から新しい技術導入を進めていくということなのだろうと思います。しかし、何年か先を見据えて導入した仕組みを、コストを負担しながら続けられるのかという問題は出てくるかもしれません。途中でへたばってしまうこともあるのではないか、そんな気もしますね。

馬場ビッグデータ分析などで結局挫折してしまったところもあると聞きます。ただ、いま現在は、人で代替できる仕事であっても、その仕事にずっと人をはりつけていることが企業として得になるのか、もっと別の仕事をしてもらった方が生産性の面で正しい選択になるのではないかという課題が出てくると思います。わたしの経験からいうと、課題が明確になっていると、たいていのことはうまく進むんですよ。そのモーターは絶対に止められない、という環境があって、トラブルを発見したり修復するのは、レベルの高いベテランエンジニアしか無理という状況があったりすると、いつまでも、そんな状況ではまずい、誰でも事前に問題解決できるようにしなければということになります。これくらい明確な課題があると、現場で何とか新しい仕組みを取り入れていくようになります。

國谷なるほど、現場の力がフル稼働という感じになるのですね。

馬場そうです。そして当初の課題は解決されるわけですが、新しい仕組みは、リアルタイムでデータを解析したり推論してくれますから、いままで見えなかったものも見えてくることがあるのです。集められたデータを分析しているだけでは分からなかったことが、リアルタイムで見ると見えてきます。そのうえで、ビッグデータの分析をして、さらに新しい課題と解決策を考えていくわけですね。こういう作業は、専門のデータアナリストでないとできないっていう人もいますが、わたしの知っている企業では、エンジニアがどんどんやっていて新しく出てきたデータを、別のことに活用してみようという取り組みも増えていますし、解決のスピードも早くなります。

國谷データアナリティクスなどによる新しいビジネスの創造、ということで話を進めてみたいのですが、日本の企業は海外に比べて、そうしたことは難しいのでしょうか。

仲野海外企業の人で、社内外でコラボレーションをしているときにコンフューズしてしまう人は少ないと思います。ただ、日本企業でもオープンに話をしたりすることができるところもありますし、一概には言えないでしょう。

松永わたしは、現在、テクノロジー側に立ってコンサルティングするという仕事しかしていないのです。DXを実現するには、社内外の垣根を越えて何が何でも成功させようという気持ちがないと無理ですから。そのためには、テクノロジー側に立つしか選択肢はないと思っています。そして、参加している組織はすべてパートナーだという意識が必要です。


Sukamal社内外で協力することはDXの成功に不可欠なものだと思います。ただ、その中で価値を生み出すエコシステムを作っていくには、技術面、ビジネス面の両方で「まとめ役」が重要になる。HCLは、この役割を担うこともあるんです。たとえば、新しいアイデアをビジネス化したとしても、それで終わりということはありません。技術の進歩に合わせて、新しいテクノロジーをさらに組み合わせてより価値を高め、技術をオーケストレーションしていくということが必要なのです。この進化のロードマップの作製も重要な仕事となります。HCLでは特定の製品や技術しか利用できないということがありません。幅広い選択肢を持てることも、当社の強みであり、「まとめ役」を担えるために重要な要素なのです。

これからの課題解決のカギとなる
「エッジ・コンピューティング」

國谷では、最後にエッジ・コンピューティングを含めたさまざまな技術活用による、DXの実践が、今後どうなっていくと思われているか、お聞かせください。

馬場今後は、さらに困難な課題を解決しなくてはいけなくなると思っています。その中で技術が「人とのインタラクション」をどうすすめていくのかが重要になるのではないでしょうか。つまり、システム空間のみではなく、人も存在するリアルな空間で技術をどう活用していくのかという課題です。例えば、セキュリティ、セーフティに関連する課題では、人の安全性を確保する上で、技術がどう貢献するのか、ということですね。その場合、どうしてもリアルタイム性が不可欠です。人の安全性の確保には、データを活用する際、リアルタイムで反応できなくてはいけないですから。そうした意味でも、エッジ・コンピューティングの進化は欠かせないものとなると思います。

仲野海外の人によく言われるのは、これほど「異常データを発見しやすい国はない」ということです。インフラも技術もしっかりしていて、それがさまざまな場所に生かされている。電車も正確にダイヤを守るし、どんな技術も国内で使える。なんでもそろっているこの国の環境を生かした技術開発、ということをもっと考えていくべきだと思います。また、「遠くの親戚よりも隣三軒」という言葉のように、もっと、社外の組織とのコラボレーションを活発化させていかなくてはいけないと思います。

松永日本企業で技術を開発している部署の多くは、他の部署に対して、しっかりプレゼンテーションしているし、コミュニケーションを内外でとろうと努力しています。わたしは、今後は、テクノロジーを持つ人がイノベーションを生む土壌をもっとしっかり作っていくべきだと思っていますし、そのお手伝いができればと考えています。そのうえで、さまざまな組織の多様な部門、階層の人たちが、みずからアイデアを出し、強力なコラボレーションを実行していけたらと思います。

SukamalDXの成功にはエコシステム、パートナーシップという発想が欠かせません。組織の内部にも外部にもエコシステムを構築していける企業が、これからのデジタル変革時代に生き残っていくはずです。そうしたDNAを持つ企業であれば、たとえ、技術系の企業でなくても、素晴らしいアイデアを具体的なビジネスに生かし、成長していくでしょう。今後はそうした企業も増えてくると思います。HCLは、そうした組織を目指すお客様の支援を積極的にすすめていきます。

國谷本日はどうもありがとうございました。

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