OKIとUNL、「東京ユビキタス計画・銀座」民間参画実験において「eおと(R)エンジン」を利用した視覚障碍者向け移動支援実験を実施

沖電気工業株式会社

From: JCN Newswire

2011-04-18 12:59

Tokyo, Apr 18, 2011 - ( JCN Newswire ) - OKIとYRPユビキタス・ネットワーキング研究所(所長:坂村健・東京大学教授 以下、UNL)は、東京都と国土交通省が主催する「東京ユビキタス計画・銀座※1」の民間参画実験において、視覚障碍者の移動を支援するための、聴覚のみを利用したユビキタスナビゲーションの有効性を検証する実験を、東京・銀座地区で2011年3月7日から3月9日に行いました。両社は、UNLが開発したコミュニケーション端末「ユビキタス・コミュニケータ※2(以下 UC)」に、OKIの音声処理技術「eおと(R)※3エンジン」の機能のひとつである、音に方向感を付与する「eおとポジショニング※4」を搭載し、2007年度より継続して実証実験を行ってきました。本年度は、「より詳細な方向感を提供することが、利便性の向上につながる」という昨年度の実験結果に基づき、バイノーラルマイク※5とカナル式イヤホン※6を組み合わされたイヤホン(以下 バイノーラルマイク付きイヤホン)を新たに採用し、その効果を検証しました。

一般的なナビゲーションは、利用者に音声情報と地図情報を提供するため、聴覚と視覚の両方を必要とします。一方、視覚障碍者は歩行に必要な情報の多くを環境音から得ていることが研究によって知られています。OKIとUNLは、両社が従来行ってきた移動支援システムが、地図などの視覚情報は使用せず、聴覚だけでナビゲーションを実現している点に着目し、視覚障碍者の方々の移動に有効な技術であると考えました。この実証のため、昨年度、視覚障碍者の方々を対象とした実験を行い、聴覚のみを利用したユビキタスナビゲーションでの有効性を検証することができました。

今年度は、この結果を踏まえ、より詳細な方向感の提供により、利用者が容易に目標の場所へ移動することを可能とする実験を行いました。本実験では、「eおとポジショニング」と今回新たに採用したバイノーラルマイク付きイヤホンを組み合わせたシステムで、実際に視覚障碍者の方に案内サービスを体験してもらいました。この結果、多方向から音声が得られるようになり、目的地の位置関係が容易にイメージできたことや、バイノーラルマイクによって外部音も聞き取ることができるようになり、利便性の向上について確認できました。

具体的には、銀座に設置された無線や赤外線方式のアクティブタグ※7による場所マーカから送信される「ucode※8」を「UC」が受信し、利用者の現在位置情報(緯度経度情報)を得ます。次に、「UC」に付属の方向センサーにより、利用者が現在向いている方向と、目的地の緯度経度情報から、現在地からみた目的地の方向を算出します。そのデータを基に「eおとポジショニング」により、「UC」に接続したバイノーラルヘッドホンを介して目的地の方向からナビゲーションが聞こえるようにガイダンス音声を再生します。

OKIとUNLは、今回の実験の検証結果を踏まえ、「ユビキタス・コミュニケータ」に「eおとエンジン」を応用したユビキタスサービス、ユビキタスインフラの製品化を通じて、ユビキタス社会の発展への貢献をめざしていきます。

【用語解説】

※1:東京ユビキタス計画・銀座
東京都が国土交通省と連携し、最先端のユビキタスID技術を活用して、まちの魅力や活力を高めると共に、移動支援システムの実用化を目指して、2006年度より取り組んでいる実証実験。
詳細情報のURL: (リンク »)

※2:ユビキタス・コミュニケータ
ユビキタス・コンピューティング環境と人間がコミュニケーションするための端末。いつでも、どこでも、コミュニケーションできるための端末として複数の通信機能を搭載。また、周辺機器を用いて機能拡張が可能であり、今回の実験では「ucode無線マーカ受信機」、「ucode赤外線マーカ受信機」、方位センサーを内蔵した「ucodeミニレシーバ」を使用。

※3:eおと
OKIが開発した、高品質で臨場感のある音声通信を実現する音声処理技術の総称。独自の高音質化機能を具備するとともに、低遅延での通話を可能とする。種々の音声符号化方式に対応可能。スマートフォン、PC、携帯電話、IP電話機およびデジタル家電などでの使用と、LSIおよび各種プラットフォームへの搭載が可能。
詳細情報のURL: (リンク »)

※4:eおとポジショニング
実環境においては、音源の方向によって左右の耳に到達する音の特性に微妙な違いが生じ、この違いから到来方向が認知される。「eおとポジショニング」は、この微妙な特性の違いに基づく音の方向性(音像定位)を信号処理により仮想的に再現し、複数人の声が別方向から聞こえるようにする技術。
音像定位:右の耳で聴く音と左の耳で聴く音との違いから音源の位置を判断する事象

※5:バイノーラルマイク
バイノーラル録音を行うための、マイクロホン。
バイノーラル録音:人間が音を聞くとき、自分自身の耳たぶや体の各部によって回折・反射した音声を合わせて聞いており、その回折・反射を音源定位に利用していると考えられている。小型のマイクロホンを人間の耳、もしくは人間の頭部形状を模したダミーヘッドに埋め込んで、この回折・反射された音波をそのまま録音することをバイノーラル録音という。

※6:カナル式イヤホン
カナルとは外耳道(ear canal)のこと。耳の穴に深く差し込んで使用するタイプのイヤホン。構造上遮音性能が高いため、騒音の大きい場所でも細かい音まで聴取することが可能。

※7:アクティブタグ
電池を内蔵して長距離の通信が可能なICタグ。ICタグは小型のICチップとアンテナや赤外線発信機で構成され、読み取り機で直接触れることなく、チップ内の情報を読み取ることが可能。

※8:ucode
「もの」や「場所」を識別するために、ひとつひとつに対して与えられた「世界にたった一つの番号」。「ucode」を割り当てることで、「もの」の履歴情報や「場所」の位置情報などが、コンピュータを介して提供される。必要な情報をいつでも、どこでも、手に入れることができるユビキタス社会の実現に向けた、社会情報基盤の基礎となるコード体系。

概要:沖電気工業株式会社

OKIは米国でグラハム・ベルが電話機を発明したわずか5年後の1881年に創業した、日本で最初に電話機を製造した情報通信機器メーカーです。先見性と勇気をもって果敢に挑戦・行動するという、創業以来の「進取の精神」を連綿と受け継ぎ、ブランドスローガン「Open up your dreams」のもと事業展開しています。現在、「金融システム」「通信システム」「情報システム」「プリンタ」「電子部品・モジュール他」の5つの分野において、OKIグループは社会の発展に寄与する最先端技術の商品・サービスをお客様にお届けし、世界の人々の快適で豊かな生活の実現に貢献しています。詳細はこちらからご覧ください。 (リンク »)

お問合せ先:
本件に関する報道機関からのお問い合わせ先
OKI 広報部 山本
電話:03-5403-1247
e-mail:press@oki.com

YRPユビキタス・ネットワーキング研究所 峯岸
電話:03-5437-2270
e-mail:press@ubin.jp

本件に関するお客様からのお問い合わせ先
OKI通信システム事業本部
キャリアシステム事業部 eおと事業推進部
電話:03-5445-6034
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YRPユビキタス・ネットワーキング研究所 峯岸
電話:03-5437-2270
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