中堅・中小企業の細分化された「目的/課題」に基づくERPニーズ探索調査報告

ノークリサーチは2013年の中堅・中小企業における「細分化された目的や課題に基づくERPニーズ探索」に関する調査を行い、その分析結果を発表した。

株式会社ノークリサーチ

2013-07-03 15:30

<「目的/課題」を細分化し「達成度」や「実現手段」の実績データに基づく提案が不可欠> ■従来型の設問粒度では実践的なニーズ把握は難しい、細分化された「目的/課題」が必要 ■取り組み実績の多いソリューションが必ずしも「目的/課題」を達成できているとは限らない ■ERPの新規導入や刷新のためには、達成度の低い「目的/課題」における改善提案も有効 ■ユーザ企業が求める実現手段は、達成度を踏まえた最善の施策と一致しないこともある
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2013年7月3日

中堅・中小企業の細分化された「目的/課題」に基づくERPニーズ探索調査報告

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2013年の中堅・中小企業における「細分化された目的や課題に基づくERPニーズ探索」に関する調査を行い、その分析結果を発表した。本リリースは「2013年版 中堅・中小企業におけるERP/BI活用の実態と展望レポート」のダイジェストである。


<「目的/課題」を細分化し「達成度」や「実現手段」の実績データに基づく提案が不可欠>
■従来型の設問粒度では実践的なニーズ把握は難しい、細分化された「目的/課題」が必要
■取り組み実績の多いソリューションが必ずしも「目的/課題」を達成できているとは限らない
■ERPの新規導入や刷新のためには、達成度の低い「目的/課題」における改善提案も有効
■ユーザ企業が求める実現手段は、達成度を踏まえた最善の施策と一致しないこともある


対象企業規模: 年商5億円以上~500億円未満の国内企業
対象職責: ERPの導入・運用に関わる社員
対象業種/所在地: 全業種/日本全国
サンプル数: 1200社
調査実施時期: 2013年4月~5月 ※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 (リンク »)


■従来型の設問粒度では実践的なニーズ把握は難しい、細分化された「目的/課題」が必要
これまで、中堅・中小企業におけるERP活用を題材とした市場調査では「パッケージをカスタマイズした場合の維持コストが負担となっている」、「部分最適によるアプローチの結果、システム連携が難しくなっている」などの課題が提示されてきた。
だが、現状維持志向の強い中堅・中小のユーザ企業に対しては上記のようなシステム視点での課題ではなく、「具体的な業務に直結した課題の解決」を提示する必要がある。
例えば、販売・購買・調達・在庫において実現したい「目的」や解決したい「課題」を尋ねる際、従来は「売上分析」「在庫管理」「商品管理」といった粗い粒度での把握に留まっていた。だが、下記の項目(本調査で実際に用いられている項目の一例)のように、同じ売上分析でも分析の対象などによって細分化された選択肢が必要となってくる。
ユーザ企業が抱える業務課題を明らかにし、それをERP関連投資と結びつけるためには細分化された「目的/課題」を明らかにし、それらを実現する手段を導入効果も踏まえながら訴求する必要がある。こうしたプロセスは会計、販売・購買・調達・在庫、生産、人事・給与、BI、ワークフロー・BPM、スマートデバイス活用などERPと関連する全ての分野で必要となる。以下では販売・購買・調達・在庫を例にとって、細分化された目的/課題に基づくニーズ分析を紹介する。

売上分析に関する項目
・キャンペーンやDMの効果測定と連動した売上分析
・リアル店舗とECサイトを統合した売上分析
・少量多品種の商材に対応した売上分析
・予測やシミュレーションを伴う売上分析
・顧客の管理/分析と連動した売上分析

在庫に関する項目
実際の在庫数量とシステム上の在庫数量を一致させる
・入荷予定も考慮した利用可能在庫数量を把握する
・入出庫の効率を改善し、誤配送などのミスを無くす
・委託先や外注先も含めた在庫の把握を行う

商品に関する項目
・荷姿別やキャンペーン特価など複数の価格設定への対応
・不定貫商品に複数の数量(重さと個数など)を設定する
・商品マスタの重複や表記揺れを無くす


■取り組み実績の多いソリューションが必ずしも「目的/課題」を達成できているとは限らない
以下のグラフは年商5億円以上~500億円未満でERPを導入済みの中堅・中小企業に対し、「販売・購買・調達・在庫」について既に取り組んでいる最も重要な「目的」や「課題」を尋ねた結果のうち、上位の項目をプロットしたものである。
「売上分析」に関連した項目が多く挙げられているが、同じ売上分析でも分析対象が異なると取り組みの度合も大きく変わってくることがわかる。しかし、上記のグラフで上位に挙げられた目的/課題への解決策を単に訴求すれば良いというわけではない。なぜなら、「取り組んだが、期待された効果が得られていない」といった結果に終わったり、「ニーズはあるが、既存ERPからのバージョンアップ需要に留まってしまう」といったケースも考えられるからだ。そこで、上記の目的/課題の中から代表的なものについて、以下の3つの基準で「達成度」を尋ねてみたものが以下の結果である。
要件の充足:
「目的」が達成されたり、「課題」が解消された場合には○ そうでない場合には×
導入予算:
「目的」の達成や「課題」の解消に費やした金額が当初の 想定予算内であった場合には○、想定予算を超えてしまった場合には×
運用予算:
「目的」の達成や「課題」の解消の結果を 維持するための年額予算が当初の想定金額内であった場合は○、想定金額を超えた場合は×
「顧客の管理/分析と連動した売上分析」は3つの基準が全て○である割合が比較的高い。一方、「少量多品種の商材に対応した売上分析」は3つの基準が全て○である割合が低くなっている。これだけを見ると、後者よりも前者を訴求すべきであるが、その判断を正しく下すためにはさらに「実現手段」を加味する必要がある。


■ERPの新規導入や刷新のためには、達成度の低い「目的/課題」における改善提案も有効
以下のグラフは「顧客の管理/分析と連動した売上分析」と「少量多品種の商材に対応した売上分析」に関して3つの基準が全て○と回答した企業にその実現手段を尋ねた結果である。つまり、「目的」「課題」をきちんと達成できた企業がどのような手段でそれを実現しているかを示したものである。
「顧客の管理/分析と連動した売上分析」では「既存ERPパッケージ/サービスをバージョンアップする」が多く、「少量多品種の商材に対応した売上分析」についてはサンプル件数が少ない点に注意が必要だが、「新規にERPパッケージ/サービスを導入する」や「別のERPパッケージ/サービスに切り替える」が多く挙げられている。同じ「売上分析」でも、前者は達成度は高いが既存ERPのバージョンアップに留まりやすく、後者は達成度は低いがERPの新規導入や刷新に結び付きやすいことがわかる。
ここまで見てきた例は既に「売上分析」に取り組んでいる企業における「達成度」と「実現手段」の実績だが、今後についてはどのような実現手段が求められているのだろうか?次頁ではそれについて見ていくことにする。


■ユーザ企業が求める実現手段は、達成度を踏まえた最善の施策と一致しないこともある
以下のグラフは「少量多品種の商材に対応した売上分析」に今後取り組む予定の企業に対し、その実現手段を尋ねた結果である。ユーザ企業の意向では「既存ERPパッケージ/サービスをバージョンアップする」が最も多く挙げられている。
だが、前頁の結果からもわかるように既存ERPのバージョンアップを実際に行ったユーザ企業は必ずしも高い達成度を実現できているわけではない。このようにユーザ企業が望ましいと考える実現手段と、実績に基づいた最適な実現手段は必ずしも一致しない。ERPソリューションを提供する側としては前頁のような客観的な実績に基づいた実現手段の提示を行い、ユーザ企業を適切にリードすることが求められる。
本リリースでは販売・購買・調達・在庫を例に挙げたが、ERPを構成する他の要素においても同様に細分化された「目的」や「課題」に基づくニーズ探索が不可欠である。本リリースの元になっている調査レポートで網羅されているポイントについて以下にて簡単に記載する。

【会計管理】
「予実管理」「管理会計の精緻化」「決算の早期化/短期化」に加え、建設業で多く見られるJV会計のように特定の業種との関連性が強いもの、連結会計やIFRS対応など幅広い観点でニーズを捉える必要がある。同じ「予実管理」でも「経費を迅速に把握することによる予実管理精度の向上」「収益の予測やシミュレーションを伴った予実管理」といったように細かい選択肢を設けることが重要である。
【生産管理】
「原価管理」「部品管理」「トレーサビリティの確保」「RoHS、REACH、HACCPといった各種の規制/制度への対応」 などが主な選択肢となる。さらに同じ「原価管理」でも、プロセス生産における「副産物や連産品も含めた原価管理」「設備費などの按分を伴う原価管理」「標準原価の信頼性向上」「原価が超過した場合の原因特定と改善」といった細分化が必要となる。「部品管理」についても「製品レベルの手配を部品/ユニットレベルに自動的に分解して実行する」「先行して個別手配した部品/ユニットをBOMやマスタに確実に反映する」などといった具体的な業務場面を想定した選択肢設定が需要となる。
【人事・給与管理】
「改正高齢者雇用安定法」や「改正労働契約法」といった新たに施行された法制度への対応、「ソーシャルサービスを利用した人材採用」「タレントマネジメントに代表される高度な人材管理」「能力や実績に応じた給与体系の実現」「給与計算などの定型業務のアウトソーシング」といった幅広い選択肢が必要となる。


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1.調査企画提案書の提示:
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2.調査設計:
調査企画提案に基づき、具体的な調査方法の選定、調査票の設計/作成やインタビュー取材計画立案を行う
多彩な調査方法が活用できます。
定量調査(アンケート調査)
ユーザ企業の実態とニーズを数値的に把握したい
販社やSIerが望む製品やサービスの動向を知りたい
定性調査(インタビュー調査)
ユーザ企業が抱える課題を個別に詳しく訊きたい
販社やSIerがベンダに何を期待しているかを訊きたい
デスクトップリサーチ
競合他社の動向などを一通り調べたい
3.実施と集計:
設計された調査を実施し、その結果を集計する
4.分析:
集計結果を分析し、レポートを作成する
5.提言:
分析結果を基にした提言事項を作成し、報告する

本リリースの元となっている「2013年版 中堅・中小企業におけるERP/BI活用の実態と展望レポート」の詳細は
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本データの無断引用・転載を禁じます。引用・転載をご希望の場合は下記をご参照の上、担当窓口にお問い合わせください。
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株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
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