IT企業は今後のビジネスをどう考えているか?(人月ベースからの脱却/進化など)
調査設計/分析/執筆: 岩上由高
ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:www.norkresearch.co.jp)はユーザ企業にIT商材/ソリューションを提供するIT企業に対して「自社の今後のビジネスについてどう考えているか?を尋ねた調査を行い、その結果を発表した。 本リリースは「2025年版 中堅・中小市場における販社/SIerのシェアとユーザ評価レポート」のサンプル/ダイジェストである。
<IT企業も自らが置かれたビジネス環境の変化を理解し、自社の方向性を見極めることが大切>
■ 「人月ベース開発が今後も主流」と考える割合は年商規模の小さなIT企業の方が高くなる
■ AI活用やユーザ内製など、IT企業を取り巻くビジネス環境の変化は計25項目に整理できる
■ 伴走型/共創型へのシフトが進み、前者より後者が優勢、オファリングサービスは定着せず
■ 東日本より西日本の方が「IT企業は自社で製品/サービスを持つべき」の回答割合が高い
調査時期: 2025年7月~8月
対象企業: 日本全国、全業種の年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(有効回答件数、1社1レコード)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決裁の権限を有する職責
詳細については本リリースの5ページを参照
■ 「人月ベース開発が今後も主流」と考える割合は年商規模の小さなIT企業の方が高くなる
本リリースの元となる調査レポート「2025年版 中堅・中小市場における販社/SIerのシェアとユーザ評価レポート」では有効回答1300社のユーザ企業を対象とした調査結果を元に以下のような分析を行っている。
・独立系(大塚商会、オービックなど)、大手ベンダ系(富士通系、NEC系など)、キャリア系(NTTグループ、KDDIグループなど)、複合機系(リコー、富士フイルムBIなど)といった様々なIT企業の年商別/ 業種別/ 地域別に見た導入社数シェア・IT企業の商材ポートフォリオの傾向(例. シェア上位のIT企業はクラウドの比率が高いのか?それともハードウェアや業務パッケージも含めた全体バランスに優れているのか?)
・ユーザ企業から見た成功体験(「売上の増加」、「従業員の生産性向上」など)やプラス評価/マイナス評価に基づくスコアが高いのはどのようなIT企業なのか?
さらに、同調査レポートでは中堅・中小規模のIT企業(年商500億円未満)に対して、「今後、自社に求められる役割や取り組みは何か?」を尋ねた結果についても分析している。以下のグラフはその中から「システム開発の提案やスタイルに関する項目」の年商規模別集計結果を抜粋したものだ。従来型の「人月ベース開発が今後も主流になる」(※1)と考える割合は年商規模が小さくなるにつれて高くなっていることがわかる。一方、「伴走型SIが求められてくる」(※2)は逆に年商規模が大きくなるにつれて高い値を示している。
人材不足やAI活用などの影響によって、今後は人月ベースのビジネスが難しくなるという指摘もあり、IT企業としては様々な環境変化に追随する取り組みが不可欠となる。
次頁以降ではそうした観点の分析結果の一部を調査レポートのダイジェストとして紹介している。
■ AI活用やユーザ内製など、IT企業を取り巻くビジネス環境の変化は計25項目に整理できる
昨今では、人材不足、RPA/ノーコード/ローコード/AIエージェントなどの技術面の進歩、ユーザ企業による内製など、IT企業を取り巻くビジネス環境も大きく変化している。こうした現状をIT企業自身はどう捉えているのか?を明らかにすることも大切だ。
そこで、本リリースの元となる調査レポートではユーザ企業を対象とした調査に加えて、IT企業を対象とした設問項目の集計/分析も行っている。具体的には有効回答1300社の中から、「IT関連サービス業」に該当する企業に対して以下を尋ねている。
「今後求められると考えるIT企業の役割や取り組み」
<<システム開発の提案やスタイルに関する項目>>
※1・人月ベースの費用算出でシステムを構築/運用する形態が今後も主流となる
※2・納期や期限で区切らずに中長期的に支援を行う「伴走型SI」が求められてくる
※3・ユーザ企業と協議した共通目標の達成を目指す「共創型SI」が求められてくる
・IT企業側が積極的に提案を進める「オファリングサービス」が求められてくる
<<システム開発の技術的な手法に関する項目>>
・システム間の連携手段はスクラッチからRPAやAIエージェントに移行する
・定型的なアプリケーションはSaaSの組み合わせで実現されるようになる
・独自開発システムはIaaS/PaaSを基盤とする形態が一般的になっていく
<<システム開発に用いるツールや基盤に関する項目>>
※5・自社製の製品/サービスを持っておくことは競争力を維持する上で重要である
※6・ユーザ企業の根幹となるデータは自社が構築/運用するシステムで管理する
※7・データ管理/保管は他社の開発基盤に任せて、自社は機能開発に専念する
<<システム開発の内製に関する項目>>
・コーディングではユーザ企業による内製が進み、プログラム作成の業務は減る
・ユーザ企業の内製は一部に留まり、プログラム作成の業務は今後も存続する
・IT企業の役割は業務要件とシステム仕様の溝を埋めるコンサルが主体となる
<<システム開発におけるAI活用に関する項目>>
・AIによる判断でシステムを自動連携する「AIエージェント」の導入提案が増える
・AIを活用してユーザ自らシステムを開発する「バイブコーディング」が普及する
・AI活用によってシステム開発の人材不足が解消し、人件費も下がる
・AI活用の普及によってAIを理解できる人材が不足し、人件費は上がる
<<ユーザ企業側の体制変更に関する項目>>
・ユーザ企業によるシステム子会社の吸収合併によってIT企業の業務は減る
・ユーザ企業による内製が進むとIT活用が活発となり、IT企業の業務も増える
<<システムのテストや運用に関する項目>>
・システム開発と運用プロセスの一体化や円滑な連携が求められてくる
・システム開発だけでなく、セキュリティ対策の支援/提案が必須となる
・システム開発とテスト工程の一体化や円滑な連携が求められてくる
<<ユーザ企業に対する教育や啓蒙に関する項目>>
・eラーニングなどでユーザ企業のITスキル向上を支援する必要がある
・ユーザ企業にIT関連の啓蒙を与える機会(交流会など)が必要である
<<その他>>
・その他:
上記に列挙された25項目のうちで、※1と※2の回答割合を年商規模別に集計したものが前頁のグラフである。さらに次頁以降では「システム開発の提案やスタイルに関する項目」の全て(※1~※4)を年商規模別に集計した結果ならびに「システム開発に用いるツールや基盤に関する項目」(※5~※7)を地域別に集計した結果を紹介している。
■ 伴走型/共創型へのシフトが進み、前者より後者が優勢、オファリングサービスは定着せず
以下のグラフは前頁に列挙された25項目の中から、「システム開発の提案やスタイルに関する項目」(前頁の※1~※4)の回答割合を年商規模別に集計したものだ。
冒頭で述べたように、年商規模が大きくなるにつれて「人月ベース開発が今後も主流になる」(※1)の値は下がる一方、「伴走型SIが求められてくる」(※2)の値が高くなっている。さらに、「伴走型SI」「(※2)と「共創型SI」(※3)を比べると、いずれの年商規模においても後者が前者を上回っている。したがって、人月ベースビジネスからの脱却/進化は比較的規模の大きなIT企業から進んでいき、その際は「伴走型SI」よりも「共創型SI」を目指す取り組みが相対的に高くなると予想される。
小規模企業層および中小企業層に位置するIT企業では「人月ベース開発が今後も主流になる」の値が2割超に達するため、中堅企業層で進むと予想される人月ベースから伴走型/共創型へのシフトに追随していくための取り組みが重要となってくる。
また、「伴走型SI」と「共創型SI」はどちらか一方が常に優れているわけではなく、ユーザ企業とIT企業の関係性を踏まえて、柔軟に使い分けることが大切だ。例えば、同一のIT企業が長年に渡って開発/運用に携わっている業務システムに関しては期限を区切らずに互いの理解を深めることを重視した伴走型が適している。一方、短期で新規ビジネスに関わるシステムを構築したい場合には目標を明確に定めた共創型の方が機能しやすい。「伴走型」は納期や期限が曖昧になることで、IT企業が案件毎の必要リソースを見極めづらい点がある。こうした背景もあり、全体としては「共創型」の値が「伴走型」よりも相対的に高くなっていると考えられる。
「オファリングサービス」(※4)については、いずれの年商規模においても2割未満の値に留まっている。この用語は2024年頃から大手ベンダを中心に用いられるようになったが、従来の業務システム提案と何が違うのか?が端的には分かりづらい面もあり、IT企業側においても定着していない状況が確認できる。上記の結果を踏まえると、今後は回答割合が相対的に高い中小企業層を中心として、単なる「御用聞き」との差別化をアピールするためのキーワードとして用いられていくと予想される。
次頁では「システム開発に用いるツールや基盤に関する項目」を地域別に集計した結果を確認していく。
■ 東日本より西日本の方が「IT企業は自社で製品/サービスを持つべき」の回答割合が高い
以下のグラフは前々頁に列挙された25項目の中から、「システム開発に用いるツールや基盤に関する項目」(前々頁の※5~※7)の回答割合を東日本と西日本の地域別に集計したものだ。(東日本と西日本の区分は様々だが、ここでは北陸4県のうち富山県、石川県、福井県は西日本、新潟県は東日本に分類し、また静岡県は西日本に含めている)
IT企業にとっては、「自社製の製品/サービスを持つべきか、それともシステムインテグレーションに専念すべきか?」は極めて重要な基本戦略の1つだ。上記のグラフが示すように「自社製の製品/サービスを持つことが重要」(※5)の回答割合は西日本の方が東日本と比べると高い。販社/SIer向けに業務パッケージやSaaSを開発/販売するISVにとっては、こうした地域の傾向差も考慮に入れておくことが大切だ。
また、「ユーザ企業から管理/運用を任されたデータをどのように管理するか?」という観点も重要だ。上記のグラフを見ると、「ユーザ企業の根幹となるデータは自社が構築/運用するシステムで管理する」(※6)の回答割合は東日本の方が西日本と比べて高くなっている。つまり、データ管理/運用を担う環境をIT企業が自ら構築する際に必要となるストレージ機器や運用管理パッケージを開発/販売するベンダやISVにとっては東日本の優先度が西日本と比べて相対的に高くなってくる。
一方で、「データ管理/保管は他社の開発基盤に任せる」(※7)の回答割合は東日本と西日本のいずれにおいても1割未満の低い値に留まっている。データ分析やAIの技術的な進歩により、IT企業にとっては「ユーザ企業が持つデータを理解し、その価値を如何に最大化するか?」が極めて重要となっている。その結果、機能実装を担うだけでなく、ユーザ企業が持つデータの管理/保管も担っていく必要があるという意識が高まっていることが上記のグラフからも読み取れる。
このように、IT企業を取り巻くビジネス環境は近年大きく変化しており、それに対応するためのIT企業各社の取り組みも既に始まっている。ここでは一部の項目のみを抜粋したが、本リリースの元となる調査レポートには前々頁に列挙した計25項目を年商、従業員数、地域などの様々な観点で集計したデータが収録されている。
本リリースの元となる調査レポート
『2025年版中堅・中小市場における販社/SIerのシェアとユーザ評価レポート』
有効回答1300社のユーザ企業を対象とした調査結果を元に、「IT商材/ソリューションを提供する販社/SIerの立場としてのIT企業各社の社数シェア」、「IT企業各社の商材ポートフォリオ(顧客企業が導入したDX関連ソリューション、業務アプリケーション、ハードウェア、クラウドサービスの比率)」、「IT企業各社の提案を通じてユーザ企業が得た成功体験(売上の増加、従業員の生産性向上、など)」、「IT企業各社に対するユーザ企業のプラス評価/マイナス評価に基づくスコア」といった多角的な集計/分析を実施。さらにIT企業を対象とした調査項目として、「今後のビジネスをどのように考えているのか?」(人月ベースビジネスからの脱却/進歩など)についても言及。
【対象企業属性】(有効回答件数:1300社、調査実施期間:2025年7月~8月)
年商:5億円未満/ 5億円以上~10億円未満/ 10億円以上~20億円未満/ 20億円以上~50億円未満/50億円以上~100億円未満/ 100億円以上~300億円未満/ 300億円以上~500億円未満
従業員数:10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種:組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他:
地域:北海道地方/ 東北地方/ 関東地方/ 北陸地方/ 中部地方/ 近畿地方/ 中国地方/四国地方/ 九州・沖縄地方
その他の属性:「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)、「IT活用に関わる職責」(2区分)
【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の概要】
第1章: 販社/SIerの導入社数シェア動向
8グループ、計80超に渡る販社/SIerの具体名を列挙した上で、導入社数シェアを顧客ユーザ企業の年商別、業種別、地域別といった様々な観点から集計/分析。
第2章: 販社/SIerのIT商材ポートフォリオ
販社/SIerが提供するIT商材やソリューションを5カテゴリ(DX関連ソリューション、業務アプリケーション、ハードウェア、クラウドサービス、その他)、計27項目に渡って列挙し、顧客ユーザ企業が導入済み/導入予定のIT商材/ソリューションを集計することで、代表的な販社/SIer各社のIT商材ポートフォリオを分析。
第3章: 販社/SIerの顧客が得た成功体験
販社/SIerが提供したIT商材/ソリューションによって、顧客ユーザ企業がどのような成功体験(売上の増加、従業員の生産性向上など)を得たか?を計17項目に渡る成功体験項目によって集計し、代表的な販社/SIer各社の成功体験スコアを比較/分析。
第4章: 販社/SIerに対するユーザ企業のプラス評価/マイナス評価
販社/SIerに対する顧客ユーザ企業の評価を計25項目のプラス評価(「無理に全てをシステム化せず、ヒトが担う業務と両立した提案をしてくれる」、「DXやAI活用を推進する社内人材を育成する講習などを実施してくれる」など)、および計25項目のマイナス評価(「単なる御用聞きであり、業務システムの改善点を指摘してくれない」、「AIを活用するための業務システム構築/刷新には消極的である」など)の両面から集計し、代表的な販社/SIerの評価スコアを比較/分析。
第5章: 販社/SIerが考える今後のビジネス展望
IT企業を対象とした調査テーマとして、「今後のビジネスをどのように考えているか?」を計25項目に渡って尋ねた設問(「納期や期限で区切らずに中長期的に支援を行う「伴走型SI」が求められてくる」、「システム間の連携手段はスクラッチからRPAやAIエージェントに移行する」など)を設けて、その結果を集計/分析。IT企業が今後取り組むべきビジネスの方向性を提言。
【発刊日】2026年1月30日【価格】225,000円(税別)
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